ホイッスル (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 28
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334773793

感想・レビュー・書評

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  • 再読。
    以前よりは、かなり客観的に眺めていたとは思いますが、やはり辛い読書でした。

    和恵の悪意に絡め取られ、翻弄された家族。
    長い夫婦の時間があればこそ、夫の不義理に対して、恨みがあってもどこか許してしまう気持ちもあったのかもと、聡子の心根を想像する自分がいました。

    家族に支えられ、自分の足で立ち上がった聡子の強さが、最後は章を受け入れたのだろうと思います。

    幸せは自分しだいで増やせるものだと気づいた聡子のこれからを応援したいです。



  • 長年地道に生きてきた普通の主婦が、性質の悪い女にひっかかった夫にいきなり捨てられ、裁判を経てから新たな生活を見つけるまでの苦闘の話。
    というとあっさりして聞こえるが、地獄の業火を見る思いだった。果たして悪い女達の腐った根性につける薬はあるのだろうか?
    娘の家庭と、悪女、和恵の家庭はどこか似たところもあるが、完全に明暗を分ける。
    どこがどう違ったのか考えさせる。
    世代間で愛情を受け継いでいくことの大事さを感じた。
    著者の本は読後感がいつも良いのだが、今回は、主人公の誠実な清々しさよりも、和恵の救いのない強烈さが印象に残った。

  • プロローグで、縁の切れていた父親の孤独死を娘の香織は知らされる。
    父親の最期に何があったのか。

    物語は一気に時間を遡り、老いた母親が年下の女に入れ込んだ父親に棄てられ、住む場所も財産も失って放り出されるところから本編がはじまる。

    こうまで、悪意ある人と善意の人がぱっきり分かれて描かれるのも珍しいなというくらい、登場する人物は「人を不幸にしても甘い汁を吸いたい」悪人と、「人に迷惑をかけず誠実に生きたい」善人に分かれる。

    善意ある人が報われず、面の皮の厚い悪人が得ばかりしているように思える現代社会で、裁きは公平に下されるのか。
    老域に入ってからの夫の不実による離婚、というと個人的にはとんでもない大事だろうけれど、事件としては地味に感じる。
    しかし丁寧にその事件によって受けた苦しみや周囲の人の戸惑い、支え、誠意と悪意を描くことによって「現実に起こりうるかもしれない裏切りや苦しみから人はどうやって立ち直り生きていくのか」「結局のところ家族とは何か」ということを考えさせられた。
    ちょっと物語として綺麗すぎる気もするのだけれど。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

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