- Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334767808
感想・レビュー・書評
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シリーズ4の一冊。
信次郎と伊佐治。
この二人を、屍体の中に隠されていた瑠璃が導いた先は遠野屋清之介のもと。
この導かれ方といい、やっぱり切っても切れない縁を感じる信次郎と清之介の二人。
そしてこの瑠璃があの過去、清之介にとって忘れられやしないあの過去、大切な人との優しい思い出に絡んでくるとは。
今作は清之介&伊佐治の旅という意外な展開を始め、内から外への動なるものを感じた。
清之介の人としての、商人としての姿が眩しい。
過去へ向き合った故の大きな商人としての決意、大切な人達のために一歩外へと踏み出す姿がカッコいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東雲は全国で割と多くある地名で、私も近くに住んだことがある。本来、夜明け前の茜色の空を指し、これから成長していく期待が現れていると思うのである。
本題名は、さらにその前であろうか、東雲の途ということは東雲に向かっている、夜明けに向かっているのか、まだ東雲の状態の途中なのか、楽しもうと、ページをめくった。
町人風の男が殺害されるところから始まる。その男は武士だと木暮信次郎が見抜く、そしてその男は遠野屋清之助とどんな関係が・・・。
清之助の止まっていた時間が動き出す。
信次郎、清之助、伊佐治がそれぞれの味を出しながら、清之助の過去に迫る。過去を断ち切るには原点に戻ることなのかもしれない。それは心理療法の手法に近いものがあると感じた。 -
回を追っても、面白さは増すばかりの弥勒シリーズ第4巻。
今回は遠野屋の過去が明らかになる。
ほぼ三人の男の周りでの出来事を追っているだけなのに、こんなに夢中にさせられるのは、三人のキャラがたち魅力的だからか。
木暮と遠野屋の関係が微妙に近づいた気がする。 -
この「弥勒」シリーズは、絶対見逃せなくなってしまった。
麻薬のような、と言ったら語弊があるだろうか、読みだしたら止められない、それほど魅力的ということであるが。
毎月大量生産されている文庫書下ろしの時代小説(ほとんどが延々と続くシリーズもの)とは、確かに一線を画すこの小説を、「全体時代小説」あるいは「創造的な時代小説」と、解説者の高橋敏夫氏は書いている。
本屋の書棚にずらりと並ぶ「最近大流行の平板で紋切型の時代小説」を苦々しく思っている身にとって、解説者の言は、まさに言いえて妙であり、留飲の下がる思いである。
武士としてではなく、商人として故郷に帰り、大仕事を成し遂げた清之介が、今後どういう活躍をし、運命をたどるのか、そして岡っ引き伊佐治や、同心木暮信次郎が、どのように係わっていくのか、次回作『冬天の昴』
が楽しみである。 -
信次郎と遠野屋の距離がなんか縮まった気配のする4巻。
やっぱこの作品は長編が良い。
個人的にはダークサイド遠野屋が好きなので、その片鱗がチラッと出てきたのにゾクっとしました
2022.9.24
140 -
弥勒シリーズの第四弾。
今作では、小間物問屋の遠野屋が、ついに過去と正面から向き合って、逃げずに覚悟を決めた。
ここまで、ずっと暗く付き纏っていた不安感が消えて、とても気持ちよく作品の世界に入り込めた。
江戸を(信次郎とも)離れ、遠野屋と伊佐次が旅する様子も新鮮で、瑠璃の謎を解き、貧しい藩の活路を語る遠野屋が良かった。 -
シリーズ四作目。
これまでとは少し違って、信次郎はあまり出てこない。けれどそのぶん、遠野屋と伊佐治の事がいままでになく深く描かれている。
とにかく最後の数行にすべて持っていかれたような気がする。ひろげた風呂敷が、とてもきれいにたたまれた感じで、個人的にはとても満足した。 -
遠野屋メイン。すげの里の瑠璃が結局どうだったのかよくわからなかった。終わり方は、いきなり紅花が出てきていきなり終わっちゃった?って感じ。だから読了感はイマイチだけど、あさのさんの醍醐味である人物描写は今回も健在でした。自分の暗い過去にずっと背を向けてきた清之介が、それに目を向けようと決心したのは、清之介の大きな成長になっただろう。旅の描写も素敵。そこにいるだけでいい。そんな、伊佐治さんのような人になりたい。
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帰郷編。
信次郎のヒトデナシ度が神がかってきている。
これで清之介の方はひとまず大丈夫だろうか。