- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334785055
感想・レビュー・書評
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全体として食文化を論ずるセンスが古いと感じました。昔(40〜50年前?)のエッセイなのでしょうがないのですが。今でも読むに耐えるのは、田中小実昌、川田順造、水上勉、といったところでしょうか。
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これはもう鉄板。名手が選んだ極上の書き手たち。垂涎。文章自体がおいしそうなんだよね。なんでこれまで読んでないんだ、これ。
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世界中の美味、酒を取り上げた名エッセイを池波正太郎氏が選び、一冊にまとめたもの。それぞれの著名人のコダワリの食文化論。巻末の大御所二人、開高健氏と阿川弘之氏の対談はとても面白く、勉強になる。
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池波正太郎氏のエッセイと思い、手にしたが、なんと著ではなく、編であった。池波氏の食にまつわるエッセイは好んで読んでいたが、裏返すと食に関するエッセイは池波氏ししか読んでいなかったので、多くの文人作家氏のエッセイに触れたことは大変興味深いことであった。いろいろと思い当たるが特にひとつあげるとすれば、水上勉氏の「梅干」だ。心に残る本文に加えて、ネタがネタだけに垂涎ものであった。
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文士料理に欠かせない要素が「時間」であるが、そんな味覚と時間が織り成すストーリーの最たるものが水上勉さんの「梅干」という随筆にあることに想い当たり、蔵書を調べたのです。
子供の頃から梅干作りに勤しんでいたという水上さんの梅干に対する想いの深さは半端ではない。子供の頃に禅宗寺にて修行の日々を送っていた水上さん。厳しい修行に耐えかねて逃げ出したと語っているのだが、修行の日々に漬けた梅干に特別な愛着を持っている。
テレビ番組の企画で禅宗寺時代の和尚さんの娘さんとの面会を果たしたことがあり、その時にもらった、53年ものという梅干を口にしたときのことを詳細に記している。残念ながら和尚の奥さんは亡くなっていて逢えなかったのだが、奥さんが嫁入りした年に漬けた梅干を、その娘さんが大切に保存し、その貴重な梅干樽の裾分けの中の一粒を、噛み締めつつ泣いていた。
一粒の梅干が生きた53年という時間は、水上さんという作家の人生とも永くまた実に深々とした交いを有していた。そんな食物の歴史を受け止め涙する作家が記しているのは、人生にとってもの食うことの特別な意義について語っているのだ。おいらもまた自身の人生と食と酒とのあれこれを、このブログで記していこうという思いを新たにしたのでありました。 -
う~ん、食べ物の本ってなんか鼻につくよね。あぁそりゃようござんしたねって感じで。嫌いじゃないけれど。
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背表紙を見て、てっきり池波正太郎による「酒」「肴」「旅」の随筆集かと思ったが、さにあらず。山口瞳、向田邦子、吉田健一……、日本と世界の食物(と当然お酒)をテーマにしたエッセイ、池波正太郎・編著。開高健と阿川弘之の対談収録。もとは新潮社1985年刊。今となってはなんとなく懐かしい風景や味の描写が多い。個人的には、丸谷才一による長崎の旅と味についての一編が、私の思い出とも重なって楽しかった。
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食欲魔神・池波正太郎先生が選んだ,向田邦子,山口瞳,吉田健一,吉行淳之介,壇一男などなど,
そうそうたるメンツによる食に関する名エッセイ集。
ほかにも,食べ物エッセイを好んで読むひとにとっては,
あ,またこのひとだ,という著者がズラリ。
「食」について語る(書く)センスについて,考えさせられる一冊。
ちなみに,マンボウ先生の「天国へのフルコース」が素晴らしい。