能面検事 (光文社文庫)

  • 光文社 (2020年12月9日発売)
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本 ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784334791230

感想・レビュー・書評

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  • 孤高(ここう):集団に属さず身の考えや信念を貫き、ただ一人でその道を突き進む態度や行動。

    まさにそんな感じ!
    検事って、一人一人が、独立機関みたいな感じやから、それはそれで良いのかも?
    純粋に法の執行という業務に関していえば。でも、他人に認められたい!出世したいとかってなれば、おのずと他の人を意識して行動してしまう…まぁ、これが普通に生きてきている人の感覚かもしれん。

    「悪徳を憎まない警察官は多分いないでしょう。しかし人間は群れを作った瞬間、組織の論理に縛られます。結束の固い組織の中にいれば、仲間を護ることが自分を護ることに直結します。そしてお互いの顔色を窺おうとするあまり、本当に護るべき人たちの顔がみえなくなってくる。」

    今の警察組織が、そんな感じなんかな?
    多分、検察もそうなんやろうけど、彼は一人きり。
    過去の贖罪を背負って、これからも孤高を保って進んでいくんやろな。
    かなりキツい事やけど、何とか頑張って欲しいところ!
    ずっと気になってた作品!
    一気読みでした(^-^)v

  • 能面検事 シリーズ1

    大阪地検一級検事・不破俊太郎は、相手が誰であっても、どんな状況であっても、どんな圧力にも屈せず、微塵も表情を変えないことから、陰で『能面検事』と呼ばれている。
    そんな彼にも、人並みに、表情を変えていた時代があった。
    しかし、その表情を、犯人に読まれて、悲しい事件が起きた過去を持っていた。

    新米事務官・総領美晴と、西成ストーカー殺人事件の調べを進めるなかで、捜査資料が一部無くなっていることに気づいた。

    シリーズ2の方から読んで、どうして、能面検事になったのかを知りたかったので、シリーズ1に戻った。

  • どんな場面でも感情が顔に出ない。表情が変わらない。→能面検事!
    主人公、不破はどんな場面も無表情だから何を考えているかわからないとまた、強烈なキャラを考えましたね。
    内容は法廷が舞台と思いきや、そんな単純ではなく警察の組織にメスを入れるとキャラも内容も最高でした。

    本文で組織の倫理に縛られ本来護るべき事より組織を護る事を優先するという考えになるって、これ今の日本社会そのものですよね。それに屈しない不破はある意味、理想の姿です。
    そんな彼が最後に感情が出る場面も素晴らしい。

    次作以降も彼の活躍を期待したいですね。
    現実では周りにいてほしくないキャラですが。





  • 中山七里さんの作品は、数年前に読んだ「さよならドビュッシー」以来。暫く読書から遠ざかってる間にすごい数の作品が出ていて、どれを読もうか…と迷っていたところ内容に惹かれて本作品を手に取りました。テンポがよく読みやすかったです。シリーズもののようなので続けて読んでみようと思います^^

  • 面白かった
    能面と言われ、圧力に屈せず、顔色かえず、空気も読まず、忖度せず、感情を表さず、ひたすら検事という業務を全うする不破と、新人事務官の美春が事件の真相を明らかにしていく物語。
    短編連作かと思いきや、しっかりとした長編の物語でした。

    ストーリとしては、
    二人が担当するストーカー殺人事件を調べていくと、容疑者にはアリバイが。結果、不起訴となるわけですが、さらに、捜査資料の一部が紛失していることに気が付きます。
    ずさんな資料管理。そして、大阪府警を揺るがす一大スキャンダルに!
    しかし、不破の目的はそんなスキャンダルを暴くことではなく...
    そんな不破が撃たれてしまいます。
    誰が、何の目的で...
    そして、明らかになる事件の真相!
    といった展開です。

    不破検事。間違っちゃいないけど、こういう部下がいたら嫌だな。また、こんな上司がいても嫌だな(笑)
    こういう人がいると周りが振り回されるんですよね。

    しかしながら、キャラが立っていて面白かったです。
    お勧め!

  • 能面検事と噂される不破検事に付いた新人事務官の美春、会って最初の言葉は「君のような事務官は要らん。出て行きたまえ」
    全く感情の動きを顔に出さない検事と、ちょっとした感情まで顔に出る事務官が事件の対応に当たる。犯人や内部の人にまで感情の無いロボットのような対応をする検事に息苦しさを感じる反面、何でも感情をぶつける事務官に、それは言い過ぎでは、と思ってしまう。組織の事は無視して理詰めで組織や犯人を追い詰めていく。四面楚歌となる中で一部の手助けもあり、警察が解明出来なかった事件を自身で解決に導く。超人的解決力に感心する。

  • 中山七里さんの作品は主人公のキャラクターに特異性がある。今回のシリーズは能面と言われている大阪地検一級検事の不破俊太郎がそれだ。そして能面は検事には最適かもしれない。

    嘘をつくときの理由は3つ。疾患で何の動機もなく嘘をついてしまう場合、自分を守るための場合、他人を守るための場合。大きく分けるとこの3つになるというのは理解できるが、人の心理は複雑だ。

    嘘をつく事は何も政治家だけでないが、利権に絡むことがほとんどではないだろうか?ある意味自分を守るのかもしれないが、自分の金銭を増やす事に目が向いてしまう。
    孤高だからこそ組織に対する批判や不審が強調されている。それも読者を惹きつける要素のひとつだろう。

    ある事件から始まるが、中盤から大きなスキャンダルが絡んでくる。同時にページを捲るスピードが上がる。不破検事の信念を貫く強靭な意志が心地良いと感じさせられる作品だった。

  • 淡々と読めます。最初短編集かと思いましたがやっぱり。

  • 能面検事
    著者:中山七里

    ---

    **内容説明:**
    大阪地検一級検事の不破俊太郎は、どんな圧力にも屈せず、表情を変えないことから「能面」と陰で呼ばれている。新米事務官の惣領美晴とともに、西成のストーカー殺人事件の調べを進めるが、容疑者のアリバイが証明され、捜査資料が一部紛失していることに気づく。これが大阪府警を揺るがす大スキャンダルに発展していく。検察ミステリーとして、一気読み必至の展開が待ち受ける。

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    **感想:**
    検察ミステリという珍しいジャンルに興味を持って読み始めましたが、期待を裏切らない面白さでした。中山七里さんの作品はキャラクターが魅力的で、本作の「能面検事」不破俊太郎もその例外ではありません。彼の無表情で一貫したスタイルが事件解決にどのように影響を与えるのかが見どころです。また、新米事務官の惣領美晴とのやり取りがスリリングかつユーモラスで、今後のコンビとしての成長にも期待が膨らみます。シリーズ化されているとのことで、続編も楽しみです。

  • 過去の失敗により表情を表に出すことなく淡々と進める検事。

    中山七里さんの作品は好きなのだが回りくどい言い回しに途中読むのが億劫になってしまった。

    それでもスッキリと仕事をこなす能面検事に読後感もまずまず。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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