刑事の子 (光文社文庫プレミアム)

著者 :
  • 光文社
3.28
  • (16)
  • (62)
  • (116)
  • (25)
  • (3)
本棚登録 : 852
レビュー : 87
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334766276

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 宮部みゆきの文庫本は、エッセイとアンソロジーと絵本とボツコニアンシリーズを除けば、全て読んでいるという自負を持っていた。だから、読書サイトの著書一覧で検索しているときに、未だ読んだことのないこの題名を見つけた時には、悔しいというよりか不思議だった。ーーいつ見落としたんだろう?

    それで図書館で予約して読み始めたのであるが、表紙を開けた途端に了解した。『東京下町殺人暮色』を改題していたのである。94年に文庫本が出たときに、あの頃は速攻で買って読んでいるはずだ。読み始めて微かな記憶はあったが、大まかな所は流石に全て忘れていて、問題なかった。こんなことがないと、昔読んだ本の再読なんて滅多にしない。

    初出は90年、長編第3作目、著者最初の書き下ろし、舞台はバブル真っ盛りの89年末、著者のホームグラウンドの江東区だ。刑事は中年のいぶし銀を出していて、中学一年の息子は正義感が強くて純粋で賢い。初期の宮部みゆきの鉄板だ。最近は、宮部が描く高校生は純粋とは言えなくなることが多くなった。刑事は主役級では登場しない。きっかけは『模倣犯』だった。この作品と同じで、女性の連続殺人事件が起きて、テレビが追って世間を騒がす構造だった。しかし、本作で簡単に扱われている殺人者の描写を徹底的に描いたお陰で、宮部みゆき本人の精神もかなりやられたようだ。でも、犯人描写を避けてはもう現代サスペンスは描けない。著者が杉村三郎シリーズを始めた所以である。

    その最初のきっかけを作ったのが、この作品の冒頭、荒川河川敷の公園にバラバラ死体のビニール袋詰がたどり着いたことだったのである。

    著者の作品の中で東京大空襲がサブテーマとして扱われた最初でもある。と今になってわかる。いや、もしかしたらメインテーマだったかもしれない。

    80pに、順少年が、隅田川河口に建設中の高層マンションを「下町を見下ろす巨大な監視塔」と感じるところがある。(冗談抜きに、いつかは本当に監視塔みたいなものを作って、犯罪を防がなくちゃならない時代がくるかもしれないな)と呟く。それから30年後の今、ひとつの監視塔ではなく、無数の監視機によってその予想は実現しているけれども、犯罪は一向になくならない。宮部みゆきが人の心の闇を描き続ける所以でもあるだろう。

  • 久しぶりの宮部作品。塩梅の良いミステリに仕上がってる。ハナさんというスパイスが効いてるねぇ。名推理の家政婦ハナさんでシリーズが出来そうな存在感。

  • 刑事のお父さんカッコイイ。息子とも仲が良い!

    ミステリー初心者でも楽しめた!

  • 宮部みゆきの社会派ミステリの傑作の1つ。

    時はバブル期、下町の再開発のまっただ中。平穏な町で、突如としてバラバラ遺体の一部が発見される。刑事の子である順は、自宅に届いた、犯人を名指しする手紙を見つけ、名指しされた犯人に接触する…。

    宮部みゆきの早期のものであり、現在の宮部みゆきの作品のように個人個人に関する情報がくどくはない。しかし、描かれる犯人像がその当時の時代背景に沿うようなもので、社会への問題提起をしている点は現在の作品と全く変わりがない。むしろとりあげている「少年法」という、現在でもホットなトピックの描き方が非常に共感できた。

    自分の仕事に引き付けて考えると、やはり「想像力」の欠如が犯罪の根幹にはあると改めて考えさせられた。彼らの「想像力」をどう育てていけばよいのか、というテーマが、再犯の防止に重要なファクターなのだと思う。現代の子ども、ひいては子どもを育てる親世代も、この作品を読み、「想像力」を醸成する端緒としてほしい、と感じた。

  • 2014年6月6日読了。
    読み終わるまでの時間と、面白さは比例すると思う。長さとか関係なく。
    宮部みゆきの文章は、どうしてこんなにも一言一句重みを持っているのか。
    八木沢順一は、中学生の割りに大人びていて、言葉遣いも古めかしい部分もある。だけれど、近くに祖母と同じ年齢の家政婦がいることで、違和感すら感じさせない。
    「想像力が欠如して、悪い事を悪いと思えない現代の若者」は、「平気で悪い事をする若者達より、自分の子供の命の方が尊い」と決めつける大人が作ったという。
    世間の描写も的確で、厳しい。
    なのに喧嘩上等の恐い老人は、優しい顔で笑うのだ。
    広くて深い、宮部みゆきの作品はやっぱり好き。

  • 最後まで一気に読んでしまう面白さはさすが。起こる事件は目を背けたくなるようなものだけれど、全体的に愛がある物語でした。

  • 何度か改題されて出版されてるとのことで、初版は1990年。やはり時代を感じる部分が所々にあった。携帯電話の存在はこの時代変化に大きい、刑事ものやミステリーなどは特に影響があるように思う。刑事の子というタイトルから親子の物語がもう少しあるかと期待したけどあまりなかった。映画のウンチク、魅力的な少年、家政婦さんの存在と読むには飽きないけれどストーリーとしては浅い印象。

  • 図書館がまた休館になってしまったため、読書はゆっくりペースに。
    こちらは、久々の宮部みゆきさん作品。刑事の父と、中学生の息子・順の交互の視点である一つの事件を追う形で、物語は進んでいく。ある画家と、その画家の描く「火炎」なる絵が物語のキーになっている。
    ややスリルには欠けた印象。ただ、この度胸ある少年、順くんの今後はこれからも読んでみたいなと思った。続編はないのかな?

  • 宮部さんの作品にしては珍しく、後半の伏線の回収に違和感というか無理やり感があった。
    途中までは、登場人物がそれぞれ個性的に描かれていて楽しかった。

  • やっぱり宮部さんの小説は面白い。1990年発表のミステリー。刑事の父と2人暮らしの13歳の男の子が主人公。家政婦のハナさんや主人公の同級生、慎ちゃんが良い味出してる。残忍な女性2人が被害者のバラバラ殺人事件。それに関わってしまった主人公がちょっとずつ顔を突っ込んで真相に近付いていく。子供にも安心して読ませることができるストーリーでした。

全87件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

宮部みゆきの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印

刑事の子 (光文社文庫プレミアム)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×