時代まつり (光文社文庫 は 34-2)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334769802

感想・レビュー・書評

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  • 生死とエロスは親和性が高いなあと改めて感じた
    表と裏があるのはずる賢いとかマイナスなイメージがあるけど、本音と建前を使い分けて相手も自分も気持ちよく物事を進めるのはむしろ理想的じゃないかと思った
    あと純粋に京都に行きたくなりました

  • 2017年、5冊目は、既に今年2冊目の花房観音の官能短編集、『~まつり』シリーズの第2段。6編収録。

    今回は各々、簡単に触れておきましょう。

    「かにかくにまつり」引用登録した冒頭がまずはイイ。花街に生きる女と、お坊っちゃん上がりの約20年の時を経ての再会は……。

    「七夕まつり」年に一度の逢瀬を重ねる、W不倫の男女。男の妻にソレがバレてしまう。他とオチの毛色が少し異なる1編。

    「義士まつり」かつての職場の先輩であった男の妻であり、同級生で憧れの女性と、40代独身男の物語。様々な点で、このシリーズでは異色。

    「節分まつり」小説家の男は、かつての文芸サークルの後輩をモデルに作品を発表していた。そして、彼女と再会する。この話の前後の男の作品を、スピンオフで書いてくれないかなぁ。

    「あじさいまつり」男と、かつての妻、現在の妻の不可思議な関係とは……。コレはやられた。というコトは、おそらく、自分がこの主人公に近い身勝手&鈍感なのかもしれない。

    「時代まつり」亡き父の実家の処分に、京都へ赴いた男は、時代まつりの行列の中、ある女性に見つめられた。ミステリーフレイバーだが、オチは想定内。

    全体として、前回の官能場面のヴァリエーションの少なさは、やや解消されているし、並びもシックリ。ただし、官能描写は、更にパターン化され過ぎた印象。コレは「あとがき」からの個人的見解だが、もしかしたら、官能描写をパターン化するコトで、その(官能場面)後のエンディング、オチをより印象付けようとしているのかな(?)。

    匂い立つような官能場面は健在も、前述のようにパターン化され過ぎて、やや食傷気味。今回はお得意の情念系も控え目。ただし、男の能天気さ、鈍感さ。女のしたたかさ、狡猾さ。が良く出ている。

    総合で、★★★★☆評価はややオマケ。

  • 京都の祭りを舞台に描かれた6つの官能短編集。著者が女性だからか、露骨ないやらしさはない。どの話も女性には芯の強さがあり、男性優位に立たせているように見せかけながら、女性の方が一枚も二枚も上手である。女性である私は読後感スッキリといった感じだけど、男性はどのような感想を持つんだろう。

  • 結構よかった!
    そして、やっぱり女はコワいのだった!ww

    誰かに読ませて、エロい気分にさせたい・・・ような?w

  • 2016 11 7

  • 雅やかで妖しい古の都、京都。彷徨う魂を鎮めるかのように繰り広げられる数多の「まつり」。再び出会うことを運命づけられた人々は囃子に誘われる。表題作を含む6つの連作官能短編集。どの作品も京都のまつりをテーマにしている。すごく切なくて、読んでいてつらい。だがしかし、性的描写の部分はワンパターンなので何作品も読んでいると若干、飽きてくる。

  • 『やすらいまつり』の続編とも言うべき、京都を舞台にした六編収録の官能短編集。花房観音の小説は単なる官能小説に留まらず、時に文学の香りが漂い、女性の持つ情念、本質、独特の思考を強く映し出した小説に仕立て上げている。女性が読めば共感し、男性が読めば恐怖を感じるだろう、そんな短編集。

    『かにかくまつり』。笠野秀人が京都の学生時代に男女の仲になった色街の女性、雪子…笠野は卒業間際に雪子に捨てられるが、二十年後に京都で雪子と再開する。色街に生きる女の強さと、いつまでも夢を見続けている男の滑稽さ…

    『七夕まつり』。笹原は独身時代に知り合い、別れた彩音と結婚しても、なお、年に一度の逢瀬を重ねる。彩音との不倫を妻に知られた笹原は再び、彩音に別れを告げるが…女の計算高さと強い情念が伝わる。

    『義士まつり』。矢崎の会社の先輩が結婚相手に選んだのは矢崎がかつて淡い恋心を抱いていた同級生の亜里だった。しかし、先輩は亜里を残し、自殺。未亡人になった亜里と再会した矢崎は、亜里に翻弄され…そんな状況を赤穂浪士の討入りに例えるところが滑稽で、男女の仲なんて、こんなものなんだろうなと思う。

    『節分まつり』。小説家の田所は、かつて、友人の頼みでラブレターを代筆し、友人の恋愛は成就するのだが…不思議な男女の縁と女の可愛らしいしたたかさ…

    『あじさいまつり』。富樫と藍子の夫婦は、富樫の浮気から離婚し、藍子の知人で浮気相手の美波と夫婦になる。それでも、距離を置かずの付き合いを続ける富樫と藍子…どこまでも清楚な姿を演じ続ける小悪魔のような女たちが見せる本性が怖い。

    『時代まつり』。友彦は亡くなった父親の自宅を売却するために京都を訪れ、時代祭の行列で偶然見かけた白川女…どこまでも男に深い愛情を注ぎ続ける女の情念…

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著者プロフィール

兵庫県豊岡市生まれ。
京都女子大学文学部中退後、映画会社や旅行会社などの勤務を経て、2010年に『花祀り』で団鬼六賞を受賞しデビュー。男女のありようを描く筆力の高さには女性ファンも多い。
著書に『寂花の雫』『花祀り』『萌えいづる』『女坂』『楽園』『好色入道』『偽りの森』『花びらめぐり』『うかれ女島』『どうしてあんな女に私が』『紫の女』など多数。
現在も京都でバスガイドを務める。

「2020年 『京都に女王と呼ばれた作家がいた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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