小説あります (光文社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (401ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334766931

感想・レビュー・書評

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  • 「人はなぜ小説を読むのか」と、本作で勇次が郁太に問いかけていますが、ちょっと前に同様のブログ記事を読みました。

    そのブロガーの記事には時々違和感を覚えることがあって、その正体って何だろうと考えていたのですが、その解答は本作の言葉でいう「人格の修行」っていう点なのかな〜と思いました。

    なんだか大げさな言い回しですが、自分と異なる考え方の人に(架空、現実問わず)どれだけ多くの人と接することが出来たか、というところでしょうか。人物描写が巧みな小説ほど、文字通り生き生きとその人物が描かれ、その人の考え方などを知ることが出来る。そうして「こういう考え方の人もいるんだ」と“他者を許容する範囲”が広がっていくのかな〜って。(場合によっては許容どころか“目標”になる人物が現れることがあるかも?)

    当のブロガー記事も勇次と全く同じ理由で小説を否定していますが、本に直接的な実利しか求められない人の意見だと思います。小説が好きな人と接していたらその視点で考えられる、あるいは意見を聞くことが出来るはずですが、それが出来ないのは常に自分と同じような考え方の人(本には実利しか求めないような人)としか接していないからじゃないかな〜と思った次第。

    勇次が言うように映画やコミックなどでも同じ「修行」は出来ますが、個人的には小説を読む理由は「暇つぶし」「娯楽(エンタメ)」であって、小説は多数あるその手段の一つ。それでいいんじゃないかと思ってます。(叙述トリック系のミステリなんかは小説ならではの表現なので、小説でしか楽しめない「暇つぶし」というのもあるとも思います。)

    小説好きな私としてはブロガー記事と勇次の言動にカチンと来てしまった(大人げない…)ので、そのような思想的(?)なことをいろいろ考えさせられる本となりました。

    それとは別にもう一つ、同じレベルで興味を引かれた点があります。それは「死後に刊行された遺稿集に、著者直筆のサインがある」という“ありえない事案”。この「普通ゼッタイあり得ない」という事柄に果てしなく興味を惹かれ、その謎を解き明かして行くミステリとして私はとても楽しめました。その作家、徳丸敬生を解説するパートは少々文字を追う速度にブレーキがかかりましたが、それ以外は一気読みでした。

    なお、世界観を共有する別作品があるようで、本作にそのキャラクターが登場しています。何となく気になったので、近々そちらの作品にも手を出してみようかと。

  • 2014年4月15日読了。
    「小説を読む理由」かぁ。作中で出された答とは違うものを、私は探したい。

  • 人間って一旦書き言葉に浸る快感を覚えたら、その後はもう自分の見たものや感じたことを全てを頭の中で書き言葉にしてしまう動物らしいんだ

  • 「おさがしの本は」の姉妹編。

    前作と同じN市を舞台に、文学館の廃止を受けて、文学館の嘱託として働いていた老松郁太が奔走する。

    ある失踪した小説家が残したサイン入りの遺稿集の謎。
    兄郁太を実業家に戻そうと、人はなぜ小説を読むのかと言う言葉のなぐりあいを仕掛ける弟勇次。

    所々で前作の和久山さんが出てきて、奥さんの話しとかしちゃったり、結構ここでも頑張ってる姿が良い!

    でも、兄弟の言葉のなぐりあいで、郁太がなぜ人は小説を読むのかの答えをいくつか出していく過程があったらいいのに。
    (あったけど読み取れなかったのかなぁ)

  • 人はなぜ、それ(小説)を読むのか。
    物語の中には一応の答えがある。
    でも、100人いれば100個の、1000人いれば1000個の答えがあるように思う。
    小説から知識を得ようとして読む人はあまりいないだろう。
    知識が欲しいなら専門書を読んだほうが早いのだから。
    あれもこれも全部読んでみたい。
    恋愛小説が大好き。
    ミステリーには目がない。
    人それぞれに好みは違うし、何を面白いと感じるかはその人の感性によって変わってくる。
    だからこの物語で示されるひとつの答えらしきものに納得しない人もいるだろう。
    「あぁ、そういう見方もあるんだな」といったところだろうか。
    別の世界にひたれるから。
    これが一番しっくりくる私の答えだ。
    本を開いている間、活字を追っている時間は、体はここにあるけれど心はここにはない。
    開いている物語に寄り添い、感情を揺さぶられ、笑い怒り悲しみ喜ぶ。
    もちろんピッタリと寄り添える物語ばかりではないけれど。
    本を読んでいるときは他のことは何もしない。
    ただ、読むことだけに集中している。
    その時間がたとえようもないくらい幸せな時間だし、心の疲れを浄化してくれる。
    本から学ぶことは多い。
    語彙も増えるだろうし、何よりも感情が豊かな人間になれそうだ。
    最近テレビ番組で「共感力」を育てるために絵本を読みなさいと言っている人がいた。
    心を育てていくためにも、読むということは大切なことなのだと思っている。

  • 「人は何故、小説を読むのか」というテーマがとても興味深かった。議論の中で、納得するものもあり、そうくるか!と思うものもあり、結末にはまあ納得。気持ちの良い終わり方。謎解き要素もあり、そちらも展開は気になるが、そちらの結末は割とあっけない。
    以前の作品よりちょっとだけ、語り口が柔らかく思えたけど、それはまあ登場人物の関わりが敵対していないからなのかもしれない。
    以前に読んだ「おさがしの本は」の主人公も登場し、その後も描かれているのが嬉しいところ。

  • 人は何故小説を読むのか。。。

    廃館寸前の文学館に勤める老松郁太さんは、作家徳丸敬生さんの作品に魅せられ、家業を捨ててしまう
    そんな郁太さんを連れ戻そうと、弟の勇次さんが考えた勝負が「人はなぜ小説を読むのか」という問いに納得できる答えを用意すること。

    なぜ読むのでしょう?
    私は自分の知らない世界で生きている人になれるからかなぁ。。。暇潰しかなぁ。。。色々な考え方の習得かなぁ。。。

    難しいね!

  • まあまあでした。おさがしの本は、のほうが好きだったかな?
    三人兄弟素敵でした。

  • 文学館に勤める兄ちゃんが、文学館の廃止に際して、
    自分や周囲や小説を読む事を、考える。
    読みながら「自分は何故?」って考え込んじゃいます。
    『想像の翼を駆って色んな世界行けるから。』

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