- Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334765491
作品紹介・あらすじ
ロンドンのオークションでゴッホ作「医師ガシェの肖像」を日本人が競り落とした。落札価格は約百八十億円。時は流れ、日本のバブルが弾け、借金で追いつめられた男女にある依頼が持ちかけられる。それは倉庫に眠る「ガシェの肖像」を盗んで欲しいというものだった…。第14回日本ミステリー文学大賞新人賞に輝く、痛快にしてスリリングなコンゲーム小説の傑作。
感想・レビュー・書評
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絵画美術系、贋作、コンゲーム(騙し合い、詐欺モノ)。自分にとっては好きな要素が複合された作品なので、楽しめた!の一言。
ゴッホの「医師ガシェの肖像」の手に汗握るオークションから物語は始まる。
そして計画の中核をなす男女二人は、ダメダメぶり故にマンマと詐欺に釣られてしまうが、窮地に追い込まれた彼らに思わぬ救いの神ならぬ悪魔の囁き。大風呂敷を広げたストーリーやいかに。
作者の美術業界についての思い(だとワタシは受け取った)も熱く語られる。
そしてタイトルの真の意味が明かされるのや、何重にもかけられた枠の全体を知るのは最後の最後だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
映画コンフィデンスマンが好きだ。長澤まさみはかわいいし、どんでんがえしのエンタメ性が気持ちいい。
「大絵画展」の読み心地もそれに似ている。現金受領を伝えるのにコインロッカーにニコちゃんシールを貼るところとか、カーットがかかるところとか。楽しくて後味がよい。 -
ロンドンのオークションでゴッホの「医師ガシェの肖像」が日本人によって競り落とされた。
時は流れ、追いつめられた人間たちが、倉庫に眠るくだんの絵の奪取をもくろむ。
絵画の値段のつき方とか、画廊の裏話とか、本当に魑魅魍魎の世界だなと思う。
それが淡々と冷静に描かれている。
物語は、それぞれの主観で描かれているのだけど、それを超えた、それを俯瞰している視線が常にある。
この冷静さが、魅力なのかもしれない。
で、追いつめられる人間が、まぁだからこそ追いつめられるのだけど、だめだめで感情移入できない。つか、ほかの登場人物もつかみどころがなくて、シンパシーがない。
なので、どうも読後にすっきり感がないのである。
すっきりというか、達成感というか…。
まぁそれはあえてそうした、ってことなように思うのだけど。 -
タイトルと装丁に惹かれて読みましたが、美術的要素は深くなく(誰にでもわかりやすい…といえば、その通りですが)読み物としても、入りくんだ泥棒ストーリーというのみ。人物キャラや心情が浅くのめりこめないままでした。登場人物のやたらと多い、怪盗キッドか、キャッツアイか…ってところ。
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第14回 日本ミステリー文学大賞 新人賞 受賞作品
初めて読む作家さん。
ジャケ買いした作品だった。
名前や設定の複雑さ、内容の詰め詰め感が
少し読みづらく、少々混乱もしたけれど…
途中から先が気になり
後半は たたみかけるように
一気に読んでしまった!
読後感サイコー!な終わりかた
最初は 私には重くて…ちょっと
読んでいて心苦しい感じがしたけど
最後まで読むと とてもスッキリ!
内容と人物を かなり把握した今
もう一度 読んだら
もっと もっと面白くなるぞ!と感じた。
正されるべき所は正す!
うん。良かった!
読みづらさがあった分 星控えめ。
限りなく4に近い。2回目読んだら
評価も変わりそう 笑 -
面白かったけど、後日談が長い。所有権の話を何度も読まされるのにも辟易。
嫌悪感を感じる男を助けようとする話も嫌だなって思っていたが、助けたかったのは違う人だったのね。
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先に『哄う北斎』を読んでしまったけど、これがシリーズ1作目っぽい。登場人物一覧を見たときにはゲゲっと慄いたが、この絵の由来に(史実的な)こだわりがなければ、全然問題なし。
解説は大森望。 -
2作目から読んでしまったので、戻り1作目へ。
正直、この作者の文章は、私には分かりにくい時があり、また2作目同様、登場人物も日本と海外にまたがり多いので、今回も行きつ戻りつ読み進めた。
素直におもしろかった。
バブル期に日本が調子に乗って犯した美術品に対する冒涜行為。
バブルが弾けた後の、恥ずかしい事実。
絵画の真贋や所有権の難しさ。
ゴッホの絵画をありがたがって並んで観たことがあるが、私はその絵画たちの何をどう評価していたのか。高額で取引され、価値が高いとされるから、『すごい絵』だと思っているだけなんじゃないか?
恥ずかしながら気づいてしまった。
もちろん純粋に好きな画家もいるが…。
これからはそういう視点で絵画を観るのはやめようと思う。
これで、2作目をフェルメール作品集を傍に読む準備が整った。再読でさらに楽しみたい。