クリーピー ラバーズ (光文社文庫)

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  • 光文社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334779764

感想・レビュー・書評

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  • 前川裕『クリーピー ラバーズ』光文社文庫。

    『クリーピー』シリーズ。シリーズでお馴染みの犯罪心理学者・高倉孝一が助手の夏目鈴を従え、『高倉犯罪相談所』を開設する。高倉の元に持ち込まれる気味の悪い事件……6編から成る連作短編集。

    いずれの短編も男女の歪んだ欲望が招いた事件が描かれ、生々しく恐ろしいが、同じテイストの短編ばかりで少し食傷気味。不思議なのは、どの短編にもショートカットのボーイッシュでショートパンツに臍出しTシャツの女性が登場すること。

    『倒錯者』。高倉が依頼者が抱える問題を見事に解き明かす安楽椅子探偵風のミステリー。

    『不法監禁』。高倉の元に助手の鈴が鈴が所属する劇団の何者かにより監禁されているという密告文が届く。そして事件は意外な方向に展開し……

    『動機なし』。ベースにあるのはあの陰惨な事件だろう。動機の無い殺人は成立するのか……

    『アイヒマンの見た夕焼け』。教授を陥れる罠。高倉が受けた依頼は……

    『気づいていなかっただけ』。元警察の現役暴力団員の別所は高倉のかつての同級生だった。高倉にもたらされた彼からの相談……

    『あなたの命』。あの事件は幻想だったのか……高倉に持ち込まれた過去の事件……

    本体価格720円
    ★★★★

  • 犯罪心理学者の高倉孝一が「高倉犯罪相談所」を開設した。気に入った事件しか引き受けないのだというが、高倉好みの気味の悪い“事件”が持ち込まれてくる。企業重役の不貞行為、小劇団内の監禁事件、女子中学生拉致事件など、歪んだ愛にまつわる奇妙な事件の数々に、探偵・高倉孝一と助手の夏目鈴が挑む!

  • なんかワンパターンだなあ…と思う

    次作、クリーピー ゲイズは長編なので期待

  • 「クリーピー」シリーズの犯罪心理学者・高倉孝一が高倉犯罪相談所を開設し、助手の夏目鈴と共に数々の奇妙な事件の解明に挑む短編集。
    どの短編も意外な真相や結末が面白かった。
    犯人の歪んだ愛が不気味ではあるけれど、シリーズ初期の頃の背筋が寒くなるような気味の悪さとは少し趣きが違うように感じた。
    個人的にはイヤミスに近い読後感だった。

  • さんよう三葉の写真 究極の倒錯者に変貌 手による扼殺やくさつ 瞼に浮かび 赤紫の扼痕やくこん 静岡県の城ヶ崎海岸 虚偽に違いない 三島由紀夫の『黒蜥蜴』を種本にしている にょぞく女賊 得心がいく 生殺与奪の権を握られている気分 むつごと睦言(ピロートーク) ひょうせつ剽窃(プレイジャリズム) 土佐清水市へ出張 イスラエルの特殊機関であるモサドに身柄を拘束され アイヒマンを連想

  • 高倉が高倉犯罪相談所を開設した。
    前作までとは違うパターンの短編集のイメージ。
    夏目鈴は活躍するのかな?
    よくわからないけど、安楽椅子探偵にするにはちょっと弱いかも。
    1作目が一番良かったような…。
    ちと残念。

  • クリーピーシリーズももう4冊目。映画から入ったので、完全に高倉教授=西島秀俊さんで再現される。
    ついに個人事務所を開設されて、いよいよ探偵ものになった感じ。短編なのでそれぞれのゲスト登場人物の掘り下げは深くないが、キャラクターが濃い人が多いのでどれもインパクトがある。そして総じて変態が出てくる。そして変態だー!!と思うけど、それが続きすぎて普通になってくる不思議。
    イヤ~なところを突いてくる上手さは最初から相変わらず。ただやっぱり、最初のクリーピーでの隣人の気持ち悪さがピカイチだったので、探偵ものでの長編も読んでみたい。
    「犯罪心理学者」という主人公の職業柄、いろいろな犯罪ものの知識が得られるのもこの作品の面白いところ(「冷血」読み始めた)
    そして今回ブクログ登録しようとして、シリーズ2冊の登録と感想が抜けていることに気づいた…

  • ミステリ
    かかった時間 3時間くらい

    コロナウイルスでうろうろできなさそうだから、軽めの本でも何冊か読もうとして買ったもの。「クリーピー」というのは、「身の毛のよだつ」という意味の、恐怖を表す言葉らしい。本作は4作目で、後書きによると、名探偵もの短編集の傾向を強めた3作目につづくものであるようだ。

    なんというか、文章からあらわれるアンバランスさ(かしこい感じとしっくりこない感じ)から、心理系か文芸系の大学生か院生が描いたものかと思いきや、作者はバリバリの、計算すれば70近くの、アメリカ文学の研究者様であった。アンバランスさの意味がわかった。

    まあ、それはそれとして、必然性のないフェティズムがなかなか前面に出てきていたことや、ご都合主義的な展開なんかを加味して、星ふたつ。

  • 倒錯的な快楽を求める人々が陥る犯罪短編集。
    『動機なし』の完全犯罪についての考察や『気づいていなかっただけ』の旧交を温めながらの謎解きのおもしろさよりも、個人の性癖の“クリーピー度”が上回る。
    犯罪相談所を開いた高倉教授が犯人や関係者と会話してるだけでズバズバ真相を炙り出していく様は、もう犯罪心理学のエキスパートを通り越してエスパーの域w
    若い女性のお臍の性的魅力はよく分からないけど、“腹が冷える”や“腰回りの肉が…”の理由でいかにウエストを隠すかの年代の自分には臍出しルックの鈴ちゃんの若さが只々眩しかったw

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著者プロフィール

現在、関西学院大学理学部准教授・宗教主事。2010 年より日本聖公会京都教区ウイリアムス神学館非常勤講師。
著書『新約聖書解釈の手引き』(共著、日本キリスト教団出版局、2016 年)、『新約聖書の奇跡物語』(共著、リトン、2022 年)訳書E. ギューティング『新約聖書の「本文」とは何か』(新教出版社、2012 年)、R.カイザー『ヨハネ福音書入門―その象徴と孤高の思想』(教文館、2018 年)など。

「2023年 『今さら聞けない⁉︎キリスト教 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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