ダリアの笑顔 (光文社文庫 や 32-1)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334764883

作品紹介・あらすじ

「綿貫さんち」は四人家族。「明るく笑うもう一人の自分」を空想する長女・真美。主婦業と仕事をこなしながら、揺れる40代を惑う母・春子。転校生の女子に投手の座を奪われそうな長男・健介。経理課係長の仕事に疲れ、うつ病を心配する父・明弘。どこにでもいそうな家族が、悩みを抱えながらお互いを支え合う日常を、それぞれの視点から描いた小さな宝石のような物語。

感想・レビュー・書評

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  • 4人家族のそれぞれを主人公にした4つの連作短編集。作者に一番近い母親編が一番踏み込んだ内容で読み応えがあった。

  • よくある4人家族の日常生活を描いた4編の連作集。こういう小説を読むと家族って毎日一緒にいて、一番知ってるように見えるけど、本当は何も知らないのかなと思う。
    今はまだ子供が小さくて一心同体のように一緒にいるけど、手が離れたら個として尊重してあげなければ…。
    日記も、連絡帳もアプリの現代だけど、子供が自分の育児日記を見返す場面を見て、母子手帳くらいは毎年きちんと手書きしようと思った。

  • 4人家族の日常をそれぞれの視点で語られている4部構成。自分の家族の同じ家族構成でやはり母親の春子目線で共感しながら読了。自分だって娘時代があったから真美の想いも分からないではないけれどやはり今の自分と近い立場の春子の気持ちに寄り添ってしまう。旦那のうつ病?という最終章は日常ながらも少しドキドキした。家族といえどもそれぞれに物語があるものだと再認識。

  • 四人家族の綿貫家。父、母、娘、息子の日常を描いた連作短編集。

    私、最近、こういう四人家族の物語ってよく読むんですけど、でも、いつも読んで思うことは、家族といえども、それぞれにそれぞれの生活があるんだなー。ってこと。

    我が家も四人家族なんだけど、旦那や子供たちが家以外の場所でどんなことしてるかって、あまり知らないもんなー。

    この物語も、そんな四人が家族以外に見せる、それぞれの生活の一面を描いた作品なんですが、一番共感したのは、やっぱりなんといっても、母・春子の章。

    リアルすぎて笑えた。いや、リアルすぎるだけに笑えないかも。逆にー。

    でも、やっぱり、女40代、思うことは同じで、この先の人生に不安は付いて回るんですよね。

    人生の折り返し地点に立った今、これまでの40年と、これからの40年って、年月は同じだとしても、中身の濃さって、やっぱり薄まってくるのかな。って、まるで私と同じ思いが書かれてて、ちょっとビックリ。

    自分のことと、子供のこと、そして老いていく両親のことと、あ、時々ダンナのことも、考えることがいっぱいで、あー!って、なっちゃうそんなお年頃の40代のリアルが描かれています。

    その他の家族の話もとっても面白かったです。

  • ある一家のお話。
    家族でも、みんな違うんだよなぁ〜と改めて思うきっかけになりました。

    特に娘のお話と娘の成長していく姿が良かったです。

  • 夫婦に相性があるように、
    兄弟だって親子だって相性の善し悪しはあるだろう。
    人一倍声がでかくて、感情そのまま表に出す母に
    繊細でナイーブな心を持つ娘。
    積極的とは程遠い日々を淡々と過ごし、
    ゆっくり釣りに行くことを夢見る父親に、
    元気溌剌やる気の塊のような小学生の息子。
    個性がバラバラの家族が、
    それぞれ小さな問題や悩みを抱えながらも
    社会から大きくドロップアウトすることもなく
    ちゃんと毎日を過ごして行く。
    幸せを噛みしめるように、ハーゲンダッツのクリスピーサンドを子どもに隠れるて食べるお母さんが可愛い(笑)
    そんな小さな楽しみでも、生きて行く励みになるのです^^
    代わり映えのしない毎日でも、
    明日もがんばろうと背中を押してもらえる一冊でした。

  • 綿貫さんは四人家族。
    父、母、娘、息子の普通の家族。
    それぞれの視点からの短編。
    「ダリアの笑顔」真美はクラスでどのグループにも属さない子。自分に自信が持てない。
    ある日、母親が書いた真美の育児日記を見つける。それを読んで、どれほど自分が愛されて、大切に育てられてきたかを知る…
    真美ちゃんが本当のダリアの笑顔で笑えるようになれるといいね。
    ほっこり心があたたかくなる話。でも、育児日記をゴミに出すなんて…なんで?

  • 綿貫家の人々の四者四様の日常の切り取り、、。家族・夫婦・親子・姉弟としての繋がりはあれど、微笑ましさの血は争えない!?一人一人の個性は個性♪。

  • 図書館で借りた。
    やづき みちこ

    父・母・娘・息子の日常を描いた短編集

  • 四人家族の綿貫家。それぞれが現状に小さな不満や悩みを抱えながらも、お互いを支え合う日常を描いた物語。
    家庭が崩壊するしないの分岐点は、そこに「信頼」があるかないのかだと思う。平凡で特別なものは何もないのに、この綿貫家はとても輝いている。
    私の年齢的に、母・春子と父・明弘の章はとても共感できた。「ちん・まん」とか、「意味なしおちゃん」「やる気なしこちゃん」なんてツボだなあ。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2002年、第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』でデビュー。07年『しずかな日々』で第45回野間児童文芸賞、08年第23回坪田譲治文学賞、17年『明日の食卓』で第3回神奈川県本大賞、20年『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』で第69回小学館児童出版文化賞を受賞。『明日の食卓』は21年映画化。その他の著書に『消えてなくなっても』『純喫茶パオーン』『ぼくたちの答え』『さしすせその女たち』などがある。

「2021年 『つながりの蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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