世界が赫(あか)に染まる日に

著者 :
  • 光文社
3.38
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本棚登録 : 205
レビュー : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910747

感想・レビュー・書評

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  • ぜんぶ済んだら、どうせ死ぬんだ。
    ーその前に一匹でも多くの害虫を退治しようぜ…。

    中学3年生の緒方櫂は、兄弟の様に育ったひとつ年下の従弟・土橋祥太が、
    虐めで恐喝と暴行により、昏睡状態になっていた。
    祥太の一つ下の妹・涼奈も女の子にとって一番嫌で辛い事をされていた。
    少年法で守られた加害者は、8週間で戻って来た。
    犯人達が許せなかった。
    やつら全員同じ目に遭わせてから、人生も将来も全部ぶち壊してやりたいと思っていた。
    そんなある日、夜の公園で首つりの脳内予行演習をしていた、
    話をした事のないクラスメイトの高橋文稀と会う。
    櫂は文稀に、自殺する15歳の誕生日の11月までの5ヶ月奴らに復讐をするのを
    手伝って欲しいと頼み、文稀はそれを承諾する。
    ぶっつけ本番で上手くいくわけがないと、インターネットで闇討ちされても仕方がない
    少年法で守られて、のうのうと生きてるいる加害者達を探し出し、
    彼女や彼らに制裁を繰り返していく…。

    途中で祥太が昏睡状態を脱して意識を取り戻したとき、
    櫂は、何をすることが一番祥太のためになるのか、迷い始める。
    目の前にいる祥太に手を貸す事と、自分の怒りをやつらにぶつける事と
    一体どちらを優先させるべきなのか…。
    櫂が、復讐を思いとどまった時本当に良かったって思った。
    文中に文稀の日記が時々登場するのですが、日記の内容と実際に行われた事の違い。
    最後に、あぁそうだったんだねって胸がギュッとしました。
    文稀の余りにも辛い家庭環境は、とても可哀相で切なかった。
    櫂と文稀違った風に友情を結べたら良かったのになぁ。

    復讐は、憎しみの連鎖しか生まないって頭では理解してます。
    しかし、人間の尊厳を奪うほどの暴力で人を傷付けたり命すら奪い、
    しかも、何の反省を抱く事もなく変わらず酷いいじめを続けていたり、
    自堕落な生活を続けているものに対してはどうなのだろう…。
    大切な大切なものが傷付けられたら…復讐したいって思うのかもしれない…。
    復讐では誰も救われないのもわかりますが、果たして何が正義なのか…。
    社会正義の名のもとに行われる暴力は、果たして許されるのか…?

  • 目を逸らしたいのに、目を逸らしてはいけないと思って、読み続けました。
    面白いと言ったらいけない気がしますが、引き込まれて一気読みでした。
    壮絶ないじめの復讐をするために、いじめで従兄弟を傷つけられた櫂と、15歳で死のうと決めていた文稀が、予行練習として彼らに無関係ないじめ加害者を襲っていくのですが、この加害者のいじめ描写がすごく胸糞悪くて震えました。でもこれは現実にあるんだろうなと、連日ニュースなどでいじめ事件を見ていたことを思い出しました。
    いじめをする人って、想像力が無いよなと思っているのですが、この小説でも、彼らは自分が同じ事をされるとは思ったことがない、みたいな表現が出てきて、そうだと思いました。ごめんなさい、と言ったのを聞き入れなかったのに、自分はごめんなさいで許して貰おうなんて、虫がいいです。
    途中で登場人物が言う、「神様って、いねえんだな」という言葉が印象的でした。
    そして文稀が辿り着いた結末で、タイトルの意味が分かって…文稀が目覚めたほうがいいのか、このままのほうがいいのか。答えはみつかりません。
    櫂と文稀が、犯行を重ねていく間に過ごした時間でだんだんと心が通っていって、読んでいて更に辛くなりました。こんな出来事ではなく、ふたりが出会えたらよかったのにと思わずにはいられません。

  • 厨二病にするには中学生にしないとだけど、
    ちょっと無理が…
    話を作るための設定がな〜。
    設定のための設定てどうにかならないかな〜

  • 45点

    中学3年生の緒方櫂は、従兄妹の未来を奪った加害者に復讐を誓った。自分の左目は見た者を石にする“邪眼”だと称する高橋文稀は、15歳の誕生日に自殺する計画を立てた。夜の公園で出逢った二人は、文稀が死ぬまでの間、櫂の復讐に協力する契約を結ぶ。予行演習として、少年法に守られ罰せられない犯罪者たちを一人ずつ襲っていくが、彼らの制裁は次第にエスカレートしていき―。復讐の意味を問いかける衝撃作。

    「BOOK」データベースより

    一月近く前に読み終わった小説なので細部はややあやふやになっておりますが。
    いじめとその復讐や殺人の是非をテーマに据えた作品。『FEED』とも被る部分が多くこちらでもインターネットを介した個人情報の扱いなども添えられています。

    がテーマが先行し過ぎている印象が強く、復讐の練習と称して狙う相手が犯したいじめからその犯人を特定していく下りに関しても、
    個人的な独断と偏見と願望を込めて言うなら、こんなテーマを扱うぐらいだからきっと現実の問題もある程度調査して書いているんだろう、だから事実に即しているんだろうとは思いますが、それをそのまま書いても小説としての面白さには繋がっていない。

    早い話、この小説を読んで考えることは
    現実のいじめの事例を書き、いじめについて、復讐について、少年法についてどう考えますかと疑問を投げかける以上のものを持てませんでした。

    全く同じストーリをバックボーンとして小説を書いたとしても書く作家によってその肉付けになる部分が違うはずで、その肉付けに当たる部分は凄惨な描写が多くその描写からは櫛木理宇という人の文体、言葉の選び方があまり見えませんでした。
    櫛木さんの場合はこの文体や言葉使い、雰囲気が好きなだけにどうしても低い評価になってしまいました。

  • 従弟を傷つけられた少年と、自分自身の存在に価値を見いだせない少年。対極的にも思える二人が協力して、いじめを行った少年たちに報復を加えていくクライムサスペンス。
    いじめ、少年犯罪、復讐という重いテーマでもあるし、少年たちの青さというか中二病的な部分も痛々しさが印象的。だけど物語が進むにつれ、二人の間に友情のようなものが見られるようになったりもして、「これはもしや爽やかな青春物語というオチなの?」と思える部分もあったけど。……やはりそう甘いものじゃないのですね。
    やり場のない怒りや、加害者に甘すぎる世間に対する憤りはどうしようもないことだけれど。復讐することで得られるものがあるわけじゃないのも確か。だったら被害者はただ耐え忍ぶしかないのか。酷い話ではあるけれど、それが事実なのかもしれません。ただ、それでもどこかしらに希望はあると信じられればいいのですが。

  • 痛めつける描写が残酷で、目をそむけたくなります。そうした展開が延々と続くのに、着地点にそんなに意外性がありませんでした。ただ、見慣れた結末でないのは確かです。

  • 少年法に守られて罰せられない犯罪者たちを狩っていく二人の少年の復讐譚。テーマとしては手垢にまみれた感が無きにしも非ずですが、二人の少年の関係性が徐々に変化していく様の描写は見事で心に刺さります。着地の仕方もお見事。

  • 中学生櫂と文稀ぼ復讐もの。15歳で死ぬことを決めた少年。ぼくはもうスグ死ぬ。他人のことまでいちいち深く考えてられないよ。ちきゅうが滅びたって関係ナイじゃない?ころされてもかまわないってやつだけが。殺せるんだ。その覚悟があるかどうかです。最後は悲しい。許せない気持ちもわかる。

  • 多方面の感情を読み取って思考してしまう物語なのですが、どの方面から考えても全てが胸糞悪い話です。

    少年法。
    カイは仲の良い従兄妹がいじめにより酷い状態になったこと、犯人は少年法に守られ8週間のオツトメでシャバに戻ってきたことに納得がいかなかった。そんな中でカイは自殺シュミレーションをしていたフミキと出会う。話したことがなかったクラスメイトだ。カイはフミキに自殺する15歳の誕生日まで、手伝って欲しいといい、フミキに はそれを承諾する。
    すべてはカイの従兄妹に手を出したあの兄弟を制裁するため。そのまえに少年法に守られたクズどもに練習として制裁をし始める。

    いじめられたことのある人、いじめられた大切な人がいる人、いじめたことのある人、いじめを目撃したことのある人、そしてニュースやらで少年法に憤慨したことある人、家族にも友達にも恵まれず孤独な人。
    それらすべてにおいて胸糞悪いです。救いようがない。目には目を、歯には歯を。やられたらやり返される、殺人は覚悟の問題。

    わたしはこの物語がきちんとフミキにそれらを制裁させたところが良かったと思いました。
    カイが途中で降りてしまい、フミキも思い止まってしまうのかなとも思いましたが杞憂でした。きちんとぶっ放してくれた。だけど彼自身生かしたこと、そして8年間延命処置を取っているとう描写に涙腺緩んだ。フミキにとって初めての友達だったんだよね、カイは。少年法への報復、復讐の話ではあるけど、思春期の青春的な物語でもあって、夢中になって読み耽りました。
    ただ、本当に胸糞悪くてぐったりしたけども。

  • 『復讐』をテーマにした作品。現代の日本やネット社会の闇を上手く表現した作品である。復讐とは何だろう。何のために人を痛めつけるのか。復讐をする事で結局は同じ穴の狢ではないかなどといろいろな考えが頭の中を巡ってゆく。中学生でありながら、復讐という目的のためにあそこまで行動するというのは非常に恐ろしくもあり、驚きでもある。復讐をする事で幸せになれるのかと問われたら、必ずしもそうではないと思わされる作品だった。

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年、『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。瑞々しいキャラクターと読みやすい文章で読者モニターから高い支持を得る。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。

「2020年 『ホーンテッド・キャンパス 最後の七不思議』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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