ピーター・バラカンのわが青春のサウンドトラック: Once Upon A Time In England... (光文社知恵の森文庫)
- 光文社 (2013年10月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334786342
感想・レビュー・書評
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ピーターバラカンさんが青春時代に聴いた楽曲の思い出話。レコードやラジオに正対して真剣に音楽を聴くなんて、今の時代には考えられないかもしれないけど、私の10代のころはまだそんな素敵な時代でした。古いロックンロールやブルースを聴きなおしてみたくなる1冊です。
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前から気になっていた本で、文庫化されたのを機に読んでみた。
「サウンドトラック」といっても映画音楽の話ではない。ピーター・バラカンが少年期・青春期をすごしたロンドンでの日々を、当時愛聴していた音楽の話を軸に振り返った自伝的エッセイである。青春を彩った音楽をサウンドトラックに見立てているわけだ。
バラカンは自分でも日本語のうまい文章が書ける人だが、本書は音楽ライターの若月眞人が取材・構成するスタイルをとっている。
バラカンが青春をすごした1960年代~70年代初頭のロンドンといえば、まさにロック黄金時代のロックの中心地。ゆえに、彼の青春を音楽からたどることは、そのままロック黄金期の息吹をヴィヴィッドに伝えることになる(ただし、ロックにかぎらず、ブラック・ミュージックやジャズなども取り上げている)。
12歳のときに生まれて初めてのコンサートでビートルズを観た感激や、デビュー直後のジミヘンのライヴを観た衝撃など、綴られる思い出の一つひとつがロック史の貴重な証言となっている。
しかも、キンクスのレイ・デイヴィスの当時の恋人が友人のお姉さんだったとか(後年、バラカンがレイにインタビューしたときにその話をしたら、彼女のことを覚えていなかったとかw)、フェアポート・コンベンションのドラムスが高校の先輩だったとか、バラカンが当時のロックシーンと直接のつながりをもっていたことも明かされる。
ロックファンの一人としてはまことにうらやましい、ゴージャスな少年期・青春期である。
バラカンの音楽の好みは、私とかなり違う。たとえば、彼はプログレは苦手だというし、イーグルスについてはファースト、セカンドは好きだったがサードの『オン・ザ・ボーダー』で興味を失ったという。私はプログレが好きだし、イーグルスは逆にサード以降が好きだ。
そうした好みの違いゆえ、取り上げられた名盤(本書は名盤ガイドとしても読める)の評価に首をかしげる点もある。それでも、評価の相違点についても「へえ、そんな見方もあるのか」と楽しめる本だ。
何より、音楽に対するあふれんばかりの愛情が全編に流れていて、読んでいてあたたかい気持ちになる(これはバラカンの著書に共通する特長)。 -
イギリス系は少し苦手なので、登場するレコードは知らないものが多かったけれど、バラカン氏の音楽の思い出そのものに共感できました。コンサートのチケットやパンフもきちんと保存していてすごいな。
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ラジオDJと独自の音楽見識を持つピーター氏のロンドン在住時の音楽遍歴をまとめたもの。少年から青年期にリアルタイムで触れた音楽の思いから氏の音楽ルーツが伺える。
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「ラジオのこちら側で」がピーター・バラカンの在日歴を語っているとすれば、こちらの本は日本に渡る前の音楽遍歴を語ったものといえる。偏屈な趣味といえなくもないが、なんか著者に引き摺られる部分も多い。とにかく好き嫌いがはっきりしている。彼の言葉ではないが、EL&Pを「電気の無駄遣い」と称したのは笑った。
イギリス人なだけに、米国音楽との区別がしっかりついているのも特徴。こちらにいるとどうもこんがらがってしまうのだけれど、きちんと線を引けているのはちょっと不思議。気になったアーティストがいるので探してみるつもり。 -
ラジオDJ、Peter Barakanがロンドンにいた頃に出会った音楽の記憶をまとめた音楽遍歴。彼の作品は、新書で出ている"ラジオのこちら側で"に続いて2冊目です。あちらはかなりマニアックな音楽を紹介している部分もあったのですが、本作は音楽好きなら誰もが知るミュージシャンが中心です。当時の音楽業界を俯瞰するのではなく、一人の音楽好きの少年の目を通して見ると、60年代のロンドンの若者たちの音楽に対するリアルな姿勢や考え方が分かって面白いですね。こういう土壌でああいう音楽たちが生まれてきたことがわかりました。
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ピーターバラカンさんのロンドンで過ごした青春時代にどんな音楽を聞いていたかを綴った作品。バラカンファンには興味深いがそれ以外の方にはどうでしょう。