彼女の家計簿

Kindle版

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  • 光文社 (2016年7月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (296ページ) / ISBN・EAN: 9784334773205

作品紹介・あらすじ

『三千円の使いかた』が大反響の著者の、心震える感動作!
女が生きるためのお金のこと、家族や仲間との関係。70年前の家計簿から、大切なメッセージが届きます。
失業中、シングルマザーの里里の元へ、疎遠にしている母親からぶ厚い封筒が届く。五十鈴加寿という女性が戦前からつけていたという家計簿だ。備考欄に書かれた日記のような独白に引き込まれ読み進めるうち、加寿とは、男と駆け落ち自殺したと聞く自分の祖母ではないかと考え始める。妻、母、娘。転機を迎えた三世代の女たちが家計簿に導かれて、新しい一歩を踏み出す。

感想・レビュー・書評

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  • このタイトルから、お金のやりくり的なストーリーかと思いきや、全然違って女性の生き方を描いた内容でした。

    シングルマザーの里里の元に、疎遠にしている母親から古い家計簿が転送されてきます。
    その家計簿をつけていた五十鈴加寿という女性は、男と駆け落ちした挙句心中したと聞かされていた、里里の祖母と思われ、家計簿の備考欄に書き込まれている日記のような独白を読み進めるうちに、加寿の人生が浮かび上がってきて・・。

    本書は里里の視点と、件の家計簿を発見した女性就労支援NPO「夕顔ネット」の代表・晴美さんの視点、そして加寿さんの家計簿の記述が交互に展開していく構成となっております。

    本書に登場する女性達は、立場は様々ですが皆一様に一筋縄ではいかない事情を抱えて生きているわけで、その辺のほろ苦さが胸にキュっとくるものがありますね。
    家計簿をつけていた加寿さんの人生も、戦時中ならではの大変さと併せて当時の男尊女卑な風潮という時代的な生きづらさが伝わってきましたが、個人的に「夕顔ネット」の晴美さんの過去の出来事が壮絶すぎて唖然となりました。
    晴美さんは十字架を背負ったように生きていましたが、私見を言わせていただくと、"悪いのは男やろー!"って感じです(あと、相手の女性も病み過ぎでしたよね・・)。
    で、その最低男がその後しれっと結婚していて(しかもデキ婚(-_-;))、久しぶりに晴美さんにコンタクトを取ったのも結局セールス目的だったのには、"コ、コイツ・・終わってる"と呆れてしまった私です。

    てか、本書に登場する男性陣って、前述の晴美さんの元交際相手といい、里里の不倫相手&啓ちゃんの父親といい(養育費払って!)、加寿さんの夫&里里の祖父の善吉といい(働かないクセに偉そうにすな!)、「夕顔ネット」に駆け込んできた、みずきさんへのストーカー男といい(コイツは論外!)・・まさに、ダメんず万博ですわ(本日万博開幕したことですし(*‘∀‘))。

    ・・と、ついプリプリしちゃいましたが、だからこそ悩みながらも頑張って生きている女性達にエールを送りたくなりました。
    そんな訳で、なかなか深めの内容でしたが前向きな気持ちになれる読後感で良きでした。

    因みに私は、家計簿を付けたことも無ければ付ける気もない、どんぶり勘定を通り越した、ザル勘定(?)人間でございます~(;・∀・)

  • 勝手にやりくりの指南書みたいな感じの内容を想像してたけど全然違った〜
    家計簿って言うより、日記かな。
    希薄な母娘関係の朋子と里里。
    ある時母から、祖母の物と思われる家計簿をNPO団体が保管してくれている事を知らされる。
    祖母、母、娘、それぞれの時代背景と女性の立場、それぞれの選んだ生き方を描いた作品だった。

    思っていたより内容は重めだったけど、ひ香さんだからそこはさりげなく、とても読みやすかった。
    なんとなくミステリーっぽさもあって面白かったな!
    それにしてもここに出てくる男の人、みんな最低〜笑
    そしてとりつく島もないほど、つっけんどうな朋子。
    なかなか厄介な人が多かったな〜笑

    今と昔では女性の社会での立場も変わってきてるけど、シングルマザーとかが働きやすい環境が、もう少し整うといいのにな〜と思う。

  • 節約本かな?とその題名から思いましたが、そうではありませんでした。
    家計簿からその人の生きてきた人生、それを知った人達の人生に変化が訪れます。
    家計簿を書いていた本人もそんな風になるとは思っていなかったであろうと。
    時代は戦時中から現代の女性の立場、母娘の関係からなる物語です。
    それを知った周囲の人たちの生き方にも変化が訪れます。
    ただの家計簿ではなく、その時を一生懸命に生きた女性がその後の女性達にも生きる指針となります。
    家計簿が人を救う、そんな物語でした。

  • お金の話かと思いきや三世代に渡った女性の人生の話だった。
    祖母は生まれた時代が違っていたら、いわゆるキャリアウーマンの人生だったんだろうな。そもそも◯◯ウーマンとか、◯◯女子とか、「女」を表す名詞の前に単語が入る風習がある時点で、今も差別が残っているといえるのかもしれない。

    最近では女性総理が誕生した。時代は確実に変わっていることを生きているだけで実感する。
    だけど社会で活躍したい女性にとって、今の時代は生きやすいといえるのかどうかはわからない。そのうち◯◯女子みたいな言葉を「女性だから」という境界線を引く用途で、自然と使わなくなる時代がきた時は、どんな社会になっているんだろう…といろいろ考えさせられた。

  • 現代と過去を行ったり来たりする感じが口福のレシピに似ている。戦前戦後の不自由な生活だったり、男尊女卑が酷い時代の女性から、現代の女性が勇気付けられる感じ。昔はそれが当たり前だったから、我慢もできたのか、考えられないけど、祖父母を見てると祖母の方が好き勝手言って強かったような。
    時代だけでなく人にもよるのかな

  • 彼女とは誰のことだろう。家計簿はつけようとしたことがあるが、私は3日と続かない。
    10年日記は書き続け10年を迎えたのだが、、、。

    生きるためのお金、そして家族や仲間との関係がその家計簿には描かれている。それはまるでシングルマザーの里里 への70年前からの大切なメッセージなのかもしれない。
    家計簿は五十鈴加寿という女性が戦前からつけていたというものだ。

    その家計簿には備考欄に書かれた日記のような独白があった。里里はその家計簿に引き込まれ読み進めるうち、加寿は男と駆け落ち自殺したと聞く自分の祖母ではないかと考え始める。はたして事実は・・・。

    転機を迎えた三世代の女たちが家計簿に導かれて、新しい一歩を踏み出す。家族や仲間との絆を通じて、そして現代の貧困や孤独に直面する女性たちの姿を通して、人間の生き方について深く考えさせられる物語であった。

  • 原田ひ香さんの作品は読みやすく、あっという間に引き込まれます。個人的には作品の舞台の谷中周辺に所縁があるので、より思い入れ深く読めました。

    戦時中のとある女性が付けていた家計簿の添え書きが、この女性との縁のある、現代に生きる女性たちの人生に少しずつ影響を与え始める。やがて、それぞれが抱える過去の傷と向き合い、区切りをつける時が訪れる。そのような物語で、女性の自立というテーマが底流にあるようです。

    現代の展開の合間に、少しずつ差し込まれた当時の家計簿の添え書きが謎めいていて、続きを読みたいという気持ちにさせてくれます。自身もスマホで淡々とした日記を書いているので、作中の添え書きの書き振りにも共感を覚えました。

  • 過去から届いた家計簿をきっかけに懸命に生き直そうとするシングルマザーの姿が描かれています。

    主人公を支える人物も登場し、若いころのつらい経験を抱えながら仕事一筋で生きてきた彼女にとっても、この出会いは救いになったのではと感じました。

    読後には、誰かと支え合うことの力強さに静かにホッとできる余韻が残りました。

  • 戦前から終戦後までに書かれた加寿の日記のような家計簿とNPO「夕顔ネット」を通して、加寿と孫の里里が長い年月を経て繋がり、過去をたどって事実が明らかになる。
    タイトルと表紙だけ見ると、明るい楽しい話のようだが、想像していたより何倍も重くて深い話だ。
    過去と現在と往復しながら展開していく話は、以前読んだ原田ひ香さんの『口福のレシピ』と同じ手法だ。
    最後に家族のもつれたしこりが少しほぐれるところにほっとする。
    女性は家のことをやり子どもを育てればいい、外で働くことに理解されない戦前戦後の時代の悲劇なのか、加寿の人生を思うととてもつらい。
    里里が加寿の家計簿から真実に辿り着いたことで、加寿の人生も少しは救われたのかもしれない。

  • 家計簿の本ではなかった(笑)。突然渡された昭和17年頃からの古い家計簿の備考欄に記載された日記みたいなものを読みながら、戦後と現代の女性の生き方を描くお話です。

  • 女性の自立。女性の幸せ。時代や出会いによって様々と移り変わる。
    読後の感想を誰かと語り合いたい。

    価値観が多様化する現代だからこそ、個人それぞれが見えない世界や考えない世界が増えていく。日常にふれない価値観に出会えたという意味で良い読書時間であった。

    女性の自立や幸せを考えるとき、それは男性についても同時に考えるときなのである。話の中でも出てきたが、そこには純粋で冷静な目線だけでなく、嫉妬や比較などの感情がついてくる。それがなかなかにめんどくさい。

    そういえばこの小説は男性の登場人物が少ないな。

  • 初読みの作家さん。
    シングルマザーの里里のもとへ、疎遠にしている実母から届いた大きな封筒。その中には、加寿という、祖父の妻らしき女性が戦前から書いていた家計簿が入っていた。
    備考欄に書かれた独白に引き込まれながら、彼女の、そして自分自身のルーツを探っていく。

    この加寿という女性は果たして、心中したと聞かされていた祖母なのか…?と、謎解きをするように読み進め、少しずつ真実に近づいていくので引き込まれます。
    なんと言うか、人の強さや弱さみたいなものを描く力が素晴らしくて、登場人物に対して「この人嫌いだな」「好きだな」という感情を抱いたりするものの、その背景にあるその人の弱さ、それがどこからくるものなのか、などもよく描かれているので読者の感情をシンプルな好悪に留まらせない巧みさがあるような気がしました。

    誰もが過去で傷を負っている。
    傷と向き合いながらひたむきに生きている。
    その生きざまは人それぞれで、なんだかとても尊いもののように感じたのです。
    傷ついた経験と向き合う中で、あるいは目を背ける中で、他者に対して貢献的になる人もいれば、排他的になる人もいるし、結果として思いがけない見方を他者からされる人もいる。何が正しい、というのではなく、みんな一生懸命で、そんな強さや弱さも含めて「人間だなあ」と何度も感じるのでした。

    彼女の他の著作もぜひ読んでみたい。偶然手にしてよかった1冊でした。

  • 「三千円の使い方」のような感じかなと思って読み始めたら少し違った。
    色んな登場人物が出てきて、最初は分かりにくかったけど、関係性が見えてくると少しずつ引き込まれていった。重くモヤモヤした展開もあるけど、最後はほっとした。

  • 過去の日記から家族の過去と関わるひとの過去をクリアにしていく物語。日記と登場人物①②の現在が交差していて前半は??やや混乱したが、後半続きが気になり一気に読んだ。
    仕事と育児を両立する母の子どもへの愛と後悔と苦悩は、共感するものが大いにあった。会えなくなった時後悔するから、は心に染みた。

  • 祖母の家計簿をきっかけに、様々な女性の生き方見つめる。加寿さんは誰にも言えない気持ちを家計簿に記していた。そうすることで自分の気持ちを見つめ、整理していたのに。
    登場した女性は、苦しい経験をして癒えない傷や過去を抱えているけど、それぞれに大切なものを見つけて進んでいく。受け止めてくれる場と仲間の存在に救われます。

  • え?また?
    サイコパス里子!
    執着心の権現!
    永田がゲスでよかった。
    これで、サッパリスッパリ過去とおさらばできるよ。晴美さん

    ある意味里里さんと、里里さんパパも朋子さんも被害者ね。
    加害者は加寿さん?
    善吉と姑?
    せめて、がんじがらめな朋子さんの心が少しでもほどけたら、啓ちゃんがおばあちゃんに抱っこされたら、と思います。


    「富士屋」さんや「パピヨン」
    が出てきてちょっと嬉しい。

    2016年7月 初版1刷発行

  • タイトルが気になって購入。

    お金の話かと思いきや、そうではなく。
    どちらかというと、家計簿兼日記を通して、辛い経験をした女の人たちが繋がっていくストーリーでした。
    個人的にはみんな悲惨すぎて、あまり感情移入はできなかったかも?(戦時中のお話しは理解できました)

    でも、家計簿の使い方って確かに人それぞれだなと思ったり。
    お金の使い方からもその人の性格とか考え方がなんとなく読み取れる。(そもそも散財する人は家計簿なんてつけないだろうから、家計簿をつけているってだけでお金を大切にする人だということはわかる)

    続くかどうかが問題だけど、今年は紙で家計簿つけてみようかな〜

  • シングルマザー失業中の里里の元へ誰かが書いた
    家計簿が届く
    読み進めていくうちに自分の祖母のものではないかと考え始める

    過ち、道を外したからもう駄目なんてことはなくて
    また努力すればいい

    戦争/家計簿/シングルマザー

  • 晴美が送った家計簿をきっかけに凍結していた人間関係が解凍していく。
    ここに出てくる女性達は逞しくそれぞれの過去が語られるとその世代の価値観が理解でき自立した女性達に声援を送りたくなりました。それに比べ男達は頼りなさげに見えてしまいました。
    朋子が晴美から送られてきた家計簿を娘の里里に丸投げして目を背けてしまい何も語らないあたりとか、感情表現の不器用なところとか。朋子は終戦直後の昭和23年5月21日生まれだし時代背景や生立ちからそんな感じなのかな。娘の里里は40位いってるのかな?
    それぞれの世代の女性の生き方。
    祖母の加寿さんは70年くらい進んだ生き方だったようで孫の代では共感できる価値観なんだな。

  • シングルマザー女性(里里)は、母から優しい言葉をかけらもらった覚えがない。親子の縁を断絶し、一人で娘を育てている。幸い、自分は娘を心から愛することができ、日々、慈しんで育てている。
    あるとき、母(朋子)から事務的な文面の手紙と共に、戦時中のある女性の家計簿が送られてきた。読んでみるとどうやら、自分の祖母(加寿)の家計簿のようだ。
    古い家計簿を見つけたのは、加寿の家を譲り受け、訳あり女性たちを支援する活動をしているNPO法人の代表、晴美。晴美自身も、過去の恋愛でトンデモナイ経験をしており、誰にも言えない想いを抱えながら活動をしている。
    この小説では、戦時中に一生懸命に生きながら、いくつものことをあきらめなければならなかった女性「加寿」の物語、理由もわからないまま母に捨てられたと思って育ち、娘に愛情を注げなかった女性「朋子」の物語、親の愛情を知らないながらも一生懸命に今を生きる女性「里里」の物語、加寿の想いを受け継いだNPO法人の代表であり、家計簿を発見したことで里里に寄り添うことになり、同時に自分も再生していく「晴美」の物語が同時に進んでいく。
    大きなテーマは女性の自立、だろうか。
    加寿は戦時中に、代用教員として小学校で勤めていたが、その当時は子育てをしながら働くことは一般的ではなかった。それどころか、姑に嫌味を言われ、夫に頭を下げながら働かなければならなかった。
    現代でも多くの女性が、自立して生きることに困難を抱えている。私も出産後、舅に「いつまで働くのか、子どもがかわいそうだ」というようなことを言われた経験がある。令和の現代でさえ!そうなのだ。ましてや戦時中、産休・育休の制度もない中、小学校の教員の仕事にやりがいを感じ、続けたい、と願った加寿は、そう願うこと自体が「悪」とされてしまい、様々な壁が立ちはだかった。
    そんな中で起こってしまった悲劇。
    晴美の別の物語をはさみながら、だんだんと真実に近付いていく構成になっていて、読み応えがありました。
    晴美の過去はちょっと、安っぽいドラマみたいな感じだったけど。
    私も日記をつけているけど、子どもや孫に見せられるような字じゃないので、死ぬ前に処分しなきゃ。または来年からはもうちょっとキレイに書かなきゃ。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2005年『リトルプリンセス2号』で、第34回「NHK創作ラジオドラマ大賞」を受賞。07年『はじまらないティータイム』で、第31回「すばる文学賞」受賞。他の著書に、『母親ウエスタン』『復讐屋成海慶介の事件簿』『ラジオ・ガガガ』『幸福レシピ』『一橋桐子(76)の犯罪日記』『ランチ酒』「三人屋」シリーズ等がある。

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