神さまたちの遊ぶ庭 (光文社文庫)

著者 : 宮下奈都
  • 光文社 (2017年7月11日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334775056

神さまたちの遊ぶ庭 (光文社文庫)の感想・レビュー・書評

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  •  2013年4月、小説家・宮下奈都が1年間限定の北海道家族移住での経験と生活を綴ったエッセイ。場所は十勝・大雪山国立公園にあるトムラウシ。周囲を囲む美しい景観は「カムイミンタラ」と呼ばれ、アイヌの言葉で「神々の遊ぶ庭」を意味する。山奥の特別豪雪地帯、小中併置校の生徒は全校生徒10名。夫の突然の提案で、山村留学制度を利用した1年間の移住生活。現地の人々との触れ合い、壮大な自然、子どもたちの成長、母としての自身の成長、そして逞しく優しい人々との出会いと別れなど、トムラウシで実際に生活することでしか経験できない、気付けない、味わえないことが優しいユーモアを交えながら丹念に綴られてゆく。素敵な家族の素敵な人々とのフィクションでない出会いと生活、空や緑を見つめ「ほっ」と一息つきたくなる心温まる一冊。

     実際に移住生活を送りながら雑誌「小説宝石」に連載していたこともあり、トムラウシへの移住の話が出た1月、そして実際に引っ越して生活が始まった4月から丸一年間、月ごとに章立てされた日記形式に綴られていく。
     たぶん大変な事や辛いことも多くあったと思う。なのに宮下さんの言葉で語られるとそれが何とも素敵で愛おしい生活として感じられるのがすごい。下手な小説よりよっぽど登場人物の個性が際立っていて、読んでいて全く飽きない。
     エッセイの端々に宮下さんの考え方やものの見方が語られる。本当に大切なものは何か、世間一般の常識に囚われず自由な息を吸う。こんな風に生きられたらなぁと思ってしまう。
     大自然の中で生きることへの憧れが強くなる、そして人に少し優しくなれる、そんなエッセイだった。

  • とても素敵なエッセイだった。
    おもしろくて、温かくて、幸せな気持ちになれる作品でした。
    こんな貴重な経験、なかなかできるものではない。
    一生の宝物になるに違いない。

    今は帯広に住んでいるおじが、最初に北海道に住む時に、どうせ住むなら一番寒い場所にしようと思って選んだんだーと言っていたけど、北海道の真ん中あたりと言ってたので、この辺かもしれない。
    そんな話をしたのを、思い出しました。

  • 単行本のときから読みたいなーと思っていたんだけど文庫になったのでさっそく。(わりに文章は少ない印象なので文庫で買ってよかったかも。ケチで申しわけない。内容はとてもよかったけど)
    宮下奈都さん一家が、1年間、北海道のものすごい山奥で暮らしたのを日記風に書いたエッセイ。楽しく読んだ。なんか癒されたような気すらする。
    エッセイマンガを読むような感じ。文章は短くてざっくりした感じで、オチというか笑いがあってすべてが楽しく思えるからか。
    こんな楽しい生活って夢のようじゃないか、と夢のように読んだ。もしかしたら楽しくなかったこともあったのかもしれないけど、そういうのをまったく感じさせないというか、心して楽しいことだけ選んで書いたのかも。あるいは、本心からすべて楽しかったのかも。ほかの作品を読んでいつも思っているんだけど、宮下さんて本当に心がきれいな人って感じがするから。お子さんたちもそろって心がきれいそう。宮下さんに育てられた素直で個性的で楽しいお子さんたちがいるからっていうのも大きいだろうな。
    あるいは、楽しもうって決めて楽しんだのかも。見習いたいなと思う。
    それにしても、1年経って家族が北海道をあとにするときは泣けた。

  • 冒頭からすっと入ってきて、読み出したら止まらない文章に出会ってしまうことがある。宮下奈都さんの文章がそうだ。宮下家が北海道のトムラウシに一年間山村留学した話が本当に本当におもしろい。人が優しく温かいトムラウシはまるでユートピアだ。ああ、わたしも凍てつく冬の夜に露天風呂に入り、何千と輝く星を眺め、ジャージー牛のバーベキューに参加したい。幸せの数は星の数ほどあるけれど、宮下家を見ていてやっぱり家族仲良しって良いな、としみじみ思った。あと、山を下りて町に一軒だけある本屋さんは、雑誌がメインで、文庫の棚はひとつ、単行本は一冊しか置いてないような本屋さん。自分の本が置いてあったらうれしいだろうなあと妄想し、むりだろうなあとこの時は思っていたそうです。その後『羊と鋼の森』が本屋大賞を受賞し、願いが叶ったようです。

    p88
    そうそう、意外と虫が嫌いだったりもする。バッタが怖い子が何人もいて、ちょっとびっくりした。私も虫が好きなわけではないけれど、バッタくらいならだいじょうぶだ。かわいいなぁと思って、虫が怖いという子に話を聞いてみたら、バッタが大量発生する年があることを教えてくれた。空がバッタの大群で黒くなってしまうという。作物も荒らされ、甚大な被害を受ける。

    p157
    チャンスの神さまには前髪しかなというまことしやかな噂を聞いたことがある。通り過ぎてから気づいてふりかえっても、後頭部には毛がないからもうつかめない、というものだ。

    p220
    宮下「プリンタが壊れたようです。もう紙は詰まっていないのに用紙を取り除いてくださいと言われます。幻肢痛みたいなものでしょうか。私に直せるのでしょうか」
    担当者「そうですか。幻の紙を取り除くなんて、それは心理療法の領域かもしれません。プリンタは代替わりすべきときかと思います」

  • 宮下奈都さんの「神さまたちの遊ぶ庭」読了。宮下家の北海道滞在エッセイ。カムイミンタラ、アイヌ語で「神々の遊ぶ庭」と呼ばれる自然豊かな土地で過ごした一年間が綴られる。宮下家の長男、次男、娘ちゃんが北海道の小中学に通い、地元の方とふれあった日々が、なんとも心をほっこりさせる作品でした。そして個性豊かな宮下家の面々が面白く、とても楽しく読めました。解説にある「残り1/3で面白くて読み進めたいけど、読み終わりたくない」状態になった。ここ北海道での生活が活かされた本屋大賞作品「羊と鋼の森」も是非、読みたい♪

  • トムラウシ…北海道の真ん中にありアイヌ語で「神々の遊ぶ庭」と呼ばれる位素晴らしい景色に恵まれたその土地に、山村留学することになった宮下一家の一年を追う。
    日々刻々と変わる幻想的な景色に澄んだ空気。
    そんな大自然の中、ここに住む子供も大人も常に朗らかで笑いが絶えない。
    そして宮下一家もここで出逢った全てを丸ごと受け止め全身全霊で楽しむ。
    勿論楽しいことばかりではなく過酷な現実はいつも潜んでいる。
    けれどそんなマイナスもプラスにしてしまうパワーがこの土地に感じられる。
    さすがは神さまたちの遊ぶ庭。
    毎日をしっかり生きて本気で楽しめばいい。
    眩しくて健やかで神々しいこの土地から大切なことを沢山教わった。

    どんな時も呑気で陽気な宮下一家…すっかりファンになってしまった。
    この本を読み終えるのがほんと寂しい。
    たっぷり笑ってしんみり涙して…と沢山の「素敵」が詰まったエッセイだった。
    そしてこのトムラウシの暮らしの中から、あの本屋大賞受賞作『羊と鋼の森』が生まれたのだ。
    なんて素晴らしい!

  • 満点のエッセイです。
    十勝に越してきて2年が過ぎました。宮下さん一家が暮らしたトムラウシという山村をこの本で初めて知りました。十勝を知った気になっていた自分を恥ずかしいと思ったのと同時に、もっと知れて嬉しい。もっともっと十勝を味わいたいと奮起しました。
    何よりご家族がユーモア溢れていて、あっという間に読めました。

    書くことはあっても話すことはないという言葉の潔さがかっこいい。

  • すごいなぁ、トムラウシ。すごいなぁ、宮下一家。

  • 何だろう…人々が暖かかい。宮下家が福井に戻る所ではポロポロ涙が出た。
    それにしても宮下家の子供たちの発想が面白い!思わずプッと吹き出してしまいました。

  • 福井に住む宮下さんが、なぜ北海道に住んでいるのか、作家仲間から北欧かよと突っ込まれていた厳しい冬。その理由を知った。旦那さんもおおらかというか何も考えてないというか、それに付き合う宮下家の面々です。道東のトムラウシで暮らす宮下さん、豊で美しくも厳しい自然、そこで暮らす人々の温かさ、期間限定ですが宮下家にとって貴重な体験となったでしょう。

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