刺青殺人事件 新装版 (光文社文庫)

著者 : 高木彬光
  • 光文社 (2013年10月8日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334766443

刺青殺人事件 新装版 (光文社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 敗戦後の東京で起こった猟奇的な殺人事件。まだ人にも空気にも闇が濃く渦巻いているようなそんな雰囲気になってしまう時代背景だと思いました。この仄暗い妖しい感じ好きなんですけどね。
    そんなグロテスクな事件に似つかわしくない、一本気で正直者で躁鬱な松下研三くん。物語の大半を彼が引っ張っていくのですが、推理もあと一歩及ばず、探偵を気取って大失態まで起こしてしまう始末。でもそんな彼ですが、恐ろしい事件が次々に起こる中、何だか憎めない愛嬌のある存在としてホッとします。迷宮入りかと思われた時、本当の探偵登場。それが神津恭介、イケメンでとんでもなく賢くてすごい人です。あっという間に謎解きしてくれます。松下くんはもう羨望の眼差しです。わたしも同じくです。このコンビ、いいです。このお話もたびたび行われたミステリーのベストテン選出には、必ずランクインしてきたという名作。その通り納得の大満足でした。

  • 冒頭の刺青の耽美講義から作品世界に惹き込まれました。猟奇的な死体も相まって良い雰囲気です。
    密室トリックは初歩的で拍子抜けしましたが、そこから派生する「何故、密室にしなければならなかったのか」と「何故、胴体が消えたのか」のプロットが実に素晴らしいです。「日本推理小説史上に欠かすことのできない作品」という評価は十分頷けます。
    ただ一つ気になったのは、「読者への挑戦」の後で新事実が発覚することです。推理する条件はある程度揃っているとはいえ、探偵と読者が公平でないのはややアンフェアかなと思います。

  • トリックの秀逸さもさることながら、刺青の魅力が伝わってくる一冊。刺青が反社会的なとものとして捉えられてしまってることが残念にかんじます。

  • 最初の百頁くらいは延々と刺青講座。やっとバラバラ死体だ、密室だ…で、探偵登場はやっと半分過ぎてからなんである。密室はあっという間に解決しちゃったけど、確かにその意図は分からんかったわ。ちゃんと騙された〜。
    色々と古めかしい気はするが、刺青周辺の人と医者学者に探偵と警官しか登場しないから、さほど違和感なし。
    ただ、「夜の女」とは言え、彼女にも生活があったわけで、消えたら隣人なり同僚なりが騒ぐんじゃなかろーか。

  • タイトルの「刺青」は「しせい」と読む。
    刺青競艶会で他を圧倒して優勝をさらった絹江の「大蛇丸」。
    研三と早川博士によって見つけられた死体は、密室の浴室で胴体だけが持ち去られたバラバラにされていた。
    流れ出る水道の水で、死体の血はきれいに洗い流されていた。
    やがて絹江の夫である竹蔵が発見され、絹江を殺して自殺したと思われた。
    だが、第三の惨劇が起きる。
    絹江の兄・常太郎が刺青を剥ぎ取られた状態で死体で発見された。
    潜在的にすりこまれた密室にいだくイメージ。
    トリック(密室)よりも、心理的に植え付けられた(ミスリードの)トリックが素晴らしい。
    自雷也(文字は本分のまま)、大蛇丸、綱手姫にまつわる禁忌の三すくみ。
    序盤で提示される大胆なトリックには脱帽した。
    真相への糸口が、さりげなく伏線として描かれているのも本格推理小説としての定義から外れてはいない。
    物語の中で考えつくされた公正な表現。
    例えば斃れていたと殺されていた・・・などの絶妙な表現と、計算された構成に驚いた。
    1948年に書かれたもので、すでに半世紀以上の時が経っている。
    しかし、いまなお異彩を放っていることに驚く。
    新装版は大幅な改稿がされた後のものが収録されている。

  • 明智・金田一と並んで日本三大探偵であるらしい神津恭介の初登場作品。
    世にも見事な大蛇丸の刺青を背負った女が殺され、その胴体だけが持ち去られた。
    次いで女の夫と兄も殺される。
    事件に巻き込まれた松下研三は、偶然再会した神津恭介に事件解決を依頼する。

    神津の登場はかなり後半のほうで、そこまでは陰惨な事件の様子よりも刺青という芸術についてとくとくと聞かされる印象で、絢爛豪華な刺青にあてられて眩暈がしそうでした。
    後に書き直したとはいえ地の文も会話も固さ柔らかさがちょうどよく、高木彬光はやっぱり良いと再確認しました。

  • 刺青

  • 最初は文章がタルかったが、慣れれば一気に読めた。

    内容としては食い足りなかったが、時代背景を考えると、十分猟奇的であり、奇抜かなと思える。

    違う作品と読み比べるのもいいか

  • 何を隠そう…というか、別に隠していないのですが、古色蒼然とした"探偵小説"が好きです。(推理小説というより探偵小説という感じが合っているかと)
    しかし、高木彬光氏の作品は不覚にもこれまで『能面殺人事件』しか読んだことがなく、今更ながらにこちらを読みましたが…
    なるほど。日本の探偵小説・推理小説オールタイムベスト投票のような企画で必ず上位に入る作品だけあります。
    今となっては(他の推理小説を読みつけた身としては)トリックの要のところは読めてしまいますが、この、"耽美な"プロットがいい。そしてこの「読者への挑戦状」にはしびれる(笑。大いに楽しみました。

  • 刺青が耽美的であったことは印象に残るのだが、トリックなどは今日となってはさすがに古さを感じずにはいられない。

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