巡る桜 上絵師 律の似面絵帖 (光文社文庫)

  • 光文社 (2018年7月11日発売)
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  • 本 ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334776954

感想・レビュー・書評

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  • 上絵師律の似面帖、シリーズ4作目。

    両親を亡くし、年の離れた弟も巣立ち、父の手伝いをして覚えた絵の仕事で身を立てようとしている律。
    小物に絵を描く方は軌道に乗っていたのだが。
    着物の柄を描く上絵の仕事は、なかなか入ってこない。女性の上絵師というのは、まずいないのだ。

    人探しや、事件の捜査のために、頼まれて似面絵(似顔絵)を描いたのが解決に繋がり、その評判の方が高くなっていました。
    一方、涼太の店が、新茶に古い茶葉が入っていたという事件を起こす。
    商売敵の企みによるものだった‥

    跡取り息子だが手代として修業中の涼太。
    一人前になれば、律との結婚を進めたいと願っていたのです。
    そこへ、縁談が舞い込み‥?

    少しずつ成長していく若い二人。
    その分、まだ頼りない所も散見します(笑)
    毎回、事件は起こりますが、本当に深刻なことは目の前では起こらず、過去の話だったり。
    身近な人たちは地道に働く、まっとうな世界。
    その穏やかさと、一部の急流のバランス。
    登場人物が多いので、途中からではなく最初から、のんびり読むことをお勧めします(笑)

  • 上絵師・律の似面絵帖シリーズ第4弾。
    律の恋人のお店が商売敵の罠によって大打撃を受ける。お店を守るためには大店で財力のある娘との結婚を受け入れるべきか?店のために自分の好きな人との結婚を諦めるべきなのか?
    揺れ動く気持ちがもどかしいが少しずつでも良い方向に進んでいくので、ホッとする。
    職人として律もしくじりを経験しながらも成長していく姿は読み応えがある。これからもまだまだ紆余曲折がありそうな2人だが、幸せになって欲しいし、それぞれの夢に向かって頑張って欲しいな。

  • 『上絵師 律の似面絵帖』その4。

    似面絵の評判が良いのと裏腹に、上絵師としての技ははまだ未熟で、仕事の依頼も不安定な律。
    涼太への思いはつのるが、評判を落としてしまった青陽堂の苦境を狙いすましたかのような、家柄も人柄も申し分ない縁談が持ち上がり…


    ラストは涼太が腹をくくって、めでたしめでたし。
    律はまだ、腹がすわり切らないというか…どこかもやっとしている。
    幼なじみというだけでなく、律のどこが涼太には魅力的なんだろう?というあたりをもう少し描いてほしいかな…

  • オーディブル

    シリーズ一気にここまで聞いてしまった。サラッと聞けて作業用にとても良かった。やっぱり長屋の人情物は鉄板だ。

    ついにお律と涼太が結ばれて良かった。私は涼太じゃなくて染め物の人の方がいいと思ったけど、やっぱり初恋には勝てなかったか。元からあまり惹かれてなかったみたいだしな。

    シリーズが長い割に初めの方で仇討ちが達成されてどうなるかと思っていたけど、この調子ならこれからも事件が舞い込んできそうだな。お律さんが少しずつ職人として成長していくのも面白い。初めはプライドばかり高い割に職人としての心構えがないお律になんだかなーと思っていたけど、まだ若い上にいきなり両親が立て続けに亡くなってしまったら仕方ないよね。しかもこの時代の女性なら跡を継ぐっていうのも現実的に考えていなかっただろうし。実際そんな心情は何度も書かれていたから本人が戸惑うのも仕方ないのかも。そこはお類さんがしっかり舵取りしてくれて、厳しいけど、はっきり道を示してくれている。
    お律のウジウジは正直、ウンザリと思うところもあったけどそれも含めて律の成長を描いていると見ると1人の女性の自立の話しでもあるのかな。結婚しても職人として1人前になって欲しいな。

  • 2024.11.audible

  • お茶に古葉が混ざっていて信用を落とした青陽堂。手代の裏切りとはね。仕組んだと思われる商売敵のお店ですぐ働き始めていて雇われるほうもだけど雇う方もどうかと。青陽堂の得意客を取ったんだからそこから何か思われるとか考えないのかしら。商売敵も手代も報いは受けてないからこの先で受けて欲しい。「父二人」が良かった。お店からも妹の引取先からも思われて弥吉を取り合って喧嘩を始めて、親の愛を得られなかった弥吉には何よりも嬉しいこと。律と涼太もやっとか。

  • 2人のもやもや感にむしろ「らしさ」を感じてしまい、
    その2人を取り巻く脇役陣の素敵さが沁みております。

  • 巾着の仕事を減らされ、律は焦りを覚えていた。そんな折葉茶屋・青陽堂では、商品に古い茶が混じっていたことで、得意客だ離れる騒ぎが起きる。
    職人としての誇りをかけた仕事に打ち込みながら、ゆくえ定まらぬ恋に心を揺らす律
    シリーズ第4弾

  • 202202/1~7巻まとめて。先に読んだ「神田職人えにし譚(しろとましろ)シリーズ」が面白かったので、こちらも購入。弟がいる女性職人が主人公ってことで、似たようなところも多いけど、こっちもなかなか面白かった。

  • シリーズ第4巻。
    同じ長屋に住む、指南所の師、今井直之は律や香、涼太の師でもある。そこに知り合いの隠居をした古屋がやってくる。
    探し人がいるようで、律に似顔絵を依頼。

    評判を呼んで、似顔絵の依頼が増えて、仕事が進まなくなり、女将の仕事以外は断る律。

    そんなおり、繁盛している涼太の店が失策を。
    新茶の中に古い茶葉を混入された。商売敵の陰謀。
    犯人探しや、落ちた評判を挽回するべく多忙になった涼太。

    そして正式に二つの縁談が涼太へ。

    律はヤキモキしながらも、自分の仕事の悩みも抱える。

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著者プロフィール

1972年生まれ、ミネソタ大学卒業、カナダBC州在住。2012年『鈴の神さま』でデビュー。同年『妖国の剣士』で第4回角川春樹小説賞受賞。「上絵師・律の似面絵帖」シリーズでブレイクした注目時代作家。

「2023年 『江戸は浅草5 春の捕物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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