つなぐ鞠 上絵師 律の似面絵帖 (光文社文庫)

  • 光文社 (2019年6月12日発売)
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  • 本 ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334778682

感想・レビュー・書評

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  • 『上絵師 律の似面絵帖』その5。

    鞠の意匠をあしらった「鞠巾着」が評判を呼び、池見屋の女将・類からも少しずつ認められてきた律。
    涼太との祝言も決まり、結納も済ませ、あとは祝言の日を待つばかり。
    鞠巾着が縁を呼び、新たな出会いや思いもかけない事件が…


    仇討ち案件に続き、涼太との恋模様案件が決着してスッキリしたせいか、『絵師』の物語としてようやく面白くなってきた。
    似面絵が人の記憶を結ぶ縁になる、三つ目の「老友」が良かった。

    鞠巾着の偽物が出回った事件で、池見屋の女将・類の言葉が、これからの律の道を指し示している。
    「確かにお前とお律の腕はどっこいだ。(中略)お前がまだうちから仕事が欲しいと望むなら、真似っこじゃないーお前にしか描けないもんを持ってきな」
    長い間修業してきた職人から見れば、たしかにお律は未熟でしかも女と、侮られがちな立場だろう。
    そこにピシャリと筋を通す類。粋だねえ!

    拐かし事件で祝言は日延べされてしまったので、もう一冊待つのだぞ…
    次巻ではさすがに祝言にたどり着くだろうから、今度は恋の悩みではなく、嫁としての務めや妊娠・出産と、職人としての板挟みに悩むことになるのだろうか…
    個人的な好みとしては、職人ものの視点をメインにして欲しいけれど。

    それにしても、長屋育ちでもう二十三歳のお律が、涼太との事になると途端にとりのぼせてしまうのが、物語の流れからどうにも浮いていて、ちょっと気恥ずかしい。
    時代小説には、必ずその手のシーンが必要だと思ってる?

  • 上絵師・律の似面絵帖シリーズ第5弾。
    幼馴染みとの祝言控え、これでめでたしめでたしと思いきや、やっぱりうまくことは進まない。
    これからどうなることやら…
    定廻り同心の広瀬から悪人の似面絵を頼まれている律はいつも事件に巻き込まれてしまうけど、心が温かい人達にかこまれているので安心して読める。
    現在と比べて仕事を始める歳も隠居する歳も早かった江戸時代。40歳過ぎたら年寄り扱いされているのは何だか辛いなぁ(笑)

  • ひっぱる~w
    これまでの繋がりがいい感じに絡み合って前に向いてる感じだし、全体的に幸せな雰囲気に包まれてる第5巻でした。気持ちよ~く読めました。

    2024年20冊目。

  • 二月をかけた着物の上絵をやり遂げた律だったが、その後は再び巾着の製作に。
    だが、なかなか類に褒められず数は前と同じ2枚。
    同じ仕事人に負けている。

    涼太との結婚話は進み結納を済ませる。

    新しい図案、手鞠柄を作ると、それに人気の火がつき、偽物も出る始末。

    いろいろな人から新しい注文が入り、同じ待つなら、倍額で完全オーダーの巾着をとの客も増える。

    仕事を通し、成長してゆく律。

    『みをつくし〜』シリーズは料理と友情、人としての成長が主題であったが、このシリーズは女性の少ない分野でのことだけに、女性の自立と成長、プラス事件の解決と捕物も加わり、なかなかスリリングな展開が多く充実の内容。

  • 初めて読む作者 知野みさき氏の本であり、上絵師 律の似面絵帖シリーズである。

    シリーズ物と知らずに、この本を手に取ってしまった。
    昔、手芸で、糸を円形に巻き付けて、手毬を作ったので、少し興味があったせいと、日本特有の色の書き方に興味があり、読み始めた。

    岩井茶色の格子絽に蒸し栗色の帯、、、20代の若さで、渋い色合いである。と、思いながらも、読み進んで行った。
    鞠のデザインで、鞠巾着が、人気になって、仕事も増えてきた主人公 律!
    好き合った亮太とも祝言の運びなるのだが、、、義理の妹のお香とも仲が良く、ホンワカと、いい方向へと、描かれている。

    しかし、子供が出来ない母親の悩み、姑の心無い言葉、そして、50過ぎての痴呆症に悩む隠居。
    それに、鞠巾着の売り上げと、仕事のノウハウではないが、人気継続の施策。
    等など、、、今の時代にお通用することが、描かれている。

    そして、自分の祝言の日に、誘拐の事件に遭遇しながらも、子ども、そして友を想う気持ちが、良い。

    最後の誘拐犯のお裁きにも、ほっこりとした。
    知らぬが半兵衛では、無いけど・・・(笑)

    先日、時代小説を読んだ、のどか屋シリーズより、読みごたえが、あった。
    次回の6巻を楽しみに、読んでみようと思っている。

  • 知野みさき 著「つなぐ鞠」、上絵師 律の似面絵帖シリーズ№5、2019.6発行。上絵師 律23歳と青陽堂の若旦那 涼太24歳、いよいよ結納の儀が終わり祝言へと向かうところ、祝言の前日、涼太の妹の香と秋彦という子供のかどわかしが。事件が解決したら、今度は香のつわりが。ということで、祝言は第6巻になりました。知野さん、願わくば、もう少しテンポよくお願いしますw。

  • 2024.11.audible

    感覚は現代。
    時代小説にした方が書きやすいのかしら。
    おこうが懐妊してよかった。
    結婚式当日にこんなバタバタするなんて、これからも大変そう。

  • 鞠巾着が人気となり涼太との祝言も決まって公私共に順調なお律。偽物騒動が池見屋の雇っているもう一人の上絵師の仕業だったとは。鞠巾着なら誰が書いてもいいだろ、と開き直るんじゃなくて自分だけの何かを作り出せばいいのに。でも「池見屋で売っているお律の書いた鞠巾着」じゃないと知ったらいらないと言われて辰吉ショックよね。祝言当日に騒ぎがあって延期になって残念だけど香が懐妊してめでたい。

  • 鞠の意匠をあしらった「鞠巾着」が人気となり安定した仕事をもらえるようになった律、涼太との祝言の日取りも決まり幸せをかみしめながら職人としても続けていこうと決意する。そんな折、拐かし一味の女の似顔絵を頼まれた律は何か引っかかる者を感じる。
    シリーズ第5弾

  • 202202/1~7巻まとめて。先に読んだ「神田職人えにし譚(しろとましろ)シリーズ」が面白かったので、こちらも購入。弟がいる女性職人が主人公ってことで、似たようなところも多いけど、こっちもなかなか面白かった。

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著者プロフィール

1972年生まれ、ミネソタ大学卒業、カナダBC州在住。2012年『鈴の神さま』でデビュー。同年『妖国の剣士』で第4回角川春樹小説賞受賞。「上絵師・律の似面絵帖」シリーズでブレイクした注目時代作家。

「2023年 『江戸は浅草5 春の捕物』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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