本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784334910204
感想・レビュー・書評
-
この本を読んでまるで普段は気がつかない、あるいは知らない振りをしている心の闇にぱっくりと飲み込まれてしまったような気分にさせられた。
最初から嫌な予感はしていた。冒頭の主人公が海に溺れそうになるシーンの描写が嫌に長い。続く章にはさほど関連性が見いだされないのに。
非のうちどころのない年下の妻と愛おしい小さな娘。あれほど嫌悪していた子供の写真入りの年賀状だったのに娘が産まれた途端にあっさりと宗旨替えするほどに、一気に親になった主人公。
破綻は妻の抱える秘密に気づいてしまった事により始まった。
花村萬月の作品を読むのは実は初めて。
フィクションとノンフィクションの境目が分からないようにする手法が独特なのだろうか。
惹きつけられたのも確かだがやや説明がくどい。
私はちょっと苦手な感じ。
それより何より結末が辛すぎた。
あまり書いてしまうとネタバレになるのでやめておくが、一人の男として父として揺れ動く気持ちがこうやって小説になって描かれると現実味がない。
もちろん子を持つ親として理解できる部分は多いにある。
でもね、やっぱりこんな地獄は見たくなかった。
問題提起と言う意味では成功していると思う。何しろタイトルが秀逸。
主人公と一緒に地獄を覗いてみたかったら読む価値あり。 -
タイトルについつい目が離せず…これは誰が言っているのかな⁇と気になり手に取った本。
小説家である愛葉條司が、58歳で子どもを持ちその娘の成長の記録。
だが前半部分の沖縄での様子がかなり丁寧に描かれていたのには、理由があったことにラストで気づく。
子を持つべき人はこういう親であるべきだという見本などどこにもない。
子どもの性格もそれぞれだから育てやすいだの手がかかるだの言うこと自体がちょっと違うのではと思う。
子どもを育てながら親も育てられているのだと気づいていない。
そうだろう…。かつては自分もそうだった。
実際そんな余裕もないくらいなのだから。
子どもが大きくなってから気づくのである。
だがこの夫婦は、気づく前に闇に呑まれてしまった。
妻のしたことは、後々も深い心の傷となるのだろうか…と思いながら向かった沖縄。
衝撃的な結末にことばを失う。 -
歳を経て一人娘を授かった無頼の小説家が、娘を育てていく際に起こる出来事を描いた小説。冒頭から彼岸の香りがします。
優れた表現というものは、ときにその受け手に対してそれに表現された感情、情況などを追体験させるような働きを持ち、その疑似体験は受け手が置かれている立場がその表現に近いほど強く響くものとなります。
息子と娘の違いこそあれ、自分自身も昨年末に子を成した身であり、そのためこの小説は恐いほど自分の心を揺さぶるものとなりました。
読んでて本気で目の前がぐにゃんとぶれた。
子供を育てること、及びその中で生まれる、仏教用語でいうところの愛別離苦を筆頭とした四苦八苦に関して、文体まで歪むように内面に食い込んで書き述べた身の縮むような物語でありました。
心の機微や巻き起こる事件が、まさに作中で登場人物が述べているような「流されていく」状態となっており、流される恐ろしさを強く感じてしまった次第であります。
実際自分も子供を相手してると、なんだか流されるまま時間が過ぎていっているような感覚になるときがあるんですよ……
あと、俺は泳げないから深い海なんて行くのは止めておこうと心に強く誓ったよ。 -
日本人の平均(当時)年齢で結婚して2人の子供授かって、日本人にありがちなワーカーホリックで「子育てはワンオペ!」と言い切る妻。けど、精一杯の愛情は注いだはず…
なんとなくエンディングは想像できたけどそれが丸く収める事だとは思うけど(T_T) -
タイトルに惹かれて初めての花村萬月。
「主人公である五十八歳の小説家が綴る家族の物語」という形だったから、このくどい文章が主人公に合わせての表現なのか、花村萬月本来のものなのか初読みの私にはわからず。
やたら難しい言葉を使ってまわりくどくなった文章でもなんとか読み進められる、家族の闇。ラストの地獄。どこまでがノンフィクションで、どこから虚構を混ぜてあるのかわからないところがすごい。 -
読んでいて「臣女」とダブった。
-
五十八歳にして初めて子を得た小説家・愛葉條司。「家族クソ食らえ」の條司だが、子育ての喜びを知り、のめり込む。娘・愛の無邪気な言動、良き母であり心身とも相性の良い妻・志帆との会話、幸福な日々に次第に丸くなる自らの内面等、克明に記録する條司。しかし、彼は、家族の「闇」には気づいていない。それは、愛が三歳になる直前のこと―。心の闇。心ふるえる結末。究極の関係「親と子」が生み出す衝撃のストーリー。
しんどかった…………。一人称で娘を溺愛する様子は微笑ましくもあるんだけどどうにも危なっかしくて、時々ぱっくり狂気の口が開いているようだった。初花村さんだったけれど、お仕事小説のような私小説のようのパートもねっとり濃くて読むのにパワーが必要だったなあ。 -
独特の物語というか描写というか、どこまでがフィクションでどこまでがノンフィクションかわからないまま読んでいた。
どちらかというと、苦手で、難しい本ではあったけれど、最後の結末が衝撃すぎて、ある意味すごい。 -
主人公の描写がくどいので、途中から流し読み。
-
なんという地獄。
伏線なげーーー。 -
不思議~。
エッセイ?小説?
と首をかしげながら読んだ。
ベテラン作家さんだから
流石に表現力が素晴らしく
愛ちゃんとの車中泊の旅あたりは
ウキウキして読んだのだが
ラストのどんでん返しには驚愕!
一瞬首をひねったものの
主人公の気持ちが分からんでもないのか?
いや、分からん!私が母親だから? -
どこまでが現実でどこからが虚構なのか?あまりにリアルなディティールに戸惑いながら読み進み、「そこ」でうわーっと鳥肌が立ちました。いまのはなんだ?地獄かな。
-
花村萬月がこんな温かい父娘小説を描くなんて…父も娘もいじらしくていいねいいね…なんて思いながら読んでいたら思わぬ落とし穴が。
それでもけなげに毎日を過ごす二人を親戚のように温かく見守っていたのに!いたのに!いたのに!
「嫌だ!やめて!やめて!やめて!」と繰り返しながらページをめくる。まさか。まさかそんなことって…
最後のページを読み終えてしばらく茫然自失放心状態でした。
どこまでいっても男と女にしかなれない人もいるのだ。親としての愛よりも、男の、そして女としての愛を選ぶ人も、いるのだなぁ。
最後の愛の笑顔がずっと胸に刺さっています。
彼女の人生ってなんだったんでしょう。
どこで間違えてしまったのでしょう。
誰も彼もが自分にとって一番大切な人を愛している。
でも、誰も彼もが、不幸にしかなれなかった。
哀しすぎました。
著者プロフィール
花村萬月の作品
本棚登録 :
感想 :

妻の抱える秘密…気になるけど、後味が悪いのはなぁ…。
そうだ、いつかバイオリズムのいい時...
妻の抱える秘密…気になるけど、後味が悪いのはなぁ…。
そうだ、いつかバイオリズムのいい時に読むことにします(^^#)
コメントありがとうございます(^o^)
後味は悪いんですが、作者の小説家としての気概を感じさせるい...
コメントありがとうございます(^o^)
後味は悪いんですが、作者の小説家としての気概を感じさせるいい作品だと思います。
後から思えばこの結末以外考えられないというか。
作品としては完成度が高いと思います。
前に読んだこの方の作品は男臭いバイオレンス的な感じで、
それなりに面白かったんですが、なぜかあれから手が伸びずにいまし...
前に読んだこの方の作品は男臭いバイオレンス的な感じで、
それなりに面白かったんですが、なぜかあれから手が伸びずにいました。
vilureefさんのお勧めなら、ぜひ読んでみます。
レビュー有難うございましたm(_ _)m