奇縁七景

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 142
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910341

感想・レビュー・書評

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  • 2018.10.15読了

  • 聞き覚えのある七つの「ことば」から
    生まれた物語。
    「虫が好かない」「目に入れても」
    「報いの一矢」「夜の鶴」
    「只より高いもの」「黒い瞳の内」
    「岡目八目」の七編収録。

    元々、乾ルカさんが好きだったのと
    帯の「そのまんまじゃないか!」に
    惹かれて読んでみました。
    後味の良いものから悪いもの
    ホラーテイストまで色んな読み味の詰まった
    乾さんらしい短編集。
    前半と後半でだいぶん受ける印象が
    違うのではないでしょうか。

    最初の「虫が好かない」はインパクトが
    強すぎて貧血になりそうでした…
    (虫が苦手なので)
    好きだったのは「黒い瞳の内」。
    瞳の中の男性の正体は察しがつきましたが
    綺麗で優しい話です。
    最後の「岡目八目」では全話の登場人物が
    チラッと登場しています。

  • 7つの奇妙なお話し。表紙のイラストが綺麗だったので手に取ってみたけれど、一番最初の「虫が好かない」がトラウマ級に無理でした。もう読むのやめようか…と思ったのですが、こちらのレビュー・感想でみなさん後半に行けば良い話があるとのことでしたのでぐっとこらえて読み進めて行きましたところ、「夜の鶴」あたりからいいお話ばかりで、最後の「岡目八目」では最後の一言にじーんと感動がこみ上げてきました。良いクライマックスでした。終り寄ければすべて良し、ですね。それと各話に登場した人達が最後にチョイ役で出てくるところも良かったです。
    まさにピンからキリまで。目を背けたくなるようなものから目が離せなくなる話しまで、この1冊に詰まっているんです。とことん醜悪にもなれるし限りなく美しくもなれる両極端の可能性を持つ人間という存在、その人間が作る社会がこの本の中に集約されている…
    と言っていいのかも知れませんね?

  • 誰からも認められているのに正社員の打診を断る理由とは?特定の犬だけを無料でトリミングするペットショップ・・・不可思議な短編集。

    理不尽。まず頭に浮かんだのがこの言葉だった。特に占い師に人生を狂わされた『報いの一矢』は、正義を振りかざせば何をしてもいいという現代の風潮の悪い面をまざまざと見せつけられているようで腹が立ったくらい。
    そしてラストの『岡目八目』では、これまでの登場人物がちらりと顔を出している。虫の女の子は取り敢えず普通に生活しているようでホッとしたが、やはり占いの一家は残念なまま・・・。犬の話からは誰か出てたのかわからなかった。

  • 最初の2篇は心底胸糞悪い。ここまで読んでやめようかと思ったが、後半はまあまあな読後感。
    最後2篇が、乙女チックな自分には好みの物語であった。
    全体的にハッピー感はないが、サラッと読むには良い。
    …最初の2篇を除いて。

  • 一つ目の話を読んで、グロ猟奇系の覚悟と期待を持ったら拍子抜け。後ろに行くほどマイルド。反対に言えば「虫が好かない」が虫が好かないからとギブアップするのは勿体無い。表紙は黒い瞳の彼女?

    ○虫が好かない(☆5)
    初っ端から凄い作品でしたね。グロテスクです。虫関係、嘔吐描写注意。この本で唯一の中学生主人公の話。野菜嫌いで偏食の3人は、好き嫌いの矯正プログラムで、無農薬自然主義で農作物を作る老媼の屋敷にステイし、農作業から調理までを体験、野菜本来の美味しさを味わう…はずが…。これは好き嫌い矯正には最悪ですわ。しかし野ざらしで虫がつくのは当たり前。田舎の曲がりくねったキュウリ、ひびの割れたトマト、虫食いのイモが目に浮かぶ。まあでも、つく虫は大抵害虫だから駆除しないといけないイメージが強い。懐かしい、虫は色々いるのよね。ナスにアブラムシ、ニジュウヤホシテントウ、キャベツに青虫。ニンジンは、考えたくないが。見たことのない人も多かろう。初めて見た日には絶叫するかも。勿論プロの農家はよく管理しているから虫だらけってことはあり得ませんが。話ではもがいても逃げられず追い詰められていく様子がよかった。

    ○目に入れても(☆3)
    娘の子育ての手伝いに夢中になっていく女性。同居の夫と息子との家族関係が崩れていく。嘔吐描写注意(あまり必要性はない)。「お母さんがいなくても困らないから」という言葉。言われたとして、これは嬉しいのか悲しいのかどうなのだろう。

    ○報いの一矢(☆3)
    彼女もいて就職の内定も手にし、順調の大学生。しかし彼は生中継で占い師を喝破、否定的発言をしたために社会に敵を作り、不幸の谷に転げ落ちていく――。群集心理の怖さを見た。ここまで極端ではないが、同調を強いられるシチュエーション、批判がしにくい空気はよくあるのではないだろうか。占い師にしろ芸能人にしろスポーツ選手にしろ映画作品にしろ、猫も杓子も持ち上げて熱狂していれば洗脳に近い。

    ○夜の鶴(☆3)
    身一つで家を出てホテルのアルバイトに専心してきた男性。ストーリーは焼け野の雉夜の鶴そのもの。

    ○只より高いもの(☆4)
    みずきはトイプードルのモコモコを飼っている。散歩で知り合った女性の飼うノエルは同犬種だが血統がよく、ペット店で無料特別サービスを受けているらしい。裏にある事情とは。みずきのような推察はできなかった。嫉妬に狂ってしまう話かと思った。

    ○黒い瞳のうち(☆5)
    幸せな夫婦で何より。涙が出る。瞳の中にその人がいるという発想がいい。中の彼の正体は察しがつくが、きれいにまとまっている(上から目線評価ではないが)。伴侶より先に逝きたいか、後に逝きたいか、人によって色々だろう。私は断然後がいいと思っていたが、こうしてみると、先に逝くのも幸せだと思えてきた。

    ○岡目八目(☆2)
    一冊のまとめ。葬式を俯瞰する視点が珍しい。お墓に骨、の謎はそんなことあるか、という感じ。フィクションなのだろうけど。

  • 野菜嫌いを克服する合宿で、
    虫入り料理を作る老婆と
    何もかもを食い散らす虫が、唯一食べなかったもの。

    自分がいなければ生活できないと思っていた家族の意外性と、孫のためだと全てを投げ捨てた女性の孤独。

    占いを否定してから転落していった人生。
    優秀なバイトの社員昇格で、知ることとなった彼と彼の父親の人生。

    同じペットショップで買ったトイプードルが、血統書で待遇が違った本当の理由。

    妻の瞳のなかにずっといた男の正体が、自分だと気付いたのは、妻が死ぬ間際だった。
    死者の目線から、お通夜で語られる骨の真相。

    最初の虫の話からインパクト強すぎた。
    全部ぎょっとする話かと思いきや、じーんやらほっこりもあって、
    盛りだくさん。

  • 【収録作品】虫が好かない/目に入れても/報いの一矢/夜の鶴/只より高いもの/黒い瞳の内/岡目八目 
     どこかしらリンクしている七つの話。気持ちの悪い話、ありがちな話、奇妙な話、温かい話など、いろいろで面白い。ありふれたホラーより、よほどぞっとする現実を見せてくれるものも。

  • よくある、胸くそ悪くなる話でつづられた短編集

  • 一話ごとに読み終わった瞬間、
    読み手に「そのあとの話」が委ねられる
    そこが、なんとも楽しいと
    感じるか、感じないか
    そこがポイントであるような気がする

    最後まで書き切らないからこそ
    拡がる物語の短編集である

    読み手の想像力を心地よく刺激してくれる一冊でした

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著者プロフィール

1970年北海道札幌市生まれ。2006年、「夏光」で第86回オール讀物新人賞を受賞。2010年には『あの日にかえりたい』で第143回直木賞候補となる。他の著書に『花が咲くとき』『メグル』『願いながら、祈りながら』『向かい風で飛べ!』など多数。

「2017年 『青い花は未来で眠る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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