舟を編む (光文社文庫 み 24-2)

著者 :
  • 光文社
4.21
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本棚登録 : 24090
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334768805

感想・レビュー・書評

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  • 長い年月をかける辞書編纂の作業…今まで想像もしてみませんでした。読後感が爽やか!初孫であった私の中学校入学祝いに、読書好きの祖父が『広辞苑』を贈ってくれたことを思い出しました。

    • ダイちゃんさん
      koalajさん、こんにちは。ダイちゃんと言います。広辞苑をプレゼントするとは、ステキな御祖父様ですね❗大切にして下さい。いいね!サインあり...
      koalajさん、こんにちは。ダイちゃんと言います。広辞苑をプレゼントするとは、ステキな御祖父様ですね❗大切にして下さい。いいね!サインありがとうございます。
      2021/08/19
  • 自宅に辞書が何冊かある。どれも10年以上前のものだ。
    久しく辞書を引くこともしていない。
    しかしながら、本棚の一角に定住するその辞書達は、正に本棚の重鎮と化しているのである。

    この本を読むと、辞書という書物の有り難みがわかる。
    ここまで苦労され、作られる辞書だ。そりゃ有益な書物となるわけだ。しかも終わりが無く、常に改訂が進められ、時代に即したものへと変化する。
    辞書が信頼の塊であることへの執着。どれだけ多くの人が苦悩し葛藤し、妥協も含めてこだわり抜いた逸品であるか。
    陰ながら『ありがとう』と申し上げたい。

    物語の最初から掴みはバッチリ。
    部署異動という形で、辞書編集部へ入った馬締。
    以前の部署では、振るわなかった彼も、辞書編集部ではその才能を遺憾無く発揮。少々ズレた部分はご愛嬌。

    登場人物は魅力的だが、印象を残すには、表現が少々弱いと感じた。恋愛も結婚後も中途半端に盛り込まれて、没入感を阻害された印象だ。主人公の人柄は十分理解できたが、周りの人々のことについては想像力でカバーすることになった。
    とは言え、情熱、劣等感など、要所は前面にしっかりと押し出して描かれている。

    楽しい読書が出来た。
    ありがとう。

    読了。

  • 一つのことに情熱をもって邁進できるって素敵ですね。
    それが仕事だとより良いけど、、、

    まじめが一番なんだよね。

  • ブクログを始めてから、言葉についてたびたび立ち止まって考えるようになった。発想豊かなブク友さんが書く書評に触発されるからだ。上手い文章つながる本や語彙が増えそうな本に目が留まれば手にとっているのだが、本作もその一貫で選んで読んでみた。

    内容は、これといった取り柄のない主人公と辞書編集部の面々がそれぞれの立場から辞書を完成させていく物語。堅い内容を想像していたら意に反して、のっけから言葉遊びが始まりスラスラと読めてしまう。「犬。そこにいるのに、いぬ。はは、おかしい。」という調子だ。

    本作の良さは、辞書つくりに前向きな登場人物ばかりでない点だと思う。一般に辞書は生活をサポートしてくれるもので、小説や雑誌のように生活の中心にはなり得ない。そんな読書が抱くであろう距離感を前向きでない人物を登場させることによって上手く表現している。そんな構図が辞書に興味のない読者からも、きっと支持されているのだと思う。

    意識したことはなかったが、辞書のような身近にあるものに人の努力が込められている。この小説を読まなかったら、何も考えず時間が過ぎていったのかもしれない。

  • 辞書編集部のメンバーが辞書を作るそれぞれの想いと共に、協力して辞書を作りあげる物語。
    確かにこれは本屋大賞って感じの面白さを感じた。
    辞書作りに関わる4人の視点で描かれていて、個人的に好きな部分は、西岡という人物の視点の話がめちゃめちゃ刺さった。仲間や同棲者への想いとか悩み事とか、仕事への向き合い方に共感というか、自分と少し似たところがある感じがして、そこの部分だけものすごいスピードで読んだ。
    これからの辞書の見方がいろんな意味で変わりそう。

  • 辞書を編纂する人達の話。
    辞書って当然のようにそこにあるものという認識で、辞書を作る人達のことは今まで考えたことがなかったです。辞書を作るって、すごすぎ。
    長い年月をかけて一冊の辞書が編まれるというその過程に感服しました。たくさんの人の辞書に対する熱意を感じ、うわあ、いいなあってなりました。語彙力なくて悲しい。辞書引きたくなってきちゃった。
    言葉の面白さもいっぱい知れました。特に、「のぼる」と「あがる」の違いはすごくしっくりきました。言葉って本当に深いなとしみじみ感じます。
    言葉、そして辞書の魅力を存分に味わえた作品でした。良かった!

  • 有名な1冊なので作品の雰囲気自体は知っていましたが、読んだことはなく、たまたま図書館で見かけ手に取りました。

    どんなに立派な辞書1冊でも、よっぽどの変人でも居ない限りほとんどの人には自分に必要な数ページだけしか読まれない辞書という存在。そんな1冊の辞書創りに、文字通り人生をかけて取り組む人々の様子を知ることができました。
    また、その中で言葉との関わりや人間関係の機微も見られる様子は、辞書だけでなく日常の端々にも見られる光景だと感じました。

    読書を趣味にする者として、言葉を大切にしたいと改めて感じました。

  • 「職業とは愛の行為」と語ったのは村上春樹だったか。その言葉を思い出しました。

    読みやすく、あっという間に読了しました。
    ただ、少々物足りなかった感じも。。

  • 言葉について考えさせられる作品だった。
    辞書のつくり手のことなんか考えたこともなかった私からしたら、とても興味深い作品。
    ことばの持つ力などを考えさせられた。
    この本で書いた読書感想文で代表に選ばれた。感謝。

  • 3.8

    以前から読みたいなーと思っていて、先に買った辞書を片手に読破。
    辞書編纂というのは思っていたよりずっと時間がかかるもので、生半可な覚悟では取り組めないと感じた。
    作中で学んだのは、何より大事なのは何かに熱中し本気になれることがあることが、どれだけ貴重で価値がある“才能”であるかということ。
    また、せっかくこんなに多種多様な日本語があるのだから小説を読んでいろんな語彙に接していろんな日本語で表現していきたいと思った。

  • 辞書を題材にした本は初めて読んだ。めっちゃ面白かった、またよみたい!最高!感激!って感じではないけどスラスラ読めて読みやすかった。1日あれば読める

  • 舟を編む、なるほどね。
    たくさんの人の想いを乗せて出来上がった辞書。
    『一人の力ではなく、みんなの力を合わせる』って素敵なことだなぁ。と。
    周りの人に感謝せねばと思いました。

  • 読みやすい、さすが本屋大賞。しかし今の時代だと完全にデジタル化してすぐ終わることを何十人が徹夜して人海戦術で対応しなきゃならないのはリアルに恐ろしさを感じるわ。宮崎あおいが映画に出てた気がするわ、可愛いのよねあの子。

  • 辞書編集に取り組む人たちを描いた小説。
    普段、知ることのない辞書編集の裏側が、語彙収集のみならず、辞書を刷る紙にまで及んで幅広く語られる。

    辞書編集がテーマというとお堅い文芸書を想像するが、中身は良くも悪くもコミカルで気軽。前半で物語の前面からは退く登場人物の西岡の描写のようにチャラくもある。

    西岡の半端な掘り下げはさておき、馬締と香具矢の仲があまりにあっさり進展するところや、後半の"あれから十年"的なノリ、ちょいちょい出てくる"スケブー"のような小ネタが個人的には今一つかな。

  • 現在社会人2年目の自分でもなかなか馴染みのない辞書。それを一つ作るだけでも、相当な労力がかかる。

    分厚いため作成期間が長いと都度使われる言葉の変化もあるなかで辞書を作る大変さがわかる一冊。

  • 2021/11/07 読了。
    感想は某所のブログで書いたものの再掲です!

    ・いや~本屋大賞。本屋大賞ですね(どういう感想?)。三浦しをん、幅広いな~。って思った。


    ・なんとなく、辞書の話。ということは事前情報のみで知っていたのですが、まあ、とってもとっても正しい事前情報でした。「辞書の話」としか言いようがないです。辞書と辞書を愛するひとの人生のお話……

    ・感動的でした。泣いちゃった。辞書ってすごく長い年月をかけて作られていくものなんですね、だからほんとに、「人生をかけて」という言葉がぴったり。

    ・『風が強く吹いている』のときも思ったけど、すごくすごく綿密な取材や調査の上にこの本ができたんだろうな~、と感じました。実際取材を受けた辞書編集部の方がそう解説に書いていた。すごい……


    ・しかもアニメ化してた!? 主人公が櫻井孝宏でヒャア~!!って笑っちゃった。最近見たアニメ全部、主人公が櫻井孝宏(金色のガッシュベル、有頂天家族)。

    ・見たいな。配信探してみよう。

  • 言葉・辞書を何よりも愛し、丁寧に一つづつ定義づけていく主人公の姿勢はとても魅力的だった。特に「言葉は生き物」であるという考えはかなり好きだった。
    どこまでがフィクションなのかは、出版社の人間ではないので分からないけれども、辞書作りには莫大な金と時間、労力の上で成り立っていることを知った。


    思ったより読みやすいカジュアルな恋愛小説で、確かに実写化に向いたエンタメ作品だな、とは思う。
    ただ、言葉に対して興味を持つ入り口には良い書籍だと思う。
    (ボリューム不足感は否めない)

  • うーんいいお話だということはわかるんですがどうにもハマらない...。ちょうど半分くらいまで読んだあたりでしんどくなってきました。ワクワク感が薄いせいでしょうか。暇でどうしようもない時に読むことにします。

  • とある出版社の辞書編集部、そこに言語に対する感性を買われてやってきた主人公を中心とする物語です。主人公、馬締光也が部署の新人としてやってきて、そこで出会いと別れがある中で受け入れられ、プライベートでは恋愛もし、やがて辞書編集部の責任者となり、新たな新人がやってきてと、王道ともいえるストーリーが展開されます。読んでいて安心感があり、辞書を作る部署という独特の世界について知ることが出来ました。また辞書という目立たない世界を進めるための、主人公達の情熱の素晴らしさに感嘆します。決して焦ることなく着実に、「編む」ようにという姿勢には学ぶところがありました。

  • とっても面白かったけど…。途中の気になった部分が飛ばされた感が少しありました。でも、あると間延びしちゃうのかな?辞書作りに関わる人の人生模様ドラマという感じかな。お話として楽しく読むことができました。

著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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