黒龍荘の惨劇 (光文社文庫 お 35-7)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (418ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334774073

感想・レビュー・書評

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  • 時代小説作家の描く明治歴史ミステリ第二弾。山縣有朋の影の側近と呼ばれた男の首無し死体。黒龍荘と呼ばれる大邸宅の内外で次々と起こる連続殺人。

    本格のコードで同じ話を描くのであれば、恐らくペダントリーで倍の長さになるのではないか?と思うぐらい濃密な内容。終盤の16の謎が列記された後、あっという間に複数の謎が解けてしまうのは見事。
    犯行の過程や残虐極まりない犯人像にリアリティと既視感を感じたのは、現代のある事件を下敷きにしたのではという法月さんの解説にも納得。

    超絶変化球のミステリで意外な真相だと思うが、謎が解けるときのカタルシスもなく、前作のような歴史上の実在人物の関与も薄く、エッ終わり?という印象だけは非常に残念。

  • 平均以上ではあるが、手放しに賞賛する気にはならない。

    首なし死体が出てくれば、読者は必然的に身元誤認かと身構えてしまう。
    そして結局トリックはその通り身元誤認が行われており、それが家族規模で行われていたというだけ。

    十六の列挙された謎は矛盾なく見事に解かれている点は素晴らしいが、トリックが少し弱く、手がかりも少ない。

    物語としても中盤は少し中弛みしており、単調になっている印象。しかも探偵役の月輪は本当に何もしておらず、警察だけの方が良かったのでは?とすら思えてしまう。

    トリックの完成度としては高いと思うが、もう一捻りほしいところ。悪い作品ではないが、やや物足りない。


  • トリックや雰囲気は非常に良かったが、全体的にはあまり満足できなかった。連続殺人事件であるから長くなるのは仕方ないのだがそれにしても長いというのが正直な感想。トリックに主眼を置くハウダニット物とするならば伊藤や山縣など政治色を絡めずとも作れた気がするし、明治を舞台とするならばやはりワイダニットに主眼を置き、時代の闇をとことん明らかにするような話であっても良かったと思う。

    また、連続殺人物ではよくある設定であるが探偵が仕事をしてなさすぎる。全て殺人は実行されているし、最後探偵語りしているが警察の方が先に辿り着いているという落ち。助手もあまり役に立たず、前作を読んでいないので彼である必要性も感じられなかったのは大きいと思う。

  • ちょっと最後まで謎解きのヒントは少な目で謎は解けなかった。ある意味、占星術殺人事件を彷彿させるトリックだった。探偵ちょっと物足りない感じはするかな。でも、「月輪」ぅて名前きにいっちゃった。

  • 黒龍荘の惨劇 岡田秀文 了
    180626読了
    今年51冊目今月7冊目

    #読了
    #岡田秀文
    #黒龍荘の惨劇
    #光文社文庫

    初読みの作家さん。
    あとがきにもあるように、この時代この舞台設定でなければ成立し得ない、大掛かりでありながら盲点を突いた構成に眩暈すら感じる。

    探偵の無力感、より大きな力に翻弄される儚さ、良い作品だと思います。

  • 明治時代を舞台にした連続猟奇殺人事件ミステリー。
    政界に大きな影響をもつとされるある人物が、大豪邸の自室で首なし遺体で発見される。それを引き金にわらべ唄になぞらえ彼の家族が殺され始め、警察の秘密裏かつ懸命の捜査にも関わらず被害者は増え続ける。事件解決を目指す探偵・月輪(がちりん)龍太郎の言動について助手・杉山潤之助が残した手記を、現代人の作者が現代的な文体に翻訳したという体裁。事件の展開の早さもあってかなり読みやすい。
    反面、起きている事態の凄惨さのわりに、ぞっとするような恐ろしさは感じにくい。犯人が誰かということより、どうして事件が起こり続いていくのかという部分が肝要になる話なのに、ラストのカタルシスが弱かったのは残念。あとから読むとぞっとするような狂気的心理を登場人物から感じたかった。事実は十分に狂っているのだが……。
    まぁ、そのぶんグロテスクなものが苦手な人でも読みやすい猟奇殺人モノかと!そこに需要があるのかは謎。
    エンタメミステリーとしては個人的には惜しい!って感じでしたが、法月さんの解説にあるように「フランス型の犯人・警察の間で英米型の名探偵が翻弄される物語」と捉えたり、伊藤博文など歴史上の有名人物が出てくる時代背景の色濃いミステリーに興味があればかなり楽しめると思う。
    私は解説を読んでからそういう読み方がまったくできなかった浅学さをちょっと悔やんだ。
    でも結構おもしろかったから他の月輪シリーズも読もう〜。

  • 「伊藤博文邸の怪事件」に続く月輪龍太郎シリーズ#2。明治の旧家で次々と起こる殺人。首なし首なし。今回もちょっと登場する伊藤博文公。

  • 時代背景が明治。作中に漂う雰囲気や、中盤までのスピード感は良かったが、終盤にかけて中だるみ。
    特に、トリックに期待していただけに、ちょっと最後は残念な幕引き。

  • 文庫王国と、新本格ミステリ新書から。どちらからも推薦されているってことは、それなりに信頼できるんじゃないか、と。しかしまあ、なかなかの惨劇ぶり。凄惨を極める真相も、グロテスクさに輪をかける。著者の他作品も是非!とまでは思わなかったけど、結構楽しませてもらいました。

  • 明治が舞台の殺人劇、のわりには意外と読みやすく、すいすい読めました。しかし、黒龍荘という大邸宅が舞台のわりにはそれが活かされているというわけではなく、ちょっと残念。探偵役はタイプ的に明智小五郎な感じですが、話は横溝的な気が。

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