- Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334772307
感想・レビュー・書評
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食べ物と人生はやっぱり切り離せないもの。側にあり過ぎて、時々その重要性を忘れてしまうけれど。どの話も主人公の気持ちや思い出が食べ物とリンクしてて面白かった。特に茶粥の記が好きだったな。食べ物は思い出と共に語られると、魅力も美味しさも何倍も増すから不思議。
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様々な、食に関するアンソロジー。
今の作者、ではなく、昔の作者。
なので、時期が思うより昔です。
物語すべて、当然食の味覚なのですが
そちらが中心なのか、話が中心なのか…。
どちらかに突き抜けて欲しかったな、と思います。 -
多くの作家はこの人の評価に一喜一憂したのではないか。大河内昭爾。文学界、同人誌評の人である。彼が選んだ「味覚小説」だが、芋粥以外、本当に素晴らしかった。
芋粥は味覚小説としてはちょっと……と思う。選択ミスだろう。解説でも、選んだのに批判的に書いている。それはそうだ。むしろ芥川は寿司をテーマにした不気味な詩を書いているし、食べ物でいえば「好色」のほうがベストだし好みだ。実に惜しいと思う。
上司小剣の「鱧の皮」は読もう読もうと思いつつ、手に取れなかったが、ようやく目を通せた。法善寺横丁のなかにある、秘密のお店。こう、飲食店だのサロンバーだののママやってる人って、どうしてこう、カウンターしかないような良い店を次々知っているのかね。この飲食店街のママの視点で描かれる情景が精緻で素晴らしい。「大阪の文学」と呼べるもののなかで傑作だと思う。
矢田津世子の「茶粥の記」は、死んだ旦那が食べ物について語るところが見事。それから、満員電車を最初と最後に持ってきている、ストーリーの流れもきっちりしていて、見事な一編だと思う。
岡本かの子の寿司の描き方も凄かったし、水上勉「寺泊」での、蟹をゆでる湯気は目に浮かんだ。においまでわかった。円地文子の「苺」はステーキとイチゴと、男に染められる女という描写を組み合わせていて、参った。描写ではなく、「味」で、印象に残そうとしてきてる。ずっと援助してきて、友達関係のままだった男の悲しさも味わい深い。これって一番きつい「寝取られ」だよなあ。食べ物が、染められる。セックスよりきついぞ、これ。
編集の順番でもわかるように、最高の作品は上司小剣と矢田津世子の二つだ。読んでいてお腹がすくというより、美味いのが巧いなーというもの。円地文子のステーキとイチゴも目に浮かぶし、食べ物の描写は重要だなぁと勉強になるし、食べ物は人間の心をもっとも表すものではないかと、感じ入った。 -
1914年から1976年にかけての、味覚に関する短編が集められている。単純に味覚を描写するだけでなく、味覚にまつわるさまざまな思いを描写しているものが多かった。個人的には「苺」が好きだった。