いつかの花: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし (光文社文庫 な 43-2 光文社時代小説文庫 日本橋牡丹堂菓子ばなし)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334774646

感想・レビュー・書評

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  • 【美味しい小説】
    食い意地が張ってるから、和菓子の小説に弱い。
    ストレートに胸を突く、江戸の人情話系に弱い。
    さらに、女性が一生懸命に一途に生きる話に滅法弱い。
    という、3つの弱さに思いきり食い込んだ小説でした。
    しかも、誰もが振り向くイケメンで才能もある男なのに、母親に捨てられたトラウマから、ヘタレ要素のあるほっとけない兄弟子まで出てくる。
    弱った伊佐に接するときの、普段は自信なさげな小萩が、ちょっと姉さんみたいになるのがまた堪らないです(o^^o)見守り隊。
    江戸っ子気質の粋な女将さんと、田舎の大らかさと朗らかさを持った小萩の母親も素敵すぎる。
    江戸の人情小説って、女性が素敵なんですよ!
    先走りがちな旦那衆を巧みに転がす感じとか、喜怒哀楽を隠さないとことか、でも強かさがしっかりあって、言葉はキツくても優しい。
    そんな魅力がたっぷり詰まった登場人物達と、親しみやすい大福や羊羹、ちょっとお高い雰囲気の上生菓子の描写がいっぱいで、まさに和菓子をお供に、どっぷりと話の中に浸かりたくなる小説です。
    シリーズものだから、早く続きが読みたくなります。

  • 江戸のお菓子に憧れて、江戸の和菓子屋さんに一年間見習いにやってきた、16歳の田舎の女の子の物語。

    女の職人なんてまだまだ珍しい時代、修行よりも結婚相手を早く見つけるべきだと言われて悔しい思いをすることも。。。

    でも全体的には、周りの人たちは、主人公の女の子に好意的で、安心して読めた。

  • 2017年5月光文社時代小説文庫刊。書き下ろし。シリーズ1作目。春桜餅は芝居小屋で、夏江戸の花火と水羊羹、秋おはぎ,甘いか,しょっぱいか、冬京と江戸菓子対決、の4つの連作短編。後20年くらいで、明治になろうとする1849年の江戸で菓子屋奉公をする16歳の小萩の成長ストーリー。登場人物や、出来事が面白く、楽しいです。1年間の約束が来て、小萩が鎌倉の実家に帰る4話目は、どうなるのかやきもきしましたが、お話は、続くようで安心しました。次作が楽しみです。

  • 江戸土産の上生菓子の美しさと美味しさに夢中になり、一年だけの約束で鎌倉から日本橋の菓子屋「牡丹堂」で働くことになった小萩。
    不器用でも一生懸命な小萩が、牡丹堂の面々にさまざまな事を教わりながら、やがて菓子職人を目指す決心をするまでの四季の物語。


    「和菓子が好き!」などというブックリストを作っておいて、和菓子がテーマの本を未読ではイカンと、タイトルに目につけたら、表紙は『とびきり屋見立て帖』シリーズのイラストの方。
    これは…美味しそうかも!

    などと期待が大きすぎたのか、お菓子の描写も、味よりも美しさの描写が多く、もうひとつだった。
    「おはぎ」とあだ名される主人公の小萩も、菓子職人になりたいと心を固めるのが最終章の終わりとあって、どこかふわふわと頼りないままで終わってしまった。


    と、ブクログに書き込んでからふりかえってみれば、中島久枝さん、しかも和菓子の物語で、他の作品も読んでいた。
    うーん、相性が悪いのかも…


    読み終わると和菓子屋に走りたくなる、美味しそうな和菓子の物語に、またいつか出会えることを期待。

  • 短編集「まんぷく」より、
    続きが気になったので買ってみました。

    やっぱりとてもよかった〜
    小萩ちゃんが健気で、悩みながらも自分で一生懸命考えて進んでいく姿が共感できる。

    登場人物が多くてわちゃわちゃしているのがまたいい。
    江戸時代の助け合って生きている人間関係、というかんじ。

  • GW前に予約本があまり来なかったので、読んだことの無いシリーズものを手元においておこうと思って、選んだもの。1巻目なので、ちょっとスローペースでしたが、孤独な入院生活で気分転換ツールのひとつになりました。続きは、読むかなぁ…
    2022/5/12読了

  • こちらも女の子が菓子職人になる話なんですね。
    シリーズ1冊目は職人になるかぼんやりしていた小萩の決意が固まるまでのお話でした。
    江戸時代の庶民の適齢期になる女性が自分探し的な手伝いに出ることて可能なのだろうか???と疑問には思いましたが、優しい文章の優しいお話でした。
    好みの問題ですがなつめお嬢さんのお店のお菓子より小萩お嬢さんのお店のお菓子の方が自分は美味しそうに感じました。
    小萩お嬢さんのお店のお菓子の方が庶民的なので自分には馴染みやすいんだと思います。

  • 中島久枝さんの作品、江戸人情小説、いい感じです。「いつかの花」、日本橋牡丹堂菓子ばなしシリーズ№1、2017.5発行。鎌倉の旅籠の家からお菓子が大好きで日本橋牡丹堂に1年間の期限付きで働きに来た小萩16歳の1年を描いた物語。春の桜餅、夏の花火と水羊羹、秋のおはぎ、冬は京と江戸の菓子対決。次巻が楽しみです!

  • 一年だけという約束で江戸の菓子屋で働いている小萩。菓子作りを手伝ったりしているうちに、菓子の魅力に夢中になってくるが……。なかなか面白かった。もうちょっと話のバランスがいいと、もっと面白くなる気がする。続編も出ているみたいなので、期待してます。

  • 一年を期限に菓子作りを学びに、牡丹堂で働く小萩。
    四季の移ろいと共に、娘の成長と人情の短編連作。
    春 桜餅は芝居小屋で・・・川上屋の嫁と姑。意見の相違は
       牡丹堂にも影響が。江戸と京との桜餅の違いと味の喧嘩。
    夏 江戸の花火と水羊羹・・・幹太が店の手伝いを怠ける理由とは。
       友たちへの想い、亡き母の事。そして家族の幹太への愛。
    秋 おはぎ、甘いか、しょっぱいか・・・伊佐が逢う相手は何者?
       それと見世移りとの関連は。親と子、それぞれの情。
    冬 京と江戸 菓子対決・・・故郷へ帰る日が近づく小萩。
       そんな折、江戸と京の菓子対決の話が持ち上がり、
       牡丹堂は上生菓子の代表となる。幻の花の菓子とは?
    参考図書有り。
    菓子屋牡丹堂で小萩は菓子作りと、世の中の事を学んでゆく。
    憧れの菓子を見たい、作りたいの一心で、十六歳で江戸へ。
    どちらかと言えば不器用だけど、一生懸命さはある。
    色味を生み出すセンスもある。そんな彼女を受け入る牡丹堂。
    見世での、周辺の、人間模様が味付けとなり、成長し、
    自分の道を見出すという、人情物語です。
    全体的には面白く、さくさく読めるし、菓子の描写も良い。
    周辺の人物が程好く丁寧に描かれているのです。
    ただ、一話毎が出来事を盛り込み過ぎで、
    ちょっと忙しない感じがしました。

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