父の生きる (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 52
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334773069

感想・レビュー・書評

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  • 作品を手にして読むたびに好きになっていく。比呂美さん、三年半の遠距離介護ほんとうにお疲れ様でした。その身を削って、こうして介護の様子を本にしてくれて、ありがとうございます。人はお迎えされて旅立って逝き、遺された人は夢で故人に会って気持ちを整理していくのかもしれないと、読み終えてからそう感じた。

    “親の介護とは、親を送るということは、自分の成長の完了じゃないかと。”(222ページ)

    とか、とにかくハッとする言葉ばかりでした。
    子育てで、子どもを通して人にもまれて成長し、父や母を介護し看取って人は完了するのか…。とても感慨深い。もっと他の作品を読んでみたい作家さんの一人です。

    2018年積読本消化45冊目。本棚保存で。

    • nejidonさん
      まっき~♪さん 、はじめまして。
      いつもレビューを楽しみに拝見しております。
      伊藤比呂美さんは私も好きな作家さんでして、この本も感動しな...
      まっき~♪さん 、はじめまして。
      いつもレビューを楽しみに拝見しております。
      伊藤比呂美さんは私も好きな作家さんでして、この本も感動しながら読んだ記憶があります。
      一度だけ伊藤さんの講演会に参加したことがあるのですが、とても明るく華やかで
      女性らしい優しさもタフさも併せ持った魅力的な方でした。
      こうなりたいと思う、そんな姿がありました。
      まっき~♪さん のお好みかどうかは分かりませんが「説経節」などはいかがでしょうか。
      山椒大夫の元のお話にふれることが出来ます。
      またもしまっき~♪さん にもおすすめがありましたら、教えてくださいね。
      2018/10/17
    • まっきーさん
      nejidonさん、はじめまして。
      コメントありがとうございます。
      伊藤比呂美さんの本に出会ったのは数年前で、それ以来、定期的に読みたく...
      nejidonさん、はじめまして。
      コメントありがとうございます。
      伊藤比呂美さんの本に出会ったのは数年前で、それ以来、定期的に読みたくなります。
      スッパリしているところが、気持ちよくって好きなんです。
      比呂美さんの講演会に参加されたことがあるなんて!
      とても楽しいだろうなぁ…と、つい想像してしまいました。

      私は『女の絶望』という本を読んでから、人に相談出来ないことが解決して、
      スッキリしたので比呂美さんのことを人生の師、先生だと思えるようになりました。

      ちょうど、次はどの本を読もうかな…と、眺めていました。
      比呂美さんの本は、いつもエッセイとか中心に読んでいて、
      『説経節』は、自分で選ぶことのないジャンルで、とても新鮮に思えました。
      おススメしていただき、ありがとうございます。
      読みたいリストにメモしておきました。
      こうして本の情報を交換できる場があって、とてもうれしいです。
      ありがとうございます♪

      2018/10/17
  • なんとも辛くて切ない内容です。私は59歳、母は83歳、熊本で二人暮らしです。読んでいると現状の自分にリンクする部分が多々あります。思わず頷く部分、反省してしまう部分、涙する部分がありました。作者はカリフォルニアと熊本での生活、本当に頭が下がる思いです。でも、結局は、その二重生活を解消するのは、この結末しかないのだなあと感じます。その事実が人をひとつ成長させるのだと思います。辛いですね。

  • 人がひとり死ねずにいる。
    生きていたと言えるのではないか。
    ストレートさがいい

  • 自分のときと照らし合わせて、辛かった。私はここまでできなかった。色んなことがあったけど、自分はこの人が可愛がってくれた娘なんだってことを思い出すことができてとても良かった

  • (2017/3/17文庫本を買ってまた読む)
    (2018/1/13文庫本を再読)

  • 出会いはたしか、小林聡美『読まされ図書室』 (宝島社文庫)、吉本ばななのおすすめ本として登場して、読んでみたくなって探した。
    …と思っていたら、それは佐野洋子『死ぬ気まんまん』(これも光文社文庫)のほうで、伊藤比呂美の本は「scripta」2016年秋号に載っていた荻原魚雷連載「中年の本棚・15」で触れられていて、読みたくなったのだった。

    日記風文学というのはどうしてこうもおもしろいのだろう。…と、武田百合子『富士日記』なども思い出しながらおもう。
    母を見送り父を遠距離で介護するあわただしい日々の由無し事、さばさばとした筆致で自分のおろおろや周囲へのむかつきなどもつづられている中に、ときどき詩のような宝石のような思いが垣間見えて、はっとさせられる。

    こども心には頼もしく大きな存在だった親が、心身が弱っていくさまをつかず離れず見守る心境、仕事や自分の家族を抱えつつもたもたして手がかかるようになっていく老親に付き合うしんどさ、相手の状況を察しあえる大人同士だからこそのせつなさややりきれなさ…遠からず我が身も体験することになるのだろうと思いながら読んだ。こういうのを読んでから向き合うか、知らずに向き合うかで、気の持ちようはまったく違うと思う。

  • 女性詩人が、実家熊本の父をカリフォルニアから行き来しながら看護する日記。作者の父を思う気持ち、その実行力、介護におけるどうしようもない気持ちが率直に表れていて共感する。老いの衰えはどうしようもなく、人生の最後はやはり大変で、それを支えてくれる人がいる人は幸せである。後書きの作者の言葉と最後の詩にはしみじみとする。

  • 今日は父の誕生日で、夕方には父がやってくる・・・
    その直前に図書館からこの本が届いた。
    このタイミング!

    「いつか死ぬ。それまで生きる」

    P68そんなとき、人にすすめられて父との会話を書きとめはじめました。電話を首にはさんで、父の言葉を聞きとるそばから、紙に書きなぐっていく。そしてそれをwordに起こす。父の愚痴を書きとめて字に起こしてみると、愚痴は、ただのもがきでした。私に対する攻撃でもなんでもなかったんです。父の寂しさが父の孤独が私にひしひしと寄り添ってきました。

    P123「聞いてよ、おとうさんがこんなこと言うんんだよ」とサラ子に言いつけたら、「両方とも相手の気持ちはわかっているんだから、おじいちゃんはそう言い続けるしかないし、おかあさんは、言わないでおこうよと言い続けるしかない」と言われた。たぶんその通りだ。
    こういう状態を回避するには、若いうちから死をシミュレーションして、死ぬときは一人だと考えておかねばならない、てなことを善導(ぜんどう)も一遍(いっぺん)も言っている。高齢者が一人で死んで発見されるたびに、メディアが「孤独死」だなんだと騒ぎ立てるのをやめないと、なかなか死ぬときは一人だという考えを持つようにはなれない。

    ~~「おれには看取ってくれるものがいない、誰もいない」「それは聞くのがつらいから、言うのをやめようよ」~~から

    P134ほんとうはそこのところをもっと突っ込んでもらいたいのではないか、でないと家族って気がしないのではないかとなんとなく感じている。

    P135衰えたりといえども父だから、ときどき心配させてやったり、ものをねだったりするのも必要だなと考えた。

    P148「だんしがしんだ」を一つ覚えのように繰り返した。感慨深かったのは、回文の妙というより、死についてだと思う。

    P165ある日父と気持ちのいい会話ができて、ああやっぱりおとうさんだなぁと思うとする。私もよくやってる、おとうさんをちゃんと支えてあげてるのかもと思えるとする。しかしその次の日には電話すると、父は前の日の勢いはどこにもなくなり、あーとかうーとかしか言えない年寄りに老い果てていて、娘のことなんかどうでもよくなっていて、自分が死んでいるのか生きているのかもわからないようすになっている・・・ときが、ままある。なんにも、なんにも、常なるものはないということだ。

    P186受話器を持つのもリハビリになるから、ハンズフリーにしない方がいいですよ


    「仕事がないから終わんないんだ。つまんないよ。ほんとうに。な^にもやることない。なんかやればと思うだろうけど、やる気が出ない。いつまでつづくのかなあ」
    「だけど退屈だよ。ほんとうに退屈だ。これで死んだら、死因は『退屈』なんて書かれちゃう」
    「退屈で退屈でしょうがねえよ、まったく。頭の中は食べものでいっぱいだ」

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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。詩人。青山学院大学入学後に詩を書き始め、78年現代詩手帖賞、99年『ラニーニャ』で野間文芸新人賞、2006年『河原荒草』で高見順賞、07年『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』で萩原朔太郎賞、08年同作で紫式部文学賞。他の著書『たそがれてゆく子さん』『切腹考』『犬心』『日本ノ霊異ナ話』『続・伊藤比呂美詩集』『たどたどしく声に出して読む歎異抄』『閉経記』など。

「2019年 『深淵と浮遊 現代作家自己ベストセレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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