今はちょっと、ついてないだけ (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334777463

感想・レビュー・書評

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  • なにかに行き詰まってる人たちの連作集。過去を思い今の自分に感じる痛み。立ち止まって振り返り今を受け入れることで見えてくるもの。出会った人との縁とかそういうものを大切にする事で何か少しでも変わるような、今はついてないだけって思えるくらいになればまた進めるんじゃないかと思わせてくれるような作品。先は長くても今大丈夫って思えることの喜びや感謝が込み上げてくる。

  • バブル期にもてはやされた男性の敗者復活戦というのはちょっと違うかも。

    だって、所属事務所に負わされた借金を自己破産することなく、運送の仕事等をコツコツとこなして返済した後、自分が、いかに人物を撮影することが好きだったかを思い出し、人の心に触れる撮影のできる彼は、とても興味深く魅力的な人物。

    彼と彼と縁ができた人達の再出発のお話。

  • バブル期に注目を浴びた青年が、バブル崩壊で借金を背負い、返済が終わると40代になっていた。
    そこから人生を取り戻すお話。

    伊吹有喜さんのお話は、悩める中年がもがいて、新しく再生する感じでら元気をもらえます。

    今回はアウトドアのシーンがあって、外で淹れたコーヒーが飲みたくなりました。

  • 主人公の立花だけで進むのかと思ったら、色んな中年が出てきて、暗い話からちょっと良くなって、集まって。最後は中年ズが新しい門出に立つ。
    今はちょっとついてないだけなんだなって、そう思う作品でした。少し落ち込んでる人も優しい気持ちになれる気がします。

  • 40代からの敗者復活戦。バブルの頃にネイチャリングフォトグラファとして活躍した立花浩樹は、家族と別れて家を飛び出した宮川とシェアハウスで住み、再び写真の仕事を始める。

    40代。いろいろあるさと言うのが感想です。仕事で言えば、重要な仕事を任されたり、家族を持ったり、子供がいたり。何て言うのは、当たり前のことではなくて、とても素敵なこと。家族もなく、仕事もあやふやで、明日からの生き方も分からなくて。そんなひともいるし、いて良いと思う。でも孤独なのは寂しい。

    立花はパートナーの借金を返して、仕事も黙々と頑張って、目の前のことにキチンと向き合ってきたからこそ、それが財産として多くのひとの心に残っている。自分のように何もない40代なら、余計にそこから頑張るしかないし、愚痴ってもはじまらない。頑張れ同世代という気持ちになれまして。

  • 一度人生に躓いた中年世代の男女が、場末の貧乏シェアハウスから再起を掛けた敗者復活戦に挑む連作短編集。実は色々恵まれている主人公の立花に落ちぶれた印象が希薄だったり、チャンスが割と簡単に訪れる辺り(苦労する描写が絶対的に少ない弊害)は予定調和の世界ゆえ、中々感情移入し難いが、就労問題や新型ビジネス等の時事テーマを織り交ぜ、中年世代の悲哀や展望を巧みに描いている。立花と宮川、二人が展望台で会話するラストシーンは第一話の冒頭にもリンクしており、実に感動的。しかし、宮川氏は序盤と終盤で全く別人の様な変貌ぶりだ…。

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著者プロフィール

伊吹有喜(いぶき・ゆき)
1969年三重県生まれ。三重県立四日市高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。四日市市観光大使。1991年に出版社に入社。雑誌主催のイベント関連業務、着物雑誌編集部、ファッション誌編集部を経て、フリーライターになる。2008年に永島順子(ながしま・じゅんこ)名義で応募した『風待ちのひと』(応募時のタイトルは「夏の終わりのトラヴィアータ」)で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。2009年に筆名とタイトルを改め同作で小説家デビュー。2014年『ミッドナイト・バス』で第27回山本周五郎賞候補、第151回直木賞候補。2017年『彼方の友へ』(実業之日本社)本作で第158回直木賞候補。

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