刺青殺人事件 新装版 (光文社文庫 た 4-46)

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  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334766443

感想・レビュー・書評

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  • 古い作品なので、読みにくそうだなぁと勝手に思い長い間詰んでありました。
    しかし読んでみるとほとんど読みにくさはなかったです。

    犯人はこの人かなぁ?と思いましたが、トリックは最後までわからずでした。
    わかった時はあぁなるほどねぇと唸ってしまいました。
    思い込みって怖い笑

    密室のトリックがそこまで重要視されていないのも個人的には高評価でした。


  • 敗戦後の東京で起こった猟奇的な殺人事件。まだ人にも空気にも闇が濃く渦巻いているようなそんな雰囲気になってしまう時代背景だと思いました。この仄暗い妖しい感じ好きなんですけどね。
    そんなグロテスクな事件に似つかわしくない、一本気で正直者で躁鬱な松下研三くん。物語の大半を彼が引っ張っていくのですが、推理もあと一歩及ばず、探偵を気取って大失態まで起こしてしまう始末。でもそんな彼ですが、恐ろしい事件が次々に起こる中、何だか憎めない愛嬌のある存在としてホッとします。迷宮入りかと思われた時、本当の探偵登場。それが神津恭介、イケメンでとんでもなく賢くてすごい人です。あっという間に謎解きしてくれます。松下くんはもう羨望の眼差しです。わたしも同じくです。このコンビ、いいです。このお話もたびたび行われたミステリーのベストテン選出には、必ずランクインしてきたという名作。その通り納得の大満足でした。

  • 刺青の歴史、戦後の雰囲気、色褪せない素敵な作品でした。(名探偵ものがとても好きです)

    神津恭介の登場にはテンションが上がりました。名探偵の登場にテンションが上がったのは初めてです。
    難事件を華麗に推理する神津恭介は本当にかっこいい!
    もっと読みたい!そう思いました。光文社さん他の作品も新装版お願いします!!!

  • 日本三大探偵である明智小五郎、金田一耕助、神津恭介のうち、神津恭介はあまり読んだ記憶がない。その神津恭介登場作。

    刺青がいくつも並ぶ様子も、刺青の披露会も、想像するだけで、おどろおどろしく耽美。犯人は早い段階で推測できるのだけれども、トリックが最後までわからず。神津恭介の華麗な推理を楽しんだ。

  • いつか読みたいと思いつつ
    ずっと手が出せていなかった神津恭介シリーズ。

    名作との誉れ高い本書をようやく読むことができた。

    読み始め、物語の設定された年代もあって
    古臭さというか入り込めないところがあったものの
    中盤からは入り込め、神津恭介が出てきてからは
    一気読みでした。

    いろんな箇所に粗さは見えるものの
    デビュー作ということで密室トリックへのこだわりや
    読者への挑戦状など初期衝動に溢れている。

    本作に欠かせないギミックではあるものの
    作中、刺青への偏執的な薀蓄が多く
    やや辟易するところはあるものの、
    そういうある種の禁忌性を帯びたものへの
    偏執的な愛・耽溺・マニア性・怪奇趣味が
    乱歩全盛時代の当時のミステリー界には
    受け入れられやすかったのかもしれない。

    全体的に読みやすいとは言えないものの、
    ミステリーとしての論理性などは今でも色褪せないもので
    ミステリー好きならやはり一読に値する作品だと思う。

  • 初神津恭介シリーズ。いつ出てくるんだろう?と思ってたら、終盤ひょっこり出てきて、あっさり解決してしまった!頭良すぎ。密室での殺人。私はというと、刑事と一緒にうまい具合にミスリードされ右往左往。昔だからできただろうトリックだけど、とても読みやすかったし、面白く読めた。シリーズで追いかけたい。

  • 初高木彬光作品。
    よく書かれていて面白く読んだ。
    昔の作品と侮っていた。
    高木彬光作品も少しずつ読んでいきたい。

  • 舞台は終戦翌年の東京。刺青に彩られた妖艶な美女、密室殺人、容疑者のアリバイ、名探偵登場というミステリーの醍醐味を味わえる。

    名探偵神津恭介初登場にして著者のデビュー作として名高い。

  • 冒頭の刺青の耽美講義から作品世界に惹き込まれました。猟奇的な死体も相まって良い雰囲気です。
    密室トリックは初歩的で拍子抜けしましたが、そこから派生する「何故、密室にしなければならなかったのか」と「何故、胴体が消えたのか」のプロットが実に素晴らしいです。「日本推理小説史上に欠かすことのできない作品」という評価は十分頷けます。
    ただ一つ気になったのは、「読者への挑戦」の後で新事実が発覚することです。推理する条件はある程度揃っているとはいえ、探偵と読者が公平でないのはややアンフェアかなと思います。

  • 背中に大蛇丸の刺青を彫った女が密室となった浴室で殺され、しかもその胴体はどこかに持ち去られていた。明智小五郎、金田一耕助とならぶ日本三大探偵のひとり、神津恭介のデビュー作。(しかしその登場は終盤まで焦らされる)

    刺青に魅入られた医学博士や女の情夫、刺青にまつわる迷信など、戦後間もなくという時代とあいまって妖しく耽美的なストーリー。

    ちなみに、本バージョンは大幅に書き直されて1953年に刊行された改稿版。1948年に刊行された初稿版は、『初稿・刺青殺人事件』として扶桑社より出版されている。

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著者プロフィール

1920年9月25日、青森県生まれ。本名・誠一。京都帝国大学工学部冶金科卒業。48年、失業中に書いた「刺青殺人事件」が江戸川乱歩の推薦で出版され作家デビューし、「能面殺人事件」(49-50)で第3回探偵作家クラブ賞長編賞
を受賞する。79年に脳梗塞で倒れるが過酷なリハビリ生活を経て再起、「仮面よ、さらば」(88)や「神津恭介への挑戦」(91)などの長編を発表。作家生活の総決算として「最後の神津恭介」を構想していたが、執筆途中の1995年9月9日に入院先の病院で死去。

「2020年 『帽子蒐集狂事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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