ごんたくれ

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910211

感想・レビュー・書評

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  • 兎に角、不思議に興味が惹かれながら読みました。初めての体験てな感じです。読みながらタイムスリップさせて貰ったのでしょう。

  • すごいなぁ。実在する絵画を文章で表現するってなんて勇気なんだろ。まずそこに感動した。
    若冲、大雅、蕪村、応挙…芸術にも歴史にも疎い自分が果たして興味を持てるのか心許なかったが、読み終えた時には作品を直に観てみたいという欲求までわいていた。画師たちそれぞれの弱さ、醜くさ、危うさもしっかり伝わってきて、それら全てが絡み合い生まれた絵なのだろうと、感情移入させつつ読み進めることが出来た。
    西條奈加さんを、またワンランク好きになれた一冊でした。

  • うまい!

  • 「奇想の画家」と評された江戸中期の絵師・長沢芦雪(吉村胡雪)と曾我蕭白(深山箏白)をモデルにした物語。

    円山応挙の弟子と応挙を嫌う絵師、という相対する立場で出逢った二人。
    事物の姿形に忠実な写生画を描く応挙とは対照的に、二人の絵は共に躍動感に満ちていて、時に奇抜なアイデアで見る者を楽しませ、また時には禍々しい情念を纏う。
    特に胡雪の絵は今にも動き出しそうな程生き生きとしていて何とも言えない愛嬌があり、観る者を和ませてくれる作風が魅力的。
    しかしそんな胡雪は偉大な師匠の名に縛られ悩み苦しむ…。

    「ごんたくれ(ひねくれ者)」の二人は互いに実力を認め合いながらも顔を合わせると口喧嘩ばかり。
    けれど誰にも言えない本音をぶつけられる唯一の相手でもある。
    そんな二人の関係がとても羨ましい。
    己の納得する絵を描きたい、と常に悩み波乱に満ちた人生ではあったけれど、好きなことに打ち込む二人の姿に心打たれた。
    長年の柵から解き放たれた姿は実に清々しい。

  • 吉村胡雪と深山箏白。二人の絵師の生き様を描いた話。
    “ごんたくれ”と呼ばれ、双方共にかなり厄介な性格の為、会えば喧嘩ばかりしているのですが、お互いの才能を認め合っているのが良いです。
    終盤で、箏白が円山一門に乗り込み、胡雪の“絵師としての“死因の元になった出来事の件で詰め寄る場面があるのですが、箏白の胡雪への思いが伝わってきて、グッときました。

  • こういう関係は、いいなあ。
    お互いを意識し、認め高め合い、反発しながらも労り合うこともできる。
    時間を経ても、状況が変わっても、常に同じように相対することができる相手など、普通はできない。
    二人を媒介するものは、絵と孤独な境遇がもたらしたごんたくれの精神。
    共有するものがあるというのは、何よりも強いのだな。

    組織に属することと異端であることのせめぎ合い。
    職人であり表現者でもあるという絵師の矛盾。
    この時代の絵師の世界は、広がりがあって、想像の幅があって刺激的。
    こんな風に彼らが生きていたのかもしれないと思うだけで楽しい。

    話しとしては面白かった。

  • 2015.9.13.読了。思いもかけず、蘇我蕭白、長沢芦雪の二人の実在の画家をモデルにした作品だった。よく知らない画家さんだったが、また、展覧会に行ける世界が広がり面白かった。

  • 丸山応挙の愛弟子である吉村胡雪と、そのライバルの深山箏白、二人の「ごんたくれ」の物語。歴史上の人物なので、行く末はおそらく史実に沿っているのでしょうが、なかなかに哀しい結末でしたが、とちゅうのいろいろな絵はとても魅力的で、実際の絵が見たくなってきたので、調べてみました。
    丸山応挙
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%86%E5%B1%B1%E5%BF%9C%E6%8C%99
    吉村胡雪(彦太郎)(モデルは長沢芦雪?)
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E6%B2%A2%E8%8A%A6%E9%9B%AA
    深山箏白(モデルは曾我簫白?)
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9B%BE%E6%88%91%E8%95%AD%E7%99%BD
    源き
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BA%90%E3%81%8D
    池大雅
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%A0%E5%A4%A7%E9%9B%85
    月渓(呉春)
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%89%E6%98%A5
    伊藤若冲https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%97%A4%E8%8B%A5%E5%86%B2

  • 途中で読むのをやめてしまった。
    図書館に返さないといけなかったから。
    内容的にも入っていけなかった。

  • 江戸時代の二人の絵師、吉村胡雪(実在のモデルは長沢芦雪)と深山箏白(蘇我蕭白)を描いた作品。
    組織の中で自らの異端性を封じ込めようとする胡雪と、一匹狼として異端に徹しようともがく箏白。顔を合わせれば罵り合うような二人ですが、底辺にはお互いに対する敬意があり、そういった関係性が読んでいて心地良く。
    いろんな人が書いてますが、私もネットで絵を探しながら読んでいました。ぜひ実物を見てみたい、そんな気にさせる一冊です。

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著者プロフィール

1964年北海道生まれ。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞、15年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞、21年『心淋し川』で第164回直木賞を受賞。著書に『九十九藤』『ごんたくれ』『猫の傀儡』『銀杏手ならい』『無暁の鈴』『曲亭の家』『秋葉原先留交番ゆうれい付き』『隠居すごろく』など多数。

「2023年 『隠居おてだま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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