雪の鉄樹 (光文社文庫 と 22-2)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 174
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  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334772734

感想・レビュー・書評

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  • たらしの家系って…
    どんな家系やねん!
    多少、羨ましくもないではないけど^^;
    努力せんと、家系だけでモテるのなら!笑

    主人公の周り、ココロが壊れてる人ばっかり…自身も含めて。
    おじいちゃんなんか、情が分からんって、サイコパスか?
    ある殺人事件(無理心中)が原因で、自身を含め、周りの皆んな崩れていく…

    しかし、凄い空回りというか、12年もの償いは、何やったんやろ…
    自身が起こしたというより、自身も傷を負った1人とも言えるのに。
    自己解釈やけど、償いやないんやろうな。自分の居場所というか、そういうのを求めてやってた気がする。

    事件とか起こす前に防ぐとしたら、あのおじいちゃんを覚醒させんとあかんのやろな。この人が、トリガーになって色んな人の人生が台無しやもん。
    寺で修行するとかして治らんのかな。本人はする気ないけど、周りが何とかしてやらせるしかないんやろうけど…

    光が見えたような終わり方で少し安心やけど、これを起こしたのは、凄い空回りのお陰かも?
    そういう意味やと理由はともあれ、やった事は正解やったんかな。

    自分がこんな環境で育ったら、どうなってるか…


    …キツい…_| ̄|○

    • みんみんさん
      これって途中まで何でこんなに耐え忍んでるの?
      って話だよね?フンが〜って(゚-゚*;)(;*゚-゚)
      これって途中まで何でこんなに耐え忍んでるの?
      って話だよね?フンが〜って(゚-゚*;)(;*゚-゚)
      2024/01/05
    • ultraman719さん
      みんみんさん

      そうです。
      雅雪が、被害を受けた家族に対して、12年もの歳月を耐え忍んでますね。
      何か、空回りしてそうな感じです。
      何か、ず...
      みんみんさん

      そうです。
      雅雪が、被害を受けた家族に対して、12年もの歳月を耐え忍んでますね。
      何か、空回りしてそうな感じです。
      何か、ずっと頭下げて、おばあちゃんが「よし!」って言われるまで、頭上げないとか…

      2024/01/05
    • 1Q84O1さん
      キャラ立ち&設定が凄い!
      要チェックとφ(..)
      キャラ立ち&設定が凄い!
      要チェックとφ(..)
      2024/01/05
  • ★4.5

    祖父と父が日々女を連れ込む、通称・たらしの家で育った庭師の雅雪は、
    二十歳の頃から十三年間、両親のいない少年・遼平の面倒を見続けている。
    遼平の祖母から屈辱的な扱いを受けつつも、
    その傍に居るのは、ある事件の贖罪のためだった。
    雅雪の隠してきた過去に気づいた遼平は、雅雪を怨むようになるが…。
    愛と憎しみの連鎖の果てに、人の再生を描く衝撃作。

    凄い!凄かった。
    愛を知らない雅雪
    どうして…どうしてそこまでするの…?
    読んでて苦しい。
    とても苦しいけど頁を捲る手が止まらなかった。
    最後は涙が零れました。

  • 主人公である庭師の雅雪は、ある事件の【償い】のために、両親のいない少年・遼平の面倒を見ている。【償い】の理由を知った遼平は雅雪を恨むようになり・・・

    本屋さんでなんとなく表紙にひかれて手に取った一冊。初めての作家さん。とっても暗くて、読んでいるととっても気持ちが疲れる。

    鍼灸師の原田も言っていたけれど、雅雪は何も悪くない。何も悪くないのに遼平のそばで償いを続けるから遼平も親が殺された事実を忘れられない。遼平の祖母からひどすぎる仕打ちを受けても、遼平から冷たい態度をとられても、遼平のそばで償い続ける。なんでかなあと思うけれど、雅雪の性格なのでしょう。

    誰かと食事ができない雅雪が食器を灰皿代わりにしているのを最低だと指摘されるところ。誰にも教わらなかった雅雪からしたら、なぜそれが最低なのかがわからない。コーヒーの空缶を灰皿代わりにすることと、食後の皿を灰皿代わりにすることの違いがわからない。たしかに、それはとても寂しいことだなと思った。同時に、私も誰かから直接「食器を灰皿にすることは下品だ」と教わったわけではないけれど、それが良くないことだと知っているのはなんでなんだろうと思った。生活するなかで自然と、マナーとか思いやりとか、もっと言うと愛を感じ取っていたのかも。そういうのを感じ取れないまま、教わらないまま大人になってしまう子どももいるんだな、寂しいなと思った。

    雅雪が燃やされるところはすごい。狂気を感じる文章でゾッとした。
    「松葉が降ってくる。でも、やっぱり降るなら雪がいい。舞子は言ってくれた。蘇鉄みたいだ、雪をかぶった蘇鉄のようだ、と。俺は嬉しかった。俺の名前にも雪がある。俺を産んだ女が残した、たったひとつの名残だ」
    雅雪の命名の秘密もつらい。自分の息子が祖父と母に関心を持ってもらえるように、と父親が祈りを込めて名前をつけた。でもそれは叶わなかった。
    最後に少しだけ救いがあるものの、どこまでも切ないつらい話だった。


    「祖父や父のように壊れたまま生きるのはいやだ。吸殻山盛りに疑問を持たないような、汚い生きかたはいやだ。俺は苔庭のように生きたい。濡れたように輝く、清潔な緑の苔だ。」

  • ずっと読みたかった本。
    少しずつ語られ明らかになる過去はあまりにも重苦しく、それでも続きが気になり手が止まらない。
    何故?何故そこまでして?と、全てを知りたくなる中毒性も含む、愛を知らない男が人生をかけた壮絶な物語だった。

    絶対的な安心感や安らぎを幼少期から与えられないまま成長し、一般的な常識を知らず、他人との関わり方も知らず、独りで生きてきた男が彼女と出会って惹かれ、「人間にしてもらった」。
    初めて自分を見てくれた。
    初めて関心を持ってもらえた。
    そんな温かい目を向けてもらった事がなかった。

    疎まれ、蔑まれ、好奇の目にさらされながらの13年という年月はあまりにも長い時間であったが、身代わりの贖罪というだけでなく、共に過ごす中で自分をもまた育て直す事が出来た貴重な時間だったのだろう。

  • 号泣(T_T)
    泣けたぁ、、、

    昨年から読んだ本の中では自分的には一番良かったんじゃないかなぁと思える一冊。

    ラストを自宅で読んでいて良かった。

    娘が横に居たが、号泣する私を見て、
    「情緒不安定か!」
    って笑っていた(^_^;)

    いや、良かった。

    こういう人好きだよ。
    ほんと、いい人。

    良かった。ほんと、良かった。


    映画を見ているかのようだった。
    読書している間の素敵な一週間をありがとうございますm(__)m

    • もおりいさん
      気になる一冊。ご紹介ありがとうございます。
      気になる一冊。ご紹介ありがとうございます。
      2018/01/21
    • bmakiさん
      私的には、最近読んだ本の中では一番でした。お気に召されるとよいのですが。。。。
      私的には、最近読んだ本の中では一番でした。お気に召されるとよいのですが。。。。
      2018/01/22
  • いったい何がそうさせるのか。
    誰の何をどこまでどう償おうというのか。

    一生懸命な姿というのは、時に周りをいらだたせる。
    鬱陶しい押し付けがましいといわれても、逆なでしても、自らが傷ついてもやめないやめられない雅雪。
    事件だけではない、また彼だけでもない、それぞれの心に蓄積されてきたものが少しずつ明らかになってゆく。
    全容がわかったあとには、疾走感のあるシーンがラストへと導く。

    親方にだって何かがあったのかもしれないな。

  • 圧倒的な孤独。こんな描き方があったのか。
    結末が全くわからない段階でもう喉がヒクつくくらい胸が締め付けられる。家だったら絶対泣いてた(病院待合室で読んでた)
    どうか神様、と願うように最後まで読んだ。
    はじめの方は何があったかも語られず、ちょっとイライラしたがちょっと我慢して良かった。傑作だった。

    ドライブインまほろばでこの作者ただものではない!と勝手に目をつけてたのが間違いでなかったと証明された気分

  • 最近信用度がめっちゃ高い小説家は柚木裕子さんと遠田潤子さんです。
    その中でダークサイドをひた走る悲愴小説家の遠田さんは、暗い暗い本を書かせたら当代随一、何でそこまで苦しめるのかとちょっと理解し難い位の悲愴っぷりです。
    今回も主人公は自分を追い込む負のループにはまり込み、誠実に痛々しく歩んでいます。
    なんでそこまで背負い込むのかという不思議感は感じざるを得ませんが、力を込めながら応援している自分がいるのも事実です。
    何より主人公が、必ず光の方に向かって頑張って歩いているのが分かるのが、この作家さんの美点ではあると思います。
    でもそろそろ新機軸が必要かもね、なんてことも思いながら読んでいました。

  • 前半は、ただひたすらに耐える男雅雪の過去が分からず、重苦しい不安を抱えながら読み進める。
    すぐに自分を悪者にして、謝ることで物事を対処する雅雪にもやもやするが、そんな雅雪に優しくも厳しい言葉をくれる人が周りにいてくれるのが救いだ。
    過去の出来事が語られ始めてからは、物語が動き始め、どんどん引き込まれていく。
    個人的には、簡単に感想がまとめられない、色々な思いが胸の中に溢れる作品だった。

  • 初めて遠田さんの作品を読みました。
    読書は、通勤電車、昼休みだけと決めているが、仕事中まで雅雪のことがチラついて、続きが気になって仕方なかった。
    雅雪は何をしてしまったのか?なぜ遼平の親が関わっているのか最後まで分からず、一気に読み切ってしまった。
    遠田さんの作品に出会い、これからたくさん読めることが嬉しくてなりません。

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著者プロフィール

遠田潤子
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞。著書に『銀花の蔵』『人でなしの櫻』など。

「2022年 『イオカステの揺籃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

遠田潤子の作品

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