蔵書の苦しみ (知恵の森文庫 t お 10-3)

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 137
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334787301

感想・レビュー・書評

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  • 本書の中で綴られている気持ち、特に本に囲まれている空間にいる時の至福の気持ちはよく分かる。また、どうあがいても、決して読めない分量の本があるにもかかわらず、買い込んでしまう気持ちも理解できる。買うという行為が楽しいのだ。

    岡崎氏の場合は仕事という大義名分があるが、自分にはない。その分家族との戦いはより厳しい。
    どうあがいても読みきれない量の本がある状況をなんとかしないと、近い将来、本を買うことは叶わなくなるだろう。

  • か100冊ビブリオバトル@オンライン第4ゲームで紹介された本です。オンライン開催。チャンプ本。
    2020.08.22〜23

  • 草書家たちの数々の失敗エピソード。そうどちらかというとマイナー志向な自虐性がつきまとう蔵書について、しっかりとといってもくどくない程度に自虐的にまとめられていて、膝を打ちっぱなしで内出血を起こすのではないかと思うほど。蔵書家の気持ちをよく表している一冊。

  • 面白かったです。最初は他人事で笑っていたのですが、途中、自分が『本を溜め込むのにほとんど適さない』環境で暮らしていることを知り、大切な本たちとの健全なつき方を考えさせられました。

  • 所有しているのは、光文社新書版だが、
    amazonのデータには、知恵の森文庫版しかないため、
    仕方なく、知恵の森文庫版で登録

  • 17/12/15。

  • 本好きの収集家の苦悩を描いた作品。

    本書では理想の蔵書数は500冊としている。

    安易に電子書籍に逃げるのでなく、強い心で蔵書を断捨離していくスタイルに好感が持てる。

    前半では蔵書を持ちすぎるリスクとして、床をぶち抜いた老人の話や、蔵書が空襲で燃えた永井荷風、植草甚一の話なども出ていて面白い。

    本書では、蔵書の処分として、一人古本市の開催を推奨している。

    もし、蔵書が1000冊以上あるような方は本書を読むと参考になると思う。

  • ・岡崎武志「蔵書の苦しみ」(光文社知恵の森文庫)は 逆説的な書名であらう。蔵書が多いと大変だ、苦しいなどと何度も書いてゐるが、それでもやはり本当に蔵書で苦しんでなどゐないと私には思はれる。蔵書家といふのはさういふ者である。さういふ人種である。書物が、本がたくさんあることが楽しい、嬉しいのである。読むのだが、読む速さ以上に買つてしまふ。読むに追いつく蔵書家なし。何しろ毎日10冊は買ふほどだといふ。尋常ではない。私には想像できない行為である。読める以上の本を買つてどうするのだと思ふ。それらが必ずしも読む必要のない辞書や資料、史料の類ならともかく、小説やエッセイは読まないでどうする。当然、岡崎氏も初めはさうであつたのであらう。そこからどこでどう道を踏み外したか、読むより買ふ方が多くなつてしまつたのである。いや、岡崎氏はすべて読んでゐるのかもしれない。文庫でも異本はすべて買ふなどとあつた。新版、他社からの再版はもちろん、カバー違ひ等々、中身は同じでも買ふのであるらしい。コレクターである。 集める人である。読むのが目的ではない。かうなれば本は増える。さうしてそれに苦しむといふのである。かくいふ私は、かういふ人に比べたら中途半端も甚だしい。足元にも及ばな い。この人は一度に2000冊ほどを処分するといふ。それでも減つた実感なしであつたといふ。私がそれだけ処分したら……書架はガラガラ、さぞすつきりすることであらう。私はコレクターではないから、特定作家や特定分野を徹底して集めることをしない。好きなジャンルは多くある。それだけである。コレクショ ンとは言へない。もともと辞書や資料的な本以外は、読めるだけ買つて、それを読み終はつたらまた買ふといふことを繰り返してきた。だから一カ月近く買はないこともある。増えてもたかが知れてゐる……さうして現在に至る。現状は、本当に読まない、手元に置く必要のない本は処分しようと考 へて、少しづつ処分し始めたところである。「蔵書の苦しみ」の心境に至る前に処分開始である、たぶん。この点に関して、私の心は平穏である。
    ・本書は文庫化による増補分を含めて全15話からなる。それぞれの最後に「教訓」がつく。納得できるものが多い。第一の教訓「本は想像以上に重い。二階に置き過ぎると床をぶち抜くことがあるのでご用心。」(24頁)二階にといふ点は私には分からないが、本が重いのは知つてゐる。段ボー ル箱に入れて運ぶだけでさう思ふ。まして、足の踏み場もないほどに二階に本を置けば床も抜けよう。図書館等はそれなりに補強してあるのである。第二の教訓 「自分のその時点での鮮度を失った本は、一度手放すべし。」(37頁)私はそれほどの蔵書家ではないから買つた本は、一応、とつてある。何となく置いてあるだけといふ感じである。だから、この教訓に納得はしないまでもなるほどと思ふ。極端な言ひ方をすれば、さういふ本はもはや無用の長物、手元に置く必要はないのである。置く場所がなければさうせざるを得まい。さうして第十の教訓「三度、四度と読み返せる本を一冊でも多く持っている人が真の読書家。」 (189頁)さう、確かにかういふことなのであらう。ならば私にそんな本が何冊あるか。私は小説の類は読み返すことをほとんどしない。読みつぱなしばかり、誠に心許ない限りである。 その意味では、これは身につまされる教訓である。その他にも役立ちさうな教訓はある。だからおもしろく読んだ。「蔵書の苦しみ」を訴へることもまた楽しみのうち、書名は、言はば売るためのコピーとしてかうなつてゐるだけ、だから私も見習はう……とは思はない。

  • 文庫化に伴い再々読。「その後」のおまけ付き。

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著者プロフィール

岡崎 武志(おかざき・たけし):1957年大阪府生まれ。立命館大学卒業後、高校の国語講師を経て上京。出版社勤務の後、フリーライターとなる。書評を中心に各紙誌に執筆。「文庫王」「均一小僧」「神保町ライター」などの異名でも知られる。『女子の古本屋』『古本で見る昭和の生活』(筑摩書房)、『これからはソファーに寝ころんで』(春陽堂書店)、『人と会う力』(新講社)、『読書の腕前』『蔵書の苦しみ』 (光文社)、『古本道入門』(中公文庫)、『憧れの住む東京へ』(本の雑誌社)など多数。

「2024年 『古本大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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