雪の鉄樹 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 1162
感想 : 160
  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334772734

感想・レビュー・書評

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  • ★4.5

    祖父と父が日々女を連れ込む、通称・たらしの家で育った庭師の雅雪は、
    二十歳の頃から十三年間、両親のいない少年・遼平の面倒を見続けている。
    遼平の祖母から屈辱的な扱いを受けつつも、
    その傍に居るのは、ある事件の贖罪のためだった。
    雅雪の隠してきた過去に気づいた遼平は、雅雪を怨むようになるが…。
    愛と憎しみの連鎖の果てに、人の再生を描く衝撃作。

    凄い!凄かった。
    愛を知らない雅雪
    どうして…どうしてそこまでするの…?
    読んでて苦しい。
    とても苦しいけど頁を捲る手が止まらなかった。
    最後は涙が零れました。

  • ずっと読みたかった本。
    少しずつ語られ明らかになる過去はあまりにも重苦しく、それでも続きが気になり手が止まらない。
    何故?何故そこまでして?と、全てを知りたくなる中毒性も含む、愛を知らない男が人生をかけた壮絶な物語だった。

    絶対的な安心感や安らぎを幼少期から与えられないまま成長し、一般的な常識を知らず、他人との関わり方も知らず、独りで生きてきた男が彼女と出会って惹かれ、「人間にしてもらった」。
    初めて自分を見てくれた。
    初めて関心を持ってもらえた。
    そんな温かい目を向けてもらった事がなかった。

    疎まれ、蔑まれ、好奇の目にさらされながらの13年という年月はあまりにも長い時間であったが、身代わりの贖罪というだけでなく、共に過ごす中で自分をもまた育て直す事が出来た貴重な時間だったのだろう。

  • いったい何がそうさせるのか。
    誰の何をどこまでどう償おうというのか。

    一生懸命な姿というのは、時に周りをいらだたせる。
    鬱陶しい押し付けがましいといわれても、逆なでしても、自らが傷ついてもやめないやめられない雅雪。
    事件だけではない、また彼だけでもない、それぞれの心に蓄積されてきたものが少しずつ明らかになってゆく。
    全容がわかったあとには、疾走感のあるシーンがラストへと導く。

    親方にだって何かがあったのかもしれないな。

  • 前半は、ただひたすらに耐える男雅雪の過去が分からず、重苦しい不安を抱えながら読み進める。
    すぐに自分を悪者にして、謝ることで物事を対処する雅雪にもやもやするが、そんな雅雪に優しくも厳しい言葉をくれる人が周りにいてくれるのが救いだ。
    過去の出来事が語られ始めてからは、物語が動き始め、どんどん引き込まれていく。
    個人的には、簡単に感想がまとめられない、色々な思いが胸の中に溢れる作品だった。

  • 初めて遠田さんの作品を読みました。
    読書は、通勤電車、昼休みだけと決めているが、仕事中まで雅雪のことがチラついて、続きが気になって仕方なかった。
    雅雪は何をしてしまったのか?なぜ遼平の親が関わっているのか最後まで分からず、一気に読み切ってしまった。
    遠田さんの作品に出会い、これからたくさん読めることが嬉しくてなりません。

  • 初めて読む作家の作品でしたので、その厚さに少し身構えてしまいましたが、あっという間に世界に引きずり込まれました。

    重苦しい話です。
    主人公の雅雪は、血のつながりのない中学生の少年の保護者のような存在だ。
    実際にはその少年・遼平は祖母と住んでいるわけだし、なぜ反抗期で手に負えない他人の子の面倒を見るのか。
    それも、なじられても何をされても、黙って受け入れるだけだ。
    そこに心の交流はあるのだろうか、と、読んでいて不思議だった。

    徐々に明らかになる二人の背景。
    どうも遼平は何かの事件の被害者で、雅雪は加害者側の人間らしい。
    雅雪が遼平をかばうほど、遼平は雅雪に反発していく。
    でもそれって、「本気でかまって」っていう遼平の叫びなんじゃないの?

    雅雪の家には祖父と父がいる。
    女たらしの祖父と父は、雅雪のことを可愛がってはくれなかった。
    家族の愛情を知らずに育った雅雪が、家族を失った少年の面倒を見る。
    その歪な関係がなぜ始まったのか。

    親の愛情を知らない雅雪、親のいない遼平の他に、過剰に親から期待をかけられた郁也と、親から無視され続けた舞子。
    そしてもう一人、親の愛情を欲して欲して、でもついに与えられることのなかった男がもう一人。

    事件の真相が明らかになるにつれ、雅雪の贖罪は自己満足なのではないかと思えてくる。
    事件は決して雅雪のせいで起こったものではない。
    何なら、雅雪も被害者だったと言っていい。
    それでも、甘やかせるだけ遼平を甘やかせる雅雪の行為は、誰のためにもなってはいないではないか。

    雅雪が初めて遼平に向き合って本音を語った時、本当の気持ちがわかった時、誰が雅雪の行為を自己満足と糾弾することができるだろう。

    ”おまえの面倒を見るのは嬉しくて面白かった。おまえのおかげで、俺はずっと幸せだった。”

    ”俺は自分が子供時代に経験できなかったことを、おまえの世話をすることで経験できた。おまえのおかげで、俺は子ども時代をやり直すことができた”

    雅雪も、遼平も、郁也も、舞子も、そうして彼も哀しい子どもだった。
    けれど雅雪は遼平を育てることで自分を育て直し、遼平は雅雪に育てられてここまで大きくなった。
    それは互いにとって幸せでもあり、苦しいことだった。
    そしてこの先、雅雪は自分の幸せをつかみ、遼平は雅雪を故郷として世界に踏み出していくのだろう。

    後半の怒涛の展開に涙ぐみながら読んでいたけど、最後の一行でもう駄目だった。
    涙があふれて止まらなかった。

    ”はじめて人前で泣いた。犬でよかった、阿呆でよかった、と思った。”

  • 図書館に予約して4ヶ月。ようやく順番が回ってきました。遠田潤子さん2作目。イッキ読みさせる文章力もだけど、構成がスゴイ!最後は泣けて泣けて。主人公の雅雪の生き方には賛否両論あるだろうけれど、とにかく泣けました。
    2018.2

  • 最近信用度がめっちゃ高い小説家は柚木裕子さんと遠田潤子さんです。
    その中でダークサイドをひた走る悲愴小説家の遠田さんは、暗い暗い本を書かせたら当代随一、何でそこまで苦しめるのかとちょっと理解し難い位の悲愴っぷりです。
    今回も主人公は自分を追い込む負のループにはまり込み、誠実に痛々しく歩んでいます。
    なんでそこまで背負い込むのかという不思議感は感じざるを得ませんが、力を込めながら応援している自分がいるのも事実です。
    何より主人公が、必ず光の方に向かって頑張って歩いているのが分かるのが、この作家さんの美点ではあると思います。
    でもそろそろ新機軸が必要かもね、なんてことも思いながら読んでいました。

  • 遠田潤子さんの本は2冊目だが…。凄い本を読んでしまった、という感想。
    明らかにされない事実が気になって、物語にどんどん惹き込まれていく。雅雪がここまで傷つけられる理由が知りたくて読書を中断できず、気が付くと夜が明けていた。
    ただ、理由が分かってからは、原田同様に私も、雅雪の行動に歯がゆさを感じて、ずっと怒りながら読んでいた。何故そこまで彼が贖罪しなければならないのか。
    彼の行動が遼平をより傷つけ、立ち直らせなくしているのではないのか…。
    しかし、最後まで読んで納得する。
    雅雪がもし、普通の家庭で育っていたら…。
    心に響く1冊。しかし、読み返したくはない。

    • ひとしさん
      ごめんなさい!
      知ってましたσ(^_^;)
      でも、ちえさんが読みたいリストにしていてくれたの、なんか嬉しいです(o^^o)
      ごめんなさい!
      知ってましたσ(^_^;)
      でも、ちえさんが読みたいリストにしていてくれたの、なんか嬉しいです(o^^o)
      2018/05/14
    • ひとしさん
      残念ながら顔は知りませんね(笑)機会があればいくらでもお見せするんですが(笑)
      私もちえさんに似たようなこと考えることあるんですよね。
      ...
      残念ながら顔は知りませんね(笑)機会があればいくらでもお見せするんですが(笑)
      私もちえさんに似たようなこと考えることあるんですよね。
      読んでる本があまりに面白い時、読んでる途中で死ぬわけにはいかないなとか。また、読みたい本があるのに死ぬわけにはいかないとか思ってみたり。
      ちえさんは軽く言ったことかもしれませんが、ちょっとびっくりしました(笑)
      2018/05/14
    • ひとしさん
      いえいえ!
      ちえさんが笑えるようになって良かったです。
      辛いけれど、お父さんとしては、娘には笑顔でいて欲しいと思います。
      頑張ってくだ...
      いえいえ!
      ちえさんが笑えるようになって良かったです。
      辛いけれど、お父さんとしては、娘には笑顔でいて欲しいと思います。
      頑張ってください!
      2018/05/14
  • 号泣(T_T)
    泣けたぁ、、、

    昨年から読んだ本の中では自分的には一番良かったんじゃないかなぁと思える一冊。

    ラストを自宅で読んでいて良かった。

    娘が横に居たが、号泣する私を見て、
    「情緒不安定か!」
    って笑っていた(^_^;)

    いや、良かった。

    こういう人好きだよ。
    ほんと、いい人。

    良かった。ほんと、良かった。


    映画を見ているかのようだった。
    読書している間の素敵な一週間をありがとうございますm(__)m

    • もおりいさん
      気になる一冊。ご紹介ありがとうございます。
      気になる一冊。ご紹介ありがとうございます。
      2018/01/21
    • bmakiさん
      私的には、最近読んだ本の中では一番でした。お気に召されるとよいのですが。。。。
      私的には、最近読んだ本の中では一番でした。お気に召されるとよいのですが。。。。
      2018/01/22
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著者プロフィール

遠田潤子(とおだ・じゅんこ)
1966年大阪府生まれ。2009年『月桃夜』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。12年、『アンチェルの蝶』で大藪春彦賞候補、16年『雪の鉄樹』で本の雑誌増刊『おすすめ文庫王国2017』第1位、17年に『冬雷』で「本の雑誌 2017年上半期エンターテインメント・ベスト10」第2位、第1回未来屋小説大賞受賞。同17年『オブリヴィオン』で「本の雑誌 2017年度ノンジャンルのベスト10」第1位。2018年、『冬雷』で日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門候補、’20年『銀花の蔵』が直木賞の候補作に。人間の抱える理不尽に迫る、濃密な世界を描く。

「2022年 『人でなしの櫻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

遠田潤子の作品

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