前世への冒険 ルネサンスの天才彫刻家を追って (知恵の森文庫)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 402
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334784430

感想・レビュー・書評

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  • 「杏のふむふむ」で知った本。
    もう何度も読み返している。
    前世なんて信じられないと思いながら読み始めたが、とても面白くあっという間に読み終えてしまった。
    まるで著者の森下さんと一緒に冒険をしているようでワクワクする。
    「人はわくわくしている時、本当に生きている」という森下さんの言葉がとても胸にささった。
    ワクワクすることを忘れて日常が色褪せて見える時、私はこの本を読む。
    ミステリーのような、ファンタジーのようなノンフィクションのお話。

  • 杏のエッセイ『杏のふむふむ』を貸してくれた友人が、『ふむふむ』の中に出てくる本だからと、一緒に貸してくれました。私は占いも前世も信じません。だから、「あなたの前世はルネサンス期に活躍したイタリア人彫刻家ですと言われたフリーライターが、前世の自分を検証する旅に出る」という話を胡散臭すぎると思いつつ読みはじめました。そうしたら、おもろいやんか。フリーライターである著者自身が私と同じスタンスで、取材で会った「前世が見える人」のことを疑いの目でしか見ていない。なのに信じざるを得ず……という状況に。ノンフィクションなのにファンタジー。信じても信じなくてもええやんか、こんな素敵な旅ができたんだから。そう思えます。

  • この著者の作品としては2冊目の本だが、まったく異なった視点から書かれた作品。「前世への冒険」という題は、この本の重要な要素の一つ「前世」がきっかけとなって書かれたことからつけられている。

    あるとき、「あなたは、1430年ポルトガルのポルトという海に近い町で生まれた。名前はデジデリオ・・」と言われたことから「私」の旅がはじまる。「私」は前世など信じていないが、自分に向けて語られたことを調べはじめ、ついにイタリアそしてポルトガルまで、デジデリオの関わった土地や教会を訪ねてゆく。そしてその地に遺された彼の彫った石像を見て、次第にその温かな表情に魅了されてゆく。

    「私」が一つ一つの疑問の答を探し、調べられる限りをつくしていく過程を、読者が後から辿ってゆくことで、あたかも読者も共に冒険の旅にでかけているように感じられて、刺激的で楽しい。400年以上も隔たった世界とは感じられない、スリリングな旅だ。やがてその道のりからひとつのたからものを得る。

  • BSのドラマで「フィレンツェ・ラビリンス」というのをやっていまして。イタリアの町並みと建造物の美しさ、ストーリーの完成度に思わず「原作が読みたい!」と衝動買い。
    ドラマのほうが確かにまとまりはありますが、描かれなかった部分にも面白いお話が沢山あってとても面白かったです。
    ただ、一部同性愛表現があるのでいやな人はご注意です。

  • まさに前前前世!
    こんな話本当にあり得るのか?
    それを著者本人が疑ってくれたからこそ生まれた作品なのではないかと。
    輪廻転生とか生まれ変わりの概念そのものが人間がつくりあげたものであるし、誰も証明できない。自分の前世…知りたいような知りたくないような。とにかくデジデリオという名前は忘れられないだろうなぁ。

  • 前世を信じるか信じないか。
    私は信じるほう。理由は簡単で、その方が面白いから。

    この本のことは全く知らなくて、父から勧められて読み始めた。
    本自体も薄いし、とても面白いのでさらっと一気読み。
    前世が美貌のイタリアルネッサンスの彫刻家なんてロマンあるな〜。
    私も前世を知りたいような知りたくないような。

    現地まで手掛かりを見つける旅に出て、実際に彼が手がけた作品を見て文献を読み漁って…
    なんて素敵でスリリングな冒険なんだろう!
    前世の恋人である「ルビー」が、生まれ変わって同じ作家になっている、っていうのもとてもロマンチック。
    (さすがに今世では前世の恋情は残ってないようだけど)

    ノンフィクションだけど、最近読んだどのフィクションよりもドラマチックな物語でした。

  • 京都市北区の喫茶店 鑑真和上の弟子 ポルトガル枢機卿すうききょう 欲情に塗れて享楽的な人生を送ったから 早世そうせい 夭逝ようせい 護摩火の前で ポルト銘酒ポートワインの本場 さいゆう彩釉テラコッタ 男色文化 カストラート去勢歌手 バチカン礼拝堂合唱団に実在した デジデリオ(欲望) 教会のせんとう尖塔や鐘楼しょうろう 古典の造詣ぞうけい深く きゃしゃ華奢な男がダイナミックな作品を作ったり 博識奔放 長身頑健の美男子 冷たい鑿のみ打ちの音が響いていた しょうふく妾腹の子という生まれに対する劣等感の裏返しであった そうした善悪の彼岸ある愛を せいちゃく正嫡 梅毒に罹った者は デスマスクを元に 情感や陰影を表現できる天才だった 再生(ルネサンス)の讃歌 弟の瞼を指でそっと閉じさせ 滂沱の涙を流しながら 弔いの鐘が鳴った いとうせいこう 人類の持つ知能それ自体の快楽原則がそこにはある 現実を侵す力があるからこそ存在価値がある 二重性を二重性のままに甘受させる力を持っていなければならないのだ

  • 長文感想文

    この本と出会ったのは、3度目のイタリア旅行のお供になる本を探していたとき。実にふさわしすぎる一冊だった。

    前世が見えるという女性から、筆者がかつてルネサンスのデジデリオという名の彫刻家であったこととと、それにまつわるキーワードを告げられたことでストーリーは動き出す。

    私自身、ずっとイタリアに憧れてきた。その憧れのせいで、この本に出合うずっと前から前世がイタリア人だったらいいとも思っていた。読んでいるうちにも、この物語が自分自身の身に起こったことであったらどんなに良かっただろうと思わずにはいられなかった。私にとってイタリアは自分が死ぬ前にどうしても行きたい国だった。そしてある年、初めてのイタリア旅行を決意した。最初で最後かもしれないと、渡航を決めてからできる限りの下調べをすることにした。イタリアでしたいことの1つがアート鑑賞。今でも最高のテーマを選んだと思う。当時やっとアートには知識が必要だとわかり始めたころであった自分 vs ルネサンス。芸術界の最大のターニングポイントだけに必要な知識は膨大である。調べれば調べるほどわからないこと知りたいことが増えていく。図書館に入り浸っては調べ、知り、もっと知りたくなり、さらに調べての繰り返し。それが何よりも楽しかった。

    本の中で、著者は、自分の前世を調べるためにイタリアへ向かう。与えられた前世のキーワードが解き明かされたり、暗礁に乗り上げたりする様子を読んでいくのは、一緒にその場を巡るようである。あの下調べのときの知的好奇心に導かれるままに追及していく快感が、本を通して再現されていく。知りたいという気持ちにぐいぐい引っ張られ、フィレンツェへ向かう列車の中で私はこの本を読み終えた。

    この本による興奮を抱いたまま見るフィレンツェの街は、本にまつわるキーワードやものと出会うたび、より一層キラキラ輝いた。この本を読まなければ、きっと行くことはなかっただろう場所、サンミニアートアルモンテ教会もへ行った。緑と白の大理石でつくられた外観は美しく、スマートで涼し気だった。フィレンツェを一望する丘の上にあって、ここで眠りたいと願うのは当然だと納得できる見晴らしのよさ。枢機卿の彫刻との対面は、本による熱を心地よく冷まし、後には静かな感動が残った。また、この本なくしては絶対に気付かなかったであろう、街の中に残るデジデリオの作品。彼のつくったライオンのレリーフが銀行の建物の壁にあると本には書いてあったが、行ってみると今はブティックになっていた。それでも、そのレリーフは存在した。ルネサンスからずっと在る。この時この場所で、時空がつながっていることと時空を超えられること、相反するようなこの2つを同時に感じられた気がした。今と昔を切り離して考えていた自分に、この本はルネサンスから現在への時の連続性の概念を与えてくれたのだった。

    この物語は自分に起きたことではない。だが、この本に出てくる地名やワードは、今の自分にたまたま接するものが多くとても身近な気もして、結局、自分のことのように感じながら冒険の並走をさせてもらった。本の世界も現実の世界も一緒に旅する。こんな素敵な宝探しのような経験させてくれたこの本に感謝を。そしてこの本の着地点を、私はとても好きだと思う。

  • 前世が見えるという京都在住の清水さんに、前世はルネッサンス初期の彫刻家であるといわれた森下さん(日日是好日の著者)。半信半疑のままイタリア・ポルトガルへ飛び、古書や教会を訪ね、清水さんの「お告げ」との奇妙な一致に驚いたり感動したり。ためになる話や感動のエンディングというタイプの本ではないが、この旅のように、ワクワク・ドキドキが最高に高まる機会って、なかなかない。自ら作らないと、ずーっとこのままなので、近いうちにこういうことやってみたいと思うきっかけになった。

  • 事実を小説にしたのならこういう感じになるよね

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著者プロフィール

森下典子(もりした のりこ)
1956年生まれのエッセイスト。『週刊朝日』のコラム執筆を経て、1987年その体験を記した『典奴(のりやっこ)どすえ』を出版。代表作『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』は、大森立嗣監督・脚本、黒木華主演により2018年10月13日映画化され、樹木希林の遺作ともなり、大きな話題となった。他に、『いとしいたべもの (文春文庫)』『猫といっしょにいるだけで』などの作品がある。

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