暗い越流 (光文社文庫)

著者 : 若竹七海
  • 光文社 (2016年10月12日発売)
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  • レビュー :18
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334773618

暗い越流 (光文社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 程よい倦怠を感じ、ああ、どこかでこの感覚、知っているような……

    そうだ、私が大好きだった、ほんと初期の桐野夏生の「村野ミロ」シリーズ!あの空気を感じるのだ。
    その後、桐野は当時の読者を置いて、途方もない場所に行ってしまい、ある種の喪失を覚えていたのだが。
    もしかしたら、救世主となる作家なのかもしれない。
    これは、作家にしてみたら賛辞とは取られないだろうが。

    短編集なのだが、ダークなミステリもあれば、ほどよいコメディもあり、レンジが広い作家だ。

    葉村晶シリーズ。
    またもや必読の女探偵が現れてしまった。

  • 若竹七海の短編集。表題作は、協会賞受賞作品。
    近作はとにかく、読んで面白い小説ばかり。この短編集もいい。
    葉村シリーズが2本とノンシリーズが3本、いずれも、吃驚仰天するわけではないが、向いている方と違う展開を見せてくれたり、準備していない感情を引きずり出してくれる。
    また、ユーモアセンスや日本語の選び方が絶妙で、つくづく楽しい読書ができる。大人向けエンタメ。
    ちなみに、近藤史恵の解説はとても同意できる。
    4

  • 短編集。あとがきによれば、「暗い越流」が日本推理作家協会賞を獲ったのをきかっけに単行本になったらしいい。
    以下あらすじ
    「蠅男」…女探偵葉村晶シリーズ。人里離れた別荘。もとは霊能者が建てた。屋敷に来た人が、気分が悪くなったり、頭痛がしたりするらしい。
    「暗い越流」…死刑判決になった男に宛てられたファンレター。差出人は、男の実家の隣に住んでいた女子高生だった。しかも、彼女は5年前から失踪しているという。一見、葉村晶タイプの雑誌リサーチャーが、弁護士と組んで事件を調べているのかと思った、最後の2ページでびっくりして、前の部分を読み返してしまった。
    「幸せの家」
    「狂酔」…教会の地下にシスターたちを閉じ込めて建てこもる男。彼の語りを通して、児童養護施設で育った少女のことが明らかになる。
    「道楽者の金庫」…これも葉村シリーズ。大金持ちが亡くなった。彼は金庫に何かをしまっていたらしい。しかし、その金庫の番号を知っているのは、生前お金持ちが大量に集めていたこけしだけだ。葉村は田舎の別荘までこけしを取りにいく。

    葉村作品が2つも読めてうれしい。それ以外の短編も面白かった。

  • タイトルを見て、重くてどっしりしたミステリーかと思いきや…
    各話、軽く読めるのに読後感がなんともねっとりぞくぞくな短編集でした。こういうのを「イヤミス」というのでしょうか。電車で読むと酔いそうです。

  • 最初と最後の作品が、葉村晶のもの。
    中の三編はノンシリーズだけど、この並びがまた一つのトリックになっている。

    葉村晶のシリーズは全て、家族のあり方が事件のベースにあるのだが、この短編集もまたそうなっている。
    だから読後苦い物が残されてしまうのはしょうがないが、なぜか葉村晶が事件に巻き込まれると「しょうがないなあ」と苦笑い程度には薄まったりするのは、短編だからなのかもしれない。
    何しろ「悪いうさぎ」の読後感ったら、苦いなんてものじゃなかったから。

    親が子どもを支配する連鎖が何とも重苦しくて見苦しい表題作。
    読んでいて一番つらかった。
    幸せになっていいはずの未来を断ち切られても、子どもは文句を言えないのか。
    子どもの犠牲の上にある親の安泰って、ここまで極端ではないけれど、実はわりとよくあることなのではないだろうか。

    家族っていうのは一体なんなの?
    血のつながり?
    一緒に暮らしているという、その形?
    壊そうと思っても簡単に壊れないくせに、大事に抱え込んでいるといとも簡単に崩れてしまう。
    実に厄介な代物。
    だけど往々にして人は家族を作ろうとするんだよね。
    そこに幸せがあるという前提で。

  • 暗いな〜。人間の暗いもの怖いもの、直接的な表現はないけれど、読んだ後に残るね。
    葉村シリーズが好きだけれど、そうでないものも、よく考えられてるし、いいまわしとかハードボイルドとか若竹さん独特の世界、楽しめました。

  • (収録作品)蝿男/暗い越流(日本推理作家協会賞(2013/66回)/幸せの家/狂酔/道楽者の金庫

  • 短編集。どの作品もラストにドキッとする仕掛けがあり、楽しめた。葉村晶シリーズも。

  • 葉村シリーズ2作品を含むミステリー短編集。若竹さんのミステリーは重苦しくなくさらさらと読める。そして一風変わっててユニーク。遺骨を探しだす為に古びた洋館に侵入する「蝿男」や、金庫を開けるための番号をとく鍵となるこけしを探しだす為に南仏プロヴァンス風別荘に侵入する「道楽者の金庫」など、設定がワクワクする。展開結末より、その設定が面白い。子供も楽しめるミステリー

  • 初読みの作家さん(たぶん・・・)。短編集。良く練られているミステリだと思う。
    あらすじ(背表紙より)
    凶悪な死刑囚に届いたファンレター。差出人は何者かを調べ始めた「私」だが、その女性は五年前に失踪していた!(表題作)女探偵の葉村晶は、母親の遺骨を運んでほしいという奇妙な依頼を受ける。悪い予感は当たり…。(「蝿男」)先の読めない展開と思いがけない結末―短編ミステリの精華を味わえる全五編を収録。表題作で第66回日本推理作家協会賞短編部門受賞。

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