優しい死神の飼い方

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334772895

作品紹介・あらすじ

犬の姿を借り、地上のホスピスに左遷…もとい派遣された死神のレオ。戦時中の悲恋。洋館で起きた殺人事件。色彩を失った画家。死に直面する人間を未練から救うため、患者たちの過去の謎を解き明かしていくレオ。しかし、彼の行動は、現在のホスピスに思わぬ危機を引き起こしていた―。天然キャラの死神の奮闘と人間との交流に、心温まるハートフルミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 現世に未練をもった人間と、可愛い死神の物語 優しい気持ちになれるミステリーの傑作 #優しい死神の飼い方

    物語のまとまりが素晴らしい作品、起承転結が抜群に整った良作。そのまま映像化されても、違和感なくすんなり作り上げられそうです。

    ファンタジーの設定としては、ありがちではありますが、キャラクターと人間関係がかなり丁寧に作りこまれているので、ここは流石といった感じ。
    物語の構成もうまく、中終盤からの盛り上げ方は読む手が止まりませんでした。バッチシ面白いです。

    本作一番の魅力的な点は、やはりレオと菜穂の関係性とその描写でしょうね。
    卑怯なくらい純真無垢に愛や友情を正論で突き付けられると、胸に熱いものがこみ上げてきちゃう。自分も死に近づいてきたら、レオに会いたいと本気で思いました。

    ほぼ文句のつけようがない綺麗な作品ではありますが、ミステリーとしては若干弱いという印象。本作者ならもう一捻りしていただいけると、さらにミステリーファンも楽しめたのではないかなー、というのが少し残念な点。

    次は猫ちゃんが大活躍ですよね、続編も読んでみたくなる作品でした。ファンタジー、ミステリー好きにはおすすめですっ

  • 死神シリーズ第1弾!
    死んだ人の魂を冥界に運ぶ怖〜い感じが死神の一般的な感じやと思うけど、ワンちゃんやからね。
    めっちゃ可愛い〜!
    死神は、人間側が付けたネーミングで、他にもあるけど、そっちの方が似合ってる。(話の最後に分かる)

    死ぬ前に未練があると地縛霊となって、地上に残る。それを阻止して、魂を主の元へ。
    要は、成仏させてくれんねんな。死神の仕事とは言え、カウンセラーみたいな感じや…

    しかし、みんな死ぬのが分かっても、こんなに満足して逝けるんや…

    文中には、

    『死』を意識せず、ただ漫然と与えられた時間を消費し続けてきた者達は、終わりが近づいて来たとき、自分の人生が有限だったことに初めて気づき、無為に過ごしてきた自らの人生を激しく後悔する。そこに『未練』が生まれるのだ。

    とある。

    確かに、「もう寿命や!」「お迎えが来る!」とか言ってる割には、私もその事を忘れている。
    有限やからこそ、その時間を有意義に、輝いて過ごしていかんとダメやな。

    有意義かは分からんけど、楽しく生きて行こ!
    でも、もう少しは、お迎え来ないでは欲しいな…

  • 死神が犬の体を借りて患者の未練をなくしていくことで地縛霊化を防ぐ 患者エピソードを進めながら
    病院である屋敷の過去殺人事件がメインの謎で少しずつ解明されていく
    サクッと読めてわかりやすい

    主人公の役割が「もうすぐ死ぬ人の地縛霊化を防ぐ」だから結局みんな死んでしまうところが悲しい

  • 犬の姿を借り、地上のホスピスに左遷…もとい派遣された死神のレオ。
    戦時中の悲恋。洋館で起きた殺人事件。色彩を失った画家。
    死に直面する人間を未練から救うため、患者たちの過去の謎を解き明かしていくレオ。
    しかし、彼の行動は、現在のホスピスに思わぬ危機を引き起こしていた―。
    天然キャラの死神の奮闘と人間との交流に、心温まるハートフルミステリー。

    柔らかいお話で癒されました。
    心がほっこりとしました。
    ホスピスを舞台に、この世に未練が残り地縛霊になりそうな魂を
    未練を解決し我が主様に送り届ける死神…天使。
    ファンタジーだけど、死について色々考えさせられました。
    温かいお話でした。

  • ちょっと期待しすぎてしまった。「死」に挑む恐怖、孤独、祈り、そういうイメージで読み進めたが、ライトノベルだった。死神のレオ(犬の姿を借りている)は人間界のホスピスで「死」にゆく者の未練や苦痛を取り除く。患者の内面に入り込み、その未練は何だったのかを突き止める。そのカタルシスにより「死」にゆく者が救われていく。そして病院に悪人が乱入するがレオの活躍により、病院も救われていく。泣くほどの場面もなく、予定調和的作品だった。時々このような作品に出会うたびに、感動はなく自分は悲観論者なんだろうか?と思ってしまう。②

  • 初めましての作家さん。
    何故か突然この作品を読もう!と思い手に取りました。
    普段はあまり読まないファンタジー要素のある作品。面白かったです。

    登場人物は、
    犬の形をした死神、名前はレオ。
    レオの名付け親、看護師の朝比奈菜穂
    菜穂の父親で病院の院長
    菜穂な想い人、医師の名城
    入院患者の南、金村、内海
    病院のお宝を手にしたい近藤
    舞台は丘の上病院
    病院はホスピスで建物は一目では病院とは思えない素敵な洋館
    この病院(洋館)の戦時中からの出来事と入院患者たちの過去への未練が物語の軸となって話は進みます。

    死神、レオと菜穂。また、入院患者たちとのやりとりは面白かったです。
    そんな中で、「自身が死に行く時には?」と、きっともう少し先であるはずの「死」について考えました。
    物語の終わりの方では、涙が出てしまいました。
    とても優しくて温かい作品でした。
    続編があるようなので読んでみたいと思います。

  • 前から気になっていた知念さんの小説。
    『死神』と呼ばれる犬のレオが丘の上のホスピスで死期の近い患者の未練を解決していくファンタジーミステリー。
    人間はなぜ死を恐れるのか、そしてその瞬間何を願うのかという重たいテーマながらもレオの性格や口調・犬としての習性がとても可愛く癒やされながら読むことが出来た。最初こそ絶望していた患者達がレオと関わり、過去と向き合うことで決着させていくことがとても面白かった。最後の病室のシーンは、読んでいてほろりと泣いてしまった。命の儚さと尊さがすごく響きました。

    最後にこの小説をアニメ化したときの声優陣と主題歌など読む参考にしてください。
    レオ:高山みなみ
    朝比奈菜穂:小松未可子
    南竜夫:大塚芳忠
    南竜夫(青年期):花江夏樹
    金村安司:青山穣
    内海直樹:石川界人
    院長:玄田哲章
    名城先生:三木眞一郎
    近藤:子安武人
    鈴木:安元洋貴
    レオの同僚:櫻井孝宏
    レオの上司:小山力也
    男の子の父親:速水奨

    OP:BUMP OF CHICKEN『新世界』
    ED:Superfly『My Best Of My Life』

  • マメムさまご紹介3冊目。

    人間の死に立ち会い、魂を「我が主様」のもとへ導く仕事の死神?さん。
    人間が未練を残して死ぬと地縛霊になって仕事が捗らない。そのままだと魂も消滅してしまうので成績の悪い死神さんが、生前から接触して未練を残さないようにしないと成績が上がらないって言い訳したら、目出たくその役目を拝任。(本人は左遷と呼ぶ笑)
    ごおるでんれとりばあ(犬)の姿となりホスピスで死に直面している方達の未練を解決していくお話。

    犬になった死神レオの立て前と反射で動く身体のギャップが面白い、天然キャラで読みながら微笑んでしまいます(^.^)
    無事に皆さまを未練から救えるのか、そしてレオのその行動がホスピスに思わぬ危機をもたらしてしまう⁉︎

    とても面白かったです
    ♪───O(≧∇≦)O────♪

    • マメムさん
      初コメです。
      読了お疲れ様でした。お気に召されたようで安心しました♪
      レオと菜穂が互いを理解しながらミステリを解いていく流れは、タイトル通り...
      初コメです。
      読了お疲れ様でした。お気に召されたようで安心しました♪
      レオと菜穂が互いを理解しながらミステリを解いていく流れは、タイトル通りに「優しい」雰囲気で満たされます。
      次回作はまた違った印象を感じるかも知れませんがオススメします^_^
      2024/04/07
    • あかぴさん
      マメムさん

      とても面白かったです♪
      次作も読ませていただきます!
      マメムさん

      とても面白かったです♪
      次作も読ませていただきます!
      2024/04/12
  • 犬になった魂の案内人が、ホスピス患者の後悔を取り除き、魂を鎮めるというストーリー。
    内容的にホッコリ系のお話かなと思いきや、各チャプターにミステリー要素があるだけでなく、縦軸のミステリーもあって、緻密な作品であるように思いました。
    構成的には「ムゲンのI」と似ているのですが、個人的にはよりファンタジックかつ、医療要素も含まれていた「ムゲンのI」の方が好みかなぁと。

  • 犬の姿となった死神のレオが、ホスピスの人間を未練から救うため過去の謎に挑んでいく、切なくも心温まるミステリー。物語が進むにつれ、少しずつ人間味を増していくレオの姿が堪らなく愛おしい。そんなレオを通して見る人間世界もまた愛おしかった。一瞬一瞬を大切に生きていきたい。

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著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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