光 (光文社文庫 み 31-3)

著者 :
  • 光文社
3.47
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本棚登録 : 1257
感想 : 98
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  • Amazon.co.jp ・本 (423ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334769468

感想・レビュー・書評

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  • 子供は冒険が好きだよね。かくいう私も好きだったし、危険な遊びもしてたと思う。
    でも親になってからは、危ないことはしないでって思って、子供に色々制限してしまってたかもしれないのは反省。でもやっぱり心配。さすがに終盤のような事件はなかなかないだろうとは思いつつも、何が起きるか分からない昨今。複雑な思いである。

    とはいえ、友達とかけがえのない時を過ごしてほしいね。

    一人どうしても好きになれない子がいたな笑
    あと、レビューで軽く書き方についてのネタバレを受けてしまっていたので、ここかーと気づいて驚きはなかった。残念すぎ。

  • あだ名とか、子どもの感性とか、あの時期特有の自意識とか、すごく共感。しかも丁寧に描かれている上、スリルに溢れる少年冒険小説。さしずめ、現代のトムソーヤーの冒険のよう。
    月と蟹よりも、こちらの方が共感度高い。

  • 道尾秀介を初めて読んだ。「光」を手に取ったが、手始めとして、そして元旦に読む本として相応しい作品だったかなと思う。題名のごとく「光」がモチーフで、光の向こうにおぼろげに見えるノスタルジックに描かれる少年時代。しかし、本文の「私」と、ゴシック体で書かれた「私」にちょっと戸惑いを覚えた。

  • 田舎町で暮らす少年少女の物語。毎日が冒険で友達と過ごす日々は本当に光り輝いていた。成長物語の要素はもちろんのこと、ちゃんとミステリの要素もある。道尾秀介さんはホラーなんかもあるため身構えることも多いけれど、本作は爽やかな読み心地なので安心して読んでほしい。自分の子供の頃を思い出すからか心に残った作品になった。

  • 主人公たちが小学生だった頃、
    少し外れた郊外の自然が残る街で山や川や湖で遊びながら冒険、発見と

    著者の時空を使った言い回しが妙です。

  • 道尾秀介の少年が主人公になる作品の中
    で、一番のお気に入りになった。
    短編集のようで、月日が流れていく。
    さまざまなエピソードがあり、利一や友
    人達との絆が強くなる。
    ラストの息詰まる展開から目が離せなく
    なった。

  • それが当たり前であるかのように高校生の甘酸っぱい青春を描いた物語を読んでも自分にはあまり共感できないことが多いが、本作が描いている小学生時代の好奇心や思い出には懐かしい気持ちを味わうことができた。登場人物の小学生らしい天真爛漫な言動は大人になった自分にはとてもまぶしい。とはいえ、ただそれだけでは終わらないのはさすがの道尾秀介。最後の解説を読むまでは市里修太という作家は実在するのだと思っていた。
    道尾秀介作品は文体というか全体的な雰囲気として独特の寂寥感を感じるものが多いと思っているが、『光』は物語のテーマも相まって特にその色が強く感じた。またさらに年を取ってから改めて読みたい作品だ。

  • 単行本でも読んだけど、文庫で再読。

    確かにこの作品は光。
    こどもの頃友だちと遊んだ想い出は、自分の中の光のような存在になってる気がする。

  • 作者独特の怪しげな光のお話かと思ったら読書感想文の課題図書っぽく、安心して読めた(笑)親に内緒のプチ冒険や友達にしてしまった悪意のない残酷なイタズラとか誰しもが幼い頃を思い出して懺悔したり、懐かしがったりするはず。

  • おもしろかった。
    少年少女の小学生の頃の話

    田舎の何もない小学生が、湖の洞窟やアンモナイトと出会い、心が踊る。ザ少年が好きな事をまとめたような話。
    少年時代特有のタイプが違ってもなんか仲良くなっていく過程がリアルでワクワクした。

    一気に読めて、めっちゃおもしろいかったけど、
    星4を付けるにはなんかなあって思ってしまった。
    3.5ぐらいの3かな。

  • 「道尾秀介」の長編小説(連作短篇かな…)『光』を読みました。

    今月の始めに読んだ『鬼の跫音』以来、10冊連続で「道尾秀介」作品です、、、

    今月は「道尾秀介」特集月間ですね… でも、1作ごとに作風が異なり、作品が進化し続けているので飽きずに読めるんですよね。

    -----story-------------
    あのころ、わたしたちは包まれていた。
    まぶしくて、涙が出る――。

    都会から少し離れた山間の町。
    小学四年生の「利一」は、仲間たちとともに、わくわくするような謎や、逃げ出したくなる恐怖、わすれがたい奇跡を体験する。
    さらなる進境を示す、「道尾秀介」、充実の最新作!

    「利一」が小学生だった頃、仲間といれば毎日が冒険だった。
    真っ赤に染まった川の謎と、湖の人魚伝説。
    偽化石づくりの大作戦と、洞窟に潜む殺意との対決。
    心に芽生えた小さな恋は、誰にも言えなかった。
    懐かしいあの頃の記憶は、心からあふれ出し、大切な人に受け渡される―。
    子どもがもつ特別な時間と空間を描き出し、記憶と夢を揺さぶる、切なく眩い傑作長編小説。
    -----------------------

    小学校の頃って、ホントに毎日が冒険だったなぁ… 本書に登場する「利一」とシンクロする部分が多く(誘拐事件は除く)、少年時代を思い出しながら読み進めましたね、、、

    自転車で移動できる範囲が自分にとっての世界の果てだったことや、友達と手打ち野球を楽しんだこと、山林や雑木林が遊び場だったこと、野良犬との交流があったこと、亀を飼っていたこと、昔は化石を容易に見つけることができたことを教えてもらったこと、カセットテープを使って遊んだこと、河原でホタルを追ったこと、貧しい子やそれなりに裕福な子がいたこと… 等々、懐かしい日々が蘇えってくる作品でした。

     ■第一章 夏の光
     ■第二章 女恋湖の人魚
     ■第三章 ウィ・ワァ・アンモナイツ
     ■第四章 冬の光
     ■第五章 アンモナイツ・アゲイン
     ■第六章 夢の入口と監禁
     ■終章 夢の途中と脱出
     ■解説 大林宣彦

    小学四年生の「利一」と、その仲間たちの夏休みから冬の終わりにかけての体験と、その経験を経て子どもたちが成長していく姿を描いた作品… 読後の印象は「スティーヴン・キング」の『スタンド・バイ・ミー』を読んだときに近かったですね、、、

    真っ赤に染まった川の水の謎と、湖から魚がいなくなった本当の理由と人魚伝説、洞窟での恐怖体験、アンモナイトの偽化石づくり大作戦、大切な人にホタルを見せるためにホタルの幼虫を厳冬の川で捕獲、去って行く友人へ渡したかった贈り物を手に入れるためのデパートでの盗掘作戦、誰にも言っていなかった将来の夢を告白したテープ、胸の中に芽生えた小さな恋心、そして、狂言誘拐が誘拐事件に発展してしまった決死の対決… 等々、わくわくしたり、恐怖を感じたり、切なくなったり と、「利一」に感情移入しながら愉しく読めました。

    「利一」の友人「清孝」の祖母「キュウリー夫人」は、最初、気難しい人だなぁ… と思っていましたが、「利一」等との交流の中で徐々に心を開いてくれて、終盤では大好きな登場人物となりました、、、

    こんな大人との交流もあったなぁ… と思い出しましたね。

    大人になってから、いつの間にか失ってしまった冒険心、見えなくなってしまった光… 少年の頃って、こんな生活が永遠に続くような、そんな錯覚があったような気がしますね、、、

    「道尾秀介」って、少年の心情を描くのが巧いなぁ… と改めて感じた一冊でした。

    冒頭(目次より前)に紹介される『時間(とき)の光』という「市里修太」という作家の文書の一部や、アポロ11号の月面着陸の際の、「ニール・アームストロング船長」等と管制センターの通信記録、各章の間に挿入される「わたし」の回想等、読んだ際には意味がわからない、ちょっとした謎が、読んでいるうちに徐々に解けていくのも愉しみのひとつですね、、、

    「利一」→逆にすると→「一利」→「市里」

    亀の「ダッシュ」→逆にすると→「シュダッ」→「修太」

    なんて気付かないよなぁ… そんな遊び心もある作品でしたね。

    先入観を持たずに、自然体で読み始めたのも良かったかな。

  • デパートのとこ、油断してたからギャップにめちゃくちゃ泣けた。自慢しぃだけど、熱いハート持ってるじゃんか。

    キヨもばあちゃんもカッコイイし、キャラクターがみんな魅力的で楽しかった。

    冒頭の一文は、解説を読むまで「私は知らんけど有名な本の引用なのかな」と思ってました。

    意味もなく「…なのねす」って言いたくなる。
    私の学生時代も「模試」が「もち」になる先生いたなぁ

  • ★3.6 2022.04.23

    みんなが小学生だった、あの頃の話。
    ちょっとしたことが冒険で、友だちのためという大義があったあの頃。

    さすがに小学生としては冒険の度が過ぎているのはフィクションなので良しとして、あの頃の、甘くて苦い思い出に浸れる物語だった。


    ↓↓↓内容↓↓↓
    利一が小学生だった頃、仲間といれば毎日が冒険だった。真っ赤に染まった川の謎と、湖の人魚伝説。偽化石づくりの大作戦と、洞窟に潜む殺意との対決。心に芽生えた小さな恋は、誰にも言えなかった。懐かしいあの頃の記憶は、心からあふれ出し、大切な人に受け渡される―。子どもがもつ特別な時間と空間を描き出し、記憶と夢を揺さぶる、切なく眩い傑作長編小説。

  • スタンドバイミーのような作品
    ミステリーかなと思って読んでたから毛色が違くておどろいたけど、これはこれで大好き
    少年の頃の思い出が蘇ってくる、、
    最初のページから騙されてるだなんて思ってなかった笑

  • 序盤は少年文学というか、子供の時図書室にあったズッコケ三人組シリーズなのか?と思いながら読みました。伏線の回収も、少しわざとらしいところもあって、ちょっと舐めてました。いやーしかし、終盤は加速度的に面白くなりました。そして、最後は見事にやられました。

    そうですか。私とわたし、そうですか。
    本のド頭の引用箇所とか。そうでしたか。

    大林宣彦の解説も面白いです。本編とセットでお楽しみ下さい。

    余談ですが、劉生が慎司からポックリさんのモノマネを習うところが大好きです。
    「もうお正月ではごないまねん。」

  • 小学四年の利一とその友達の半年を描いた物語。

    写真家の父を持ち、金持ちをちょっと鼻にかけた宏樹。
    離婚した母を小学二年で失い、祖母に育てられている清孝。
    お調子者で不器用だが憎めない慎司。
    そして慎司の二つ上の姉で、利一の憧れの人悦子。
    この五人が女恋湖の伝説をめぐる冒険をしたり、アンモナイトの化石のレプリカを作ろうとしたり。
    人魚伝説、冬の花火大会、アンモナイトの化石など、子ども時代ならではのエピソードの数々が楽しい。

    五人のグループは…実際の子ども集団にはそれくらいの人数のことだってあるけれど、物語での子どもグループとしては多すぎはしないか?と最初思った。
    ドラえもんだって、のび太、ジャイアン、しずかちゃん、スネ夫の四人だ。
    多いとキャラがかぶるし、読者の方でも覚えきれない…とも思えたが、さすがそこはうまく描き分けられている。
    気になったのが、視点人物で、本筋の物語の語り手でもある利一がやけに大人だなあ、というところくらい。

    しかし、この利一少年が小4として不自然なくらい繊細で大人びたキャラクターなのは、この物語内物語がどういうものなのかが明かされていく最終章を読んで納得する。
    そこも含めて、周到に考えられたということだったのか、と感服する。

    清孝が、とてもいい。
    小学校二年で母親を失って、強くなるしかなかった少年だ。
    この子が、おばあちゃんである「キュウリー夫人」を思っていうセリフが泣かせる。
    「(ばあちゃんは)俺たちよりずっとたくさん生きているから、足だって腰だって、俺たちと同じことしても、俺たちより、何倍も何倍も、疲れるから、俺が(買い物に)行くんだ!」
    自分もおばあちゃんっ子だったが、この年齢でこのやさしさはなかった。
    強いこととやさしいことが両立する、これまたすごい小学四年生であった。

  • 懐かしい気持ちになる内容。
    たまにはこのような小説も良い。

  • 2021.4.30

  • 道尾さんもっと面白いイメージだったけど、これは文章が回りくどくてあまり好きじゃなかった。
    隠されていたトリック?も、そこまで「あぁぁー!」となるものでもなかったな

  • たぶん再読。それに、子どもたちの国語の問題で読んだこともある気がする。
    だから、ちょっとした伏線は気がついた。でも、ワクワクしたし、ドキドキしたし、子どもの頃の読書体験がこんなだったら良かったなって思った。実際は、今読むからこそ、こんな風に思うんだろうな。

    以前、読んだかもしれないが、今、家にないということは、そのときはそんなに良いなと思わなかったのだと思う。

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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