優しい死神の飼い方 (光文社文庫 ち 5-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334772895

感想・レビュー・書評

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  • 現世に未練をもった人間と、可愛い死神の物語 優しい気持ちになれるミステリーの傑作 #優しい死神の飼い方

    物語のまとまりが素晴らしい作品、起承転結が抜群に整った良作。そのまま映像化されても、違和感なくすんなり作り上げられそうです。

    ファンタジーの設定としては、ありがちではありますが、キャラクターと人間関係がかなり丁寧に作りこまれているので、ここは流石といった感じ。
    物語の構成もうまく、中終盤からの盛り上げ方は読む手が止まりませんでした。バッチシ面白いです。

    本作一番の魅力的な点は、やはりレオと菜穂の関係性とその描写でしょうね。
    卑怯なくらい純真無垢に愛や友情を正論で突き付けられると、胸に熱いものがこみ上げてきちゃう。自分も死に近づいてきたら、レオに会いたいと本気で思いました。

    ほぼ文句のつけようがない綺麗な作品ではありますが、ミステリーとしては若干弱いという印象。本作者ならもう一捻りしていただいけると、さらにミステリーファンも楽しめたのではないかなー、というのが少し残念な点。

    次は猫ちゃんが大活躍ですよね、続編も読んでみたくなる作品でした。ファンタジー、ミステリー好きにはおすすめですっ

  • 死神シリーズ第1弾!
    死んだ人の魂を冥界に運ぶ怖〜い感じが死神の一般的な感じやと思うけど、ワンちゃんやからね。
    めっちゃ可愛い〜!
    死神は、人間側が付けたネーミングで、他にもあるけど、そっちの方が似合ってる。(話の最後に分かる)

    死ぬ前に未練があると地縛霊となって、地上に残る。それを阻止して、魂を主の元へ。
    要は、成仏させてくれんねんな。死神の仕事とは言え、カウンセラーみたいな感じや…

    しかし、みんな死ぬのが分かっても、こんなに満足して逝けるんや…

    文中には、

    『死』を意識せず、ただ漫然と与えられた時間を消費し続けてきた者達は、終わりが近づいて来たとき、自分の人生が有限だったことに初めて気づき、無為に過ごしてきた自らの人生を激しく後悔する。そこに『未練』が生まれるのだ。

    とある。

    確かに、「もう寿命や!」「お迎えが来る!」とか言ってる割には、私もその事を忘れている。
    有限やからこそ、その時間を有意義に、輝いて過ごしていかんとダメやな。

    有意義かは分からんけど、楽しく生きて行こ!
    でも、もう少しは、お迎え来ないでは欲しいな…

  • 犬の姿を借り、地上のホスピスに左遷…もとい派遣された死神のレオ。
    戦時中の悲恋。洋館で起きた殺人事件。色彩を失った画家。
    死に直面する人間を未練から救うため、患者たちの過去の謎を解き明かしていくレオ。
    しかし、彼の行動は、現在のホスピスに思わぬ危機を引き起こしていた―。
    天然キャラの死神の奮闘と人間との交流に、心温まるハートフルミステリー。

    柔らかいお話で癒されました。
    心がほっこりとしました。
    ホスピスを舞台に、この世に未練が残り地縛霊になりそうな魂を
    未練を解決し我が主様に送り届ける死神…天使。
    ファンタジーだけど、死について色々考えさせられました。
    温かいお話でした。

  • 前から気になっていた知念さんの小説。
    『死神』と呼ばれる犬のレオが丘の上のホスピスで死期の近い患者の未練を解決していくファンタジーミステリー。
    人間はなぜ死を恐れるのか、そしてその瞬間何を願うのかという重たいテーマながらもレオの性格や口調・犬としての習性がとても可愛く癒やされながら読むことが出来た。最初こそ絶望していた患者達がレオと関わり、過去と向き合うことで決着させていくことがとても面白かった。最後の病室のシーンは、読んでいてほろりと泣いてしまった。命の儚さと尊さがすごく響きました。

    最後にこの小説をアニメ化したときの声優陣と主題歌など読む参考にしてください。
    レオ:高山みなみ
    朝比奈菜穂:小松未可子
    南竜夫:大塚芳忠
    南竜夫(青年期):花江夏樹
    金村安司:青山穣
    内海直樹:石川界人
    院長:玄田哲章
    名城先生:三木眞一郎
    近藤:子安武人
    鈴木:安元洋貴
    レオの同僚:櫻井孝宏
    レオの上司:小山力也
    男の子の父親:速水奨

    OP:BUMP OF CHICKEN『新世界』
    ED:Superfly『My Best Of My Life』

  • 犬になった魂の案内人が、ホスピス患者の後悔を取り除き、魂を鎮めるというストーリー。
    内容的にホッコリ系のお話かなと思いきや、各チャプターにミステリー要素があるだけでなく、縦軸のミステリーもあって、緻密な作品であるように思いました。
    構成的には「ムゲンのI」と似ているのですが、個人的にはよりファンタジックかつ、医療要素も含まれていた「ムゲンのI」の方が好みかなぁと。

  • 犬の姿となった死神のレオが、ホスピスの人間を未練から救うため過去の謎に挑んでいく、切なくも心温まるミステリー。物語が進むにつれ、少しずつ人間味を増していくレオの姿が堪らなく愛おしい。そんなレオを通して見る人間世界もまた愛おしかった。一瞬一瞬を大切に生きていきたい。

  • 犬の姿となって地上で働く死神の奮闘。
    未練や苦しみを救いながら、心温まる展開へ。

    死神は犬の姿で地上のホスピスに遣わされ、レオという名になりました。どうやら左遷?いや修行でしょうか。
    死に直面した人間が心残りから地縛霊になるのを阻止して、あの世へ送るのが死神たちの務め。
    レオは可愛いレトリーバーの見た目で周りをほっこりさせつつ、考えていることは気難しいおっさん?風なのがおかしい。
    入院患者たちの様子を探り、事情を解き明かしていきます。

    戦時中の悲しい恋。
    洋館で起きた殺人事件。
    そして、色彩を失った画家。
    ひとつひとつの未練を解消する一方で、病院に忍び寄る脅威が…?
    人間との交流を重ねるうちに、優等生的だが仕事以外には興味がなかったらしい?死神にも、次第に心の変化が訪れます。
    軽いだけではないけれど、死を扱っている割には、ほのぼのとした読後感で、癒されました☆

  • 先月末に7年ぶりにシリーズ最新作「死神と天使の円舞曲」が発売され、発売日にサイン本を入手してルンルン気分で帰宅。

    ながらく積読となっていた本作から、シリーズ3作の一気読み!

    と思い本書を探してみましたが...見つからない...

    家の積読を掻き分けて何度も何度も探してみましたが、出てこないんです(TT)

    絶対あるはず‼︎

    でも、見つからない。

    読みたいのに〜〜〜

    え〜ぃ、見つからないなら買っちゃえ〜

    ってことで、シリーズ第2作となる「黒猫の小夜曲」とあわせて購入してきました^^;

    死神が犬の姿を借りて地上に降臨。

    主から受けたミッションはまさに魂の救済とも言うべき死にゆく人々のこの世の未練から救うこと。

    降り立ったのは、現ホスピス。

    そこで看護師として働く菜穂に発見されレオと名づけられる。

    終末期の癌患者たちの未練を解消していく中で、物語はホスピスになる前(洋館)に起こった事件とクロスし始めます。

    菜穂を含めた4人の救済が思わぬ方向に...

    いやぁ〜、参りましたm(_ _)m

    やはり3作続けて読むことになりそうです。

    説明
    内容(「BOOK」データベースより)
    犬の姿を借り、地上のホスピスに左遷…もとい派遣された死神のレオ。戦時中の悲恋。洋館で起きた殺人事件。色彩を失った画家。死に直面する人間を未練から救うため、患者たちの過去の謎を解き明かしていくレオ。しかし、彼の行動は、現在のホスピスに思わぬ危機を引き起こしていた―。天然キャラの死神の奮闘と人間との交流に、心温まるハートフルミステリー。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    知念/実希人
    1978年、沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒、日本内科学会認定医。2011年、第4回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を『レゾン・デートル』で受賞。’12年、同作を改題した『誰がための刃』で作家デビュー。「天久鷹央の推理カルテ」シリーズが人気を博し、『仮面病棟』は2015年啓文堂書店文庫大賞を受賞、ベストセラーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • なんとハートウォーミングでミステリアスな小説なんだろう。見事に著者の術中にはまってしまった。

    死神が犬に姿を変えたファンタジックでユーモラスな小説かと油断していた。面白さで言えば、『誰がための刃』のハードな展開に、『天久鷹央シリーズ』のユーモラスでミステリアスなスパイスを足したような感じかな。

    人間の魂の回収係の死神がゴールデンレトリーバーのレオに姿を変え、人間界に派遣される。レオの使命は、この世に未練を残す人間の魂の地縛霊化を防ぎ、我が主様のもとに魂を導くことだった…

  • 死神に対するイメージが変わりました。読む前は怖いものと捉えていたけど死神は怖いものではないと感じられました。

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著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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