芸術と青春 (知恵の森文庫 a お 6-2)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334781880

作品紹介・あらすじ

「青春は無限に明るく、また無限に暗い。」-岡本太郎にとって、青春とは何だったのか。パリでの旺盛な芸術活動、交遊、そしてロマンス…。母かの子・父一平との特異ではあるが、敬愛に満ちた生活。これらの体験が育んだ女性観。孤絶をおそれることなく、情熱を武器に疾走する、爆発前夜の岡本太郎の姿がここにある。

感想・レビュー・書評

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  • 自分的には家族の話や、恋愛の話が好きです。
    なぜだかわからないけどすごく勇気ずけられたのです

  • 岡本太郎の青春の原点、フランスでの大学時代のことについて書かれた1章目は本当に印象的だった。
    読みながら、若者特有の青春の眩しさ、熱気を感じられるような、そんな作品だった。
    個人的には読みながら、まるで映画を見ているように情景が思い浮かび、太郎氏の青春を自分も追体験できるような、なんだか自分もこんな激動の青春を送ってみたいものだと思わず当てられてしまった笑

    2章目以降での家族についての描写では、彼のこれまでの家族との関係性について触れられていて、母と父の芸術観の話が、ドライブマイカーを観た際に、とても重ねて見えるように感じられた。

    いずれにせよ、岡本太郎の原点を感じられるような作品だった。

  • 日本的小モラルから脱して自由なパリの芸術家の雰囲気を身につけるためには、自由に放縦に己を堕落させるためには、
    やはり手段と技術がなければならない。
    無軌道と思えるほどの性に対する開放性
    抑圧は、コンプレックスの前提だ。

    ポリガミー的性向(変化や冒険への欲)が、モノガミー的性格(安定や単一)に変わった時に初めて結婚するべきだ。 本能生活が理性生活に先行しなければならない。

    日本のモラルがいかに偽善的で封建的で虚栄的で古くさいものだったかはっきりとわかります。消費社会や男尊女卑の風潮とか、全部今も同じだけど。

    そのモラルがやってはいけないと言っていることこそ本当はやらなければいけない不道徳である。

  • 私の中で岡本太郎は美術家というよりも文学家。
    そう定義しても異論を唱える人はいないのではないだろうか。留学時代や第二次世界大戦中の出来事もいきいきと書かれている。

  • 青春回想が面白かった
    パリ時代の写真、たしかに男前
    モテたんでしょうな

    女の泣き顔に思う感情に凄く共感

    そして巻末、みうらじゅん氏の解説も良かった

  • この徹底的に常識を疑い、
    自身の思うところを思うままに叩きつけていく有り様が素晴らしい。

    タブーをタブーとせず、
    突き進む。

    「人格相互は、個々の判断や好みで精神的に結びつかなければならない。理想像を厳しく抱えていればいるほど、本当の相手にぶつかることはむつかしく、おそらく一生かかってもめぐりあわないかもしれませ。
    しかし、性一般というのものは、誰々という個的な条件をこえた、幅広い明朗なものです。つまり無条件の性の対象であって、男として女に、女として男に対する根源的な衝動であり、より好みのないものなのです。」

  • 岡本太郎のエッセイ集的な物です。

    これまで思想的なものばかり読んでいたので、小説や、紀行記のような文章は興味深い。

    しかし、やはり後半の思想的な文章の方が、岡本太郎の面白さ、魅力が詰まっていると思います。

    母であるかの子と父の一平とのエピソードも面白い。
    かの子については数点の短歌を知る程度ですが、その実態は岡本太郎の、信条とする芸術とはかけ離れていて、文芸そのものへの憧れから出発している点がとても面白いと思います。
    両親ともに芸術家だからこその岡本太郎ではあるけれど、自身はその芸術性から脱し、力強く新鮮で挑戦的な芸術の道を歩んでいるのですから。

  • 両親への想いの章がジーンときた。2人の変わった愛の形、愛し方の違いゆえに満たされない思い、でも強固に結び切った信頼関係。「人間関係」から生まれた芸術。

  • 大好きな岡本太郎さんの本です。
    岡本太郎さんの青春時代のお話がたくさん詰まっています。
    母親、かの子さんの話も面白かったです。
    岡本太郎さんが人としてどう生きたのか、
    もっと読まなきゃと思いました。

  • あっという間に読んでしまった。岡本さんの著書を読んだのは初めてだったけど、絵画だけではなくて文章も魅力的な方だった。
    1章青春回想では特に「妖獣」の表現力が恐ろしかった!思わず就寝前の電気を消す瞬間にせず時が凍ったほど。
    2章父母を憶うでは両親の馴れ初め、夫婦を超えた人と人、芸術家と芸術家の関係性が興味深かった。この2人の関係性は私の理想とするところに近い。
    3章の女のモラル・性のモラルはイチオシだ。岡本さんの時代から今の日本にみられるモラル問題を感じてられたのは驚き。書いてあることも拳をぽんと打ってしまう。何度も読み返したい本だった。
    素直に快活に、聡明に自由に精神を解放して生きたい。

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著者プロフィール

岡本太郎 (おかもと・たろう)
芸術家。1911年生まれ。29年に渡仏し、30年代のパリで抽象芸術やシュルレアリスム運動に参加。パリ大学でマルセル・モースに民族学を学び、ジョルジュ・バタイユらと活動をともにした。40年帰国。戦後日本で前衛芸術運動を展開し、問題作を次々と社会に送り出す。51年に縄文土器と遭遇し、翌年「縄文土器論」を発表。70年大阪万博で太陽の塔を制作し、国民的存在になる。96年没。いまも若い世代に大きな影響を与え続けている。『岡本太郎の宇宙(全5巻)』(ちくま学芸文庫)、『美の世界旅行』(新潮文庫)、『日本再発見』(角川ソフィア文庫)、『沖縄文化論』(中公文庫)ほか著書多数。


平野暁臣 (ひらの・あきおみ)
空間メディアプロデューサー。岡本太郎創設の現代芸術研究所を主宰し、空間メディアの領域で多彩なプロデュース活動を行う。2005年岡本太郎記念館館長に就任。『明日の神話』再生プロジェクト、生誕百年事業『TARO100祭』のゼネラルプロデューサーを務める。『岡本藝術』『岡本太郎の沖縄』『大阪万博』(小学館)、『岡本太郎の仕事論』(日経プレミア)ほか著書多数。

「2016年 『孤独がきみを強くする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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