今はちょっと、ついてないだけ

著者 :
  • 光文社
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レビュー : 66
  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910839

感想・レビュー・書評

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  • 伊吹有喜さんとの出会いは【風待ちの人】でした。
    この本がとても好みで、気になる作家さんの一人に。
    【今はちょっと、ついてないだけ】は4冊目。

    バブル全盛期、「ネイチャリング・フォトグラファー」として脚光を浴びていた立花浩樹。
    信じていた人の保証人となり、借金を肩代わり。
    全てを失って、故郷へ。

    表題作を含む7編の短編。
    立花のまわりに集う、”今はちょっと、ついてないだけ”な人たち。
    それぞれが、悩み、もがいている。

    ほんのちょっとしたきっかけで、上手くいかないことはある。
    だけど、それは”今はちょっと…”なんだよね!
    そして、”今はちょっと、…”を経験した人は優しさを持ってるんだよね…
    敗者復活って、思わぬ力を発揮できる事がある!

    表題作は、思わず涙ぐんでた。

  • 人生に敗者復活戦はあるのだろうか。
    借金、リストラ、離婚等「ついてない」人生負け組の男女がシェアハウスで共同生活を送りながら、それぞれの敗者復活戦に挑む連作短編集。

    何もかもが上手くいかない、と途方に暮れこの先の生き方に迷える面々。
    過去の栄光ばかりを振り返るのは自分を苦しめるだけ。
    遠回りしながらも「今」だからこそ見える風景に気付いた同世代の大人達に心からエールを贈りたい。

    シェアハウスに集まる面々は性格も職業もバラバラなのに、いざ仕事となると息もピッタリ。
    やはり長年仕事で積み重ねてきた経験は無駄ではないし、心穏やかになれる居場所や仲間がいることも強みだ。
    人生どう転ぶか分からない。
    「ついてない」大人達の底力を見た。
    読んでいて、同世代の私も元気を貰えた。
    「今はちょっと、ついてないだけ。そのうちいい運がやってくるよ」

  • 主人公・立花浩樹めぐる人たちを描く7つの連作短編集。
    タイトルが示すように一種の再生の物語ですが、挫折が十分に描かれていないせいだと思いますが、どこかサラリとした軽さを感じます。
    個々の再生の物語と思っていたのが、最終章でひとまとめにしてしまうのは面白く、力強さを感じるのですが、その為にも真ん中の一編「甘い果実」は無い方が良かったように思います。他の編とのつながりも弱く、再生というより一時的な逃避のように見えますし。また「ボーイズ・トーク」の岡野の扱いもどうかな。彼の問題は家族との乖離だと思うのですが、むしろさらに離れる方向になっているようなのですが。
    とはいえ、伊吹さんらしい優しい話でした。

  • 49日のレシピの作家さん。
    アラフォー世代の再生物語り。
    心にすぅっと沁み入って前向きな気持ちになれる読後感。
    言葉の描写だけで景色が浮かぶ。
    フォトグラファーが主人公なんだけれども、
    その写真が目に浮かぶ。
    ー見た事がない景色は日常の中にもある。それを記録して伝える喜びを、僕はこの一年かけて知りました。
    自分自身の過去を受け入れられずにもがき続けている主人公。でもその過去はそんなにも否定し続ける必要のあるものなのか。受け入れる勇気を持ち、そこから再生していく。
    そのまわりの登場人物との化学反応。
    しみじみ良かった。
    大事な人が少しつまづいている時に贈りたい1冊。

    2016年 3月 光文社
    装幀:大久保伸子
    装画・カット:吉實恵

  • 人生に、敗者復活戦はあるのだろうか…。

    かつてタチバナ・コウキとして世界の秘境を旅するテレビ番組で、
    一躍脚光を浴びた、「ネイチャリング・フォトグラファー」の立花浩樹。
    しかし、バブルが終焉し、全てが変わってしまった。
    仕事を回してくれる人はいない。恋人は去り、払い終えていない
    豪奢な調度品の支払いに追われる日々が続いた。
    そして最後に社長が事務所に多額の負債を残し自己破産をした。
    負債はすべて連帯保証人であるタチバナ・コウキにかかり、
    身体一つで逃げるように田舎に帰り、それからの15年間は、
    昼も夜も働き借金を返すためだけに生きてきた。
    必死に完済し、気付けは四十代…。夢も恋人何もない…。
    返済が終わり、ほっとしたのだが、昼間の職場が閉鎖し昼間の職を失った。
    そのかわり、一ヶ月前からパチンコを覚えた。
    足を骨折し、入院している母の隣のベットの静江さんと母は友人になっていた。
    その静江さんに写真を撮ってほしいと頼まれた立花は、
    ずっと忘れていた写真を撮る喜びを思い出す。
    もう一度やり直そうと上京して住み始めたシェアハウスには、
    同じように人生に敗れた者たちが集まる…。

    本当のところは、人生に勝ち負けはなく勝者も敗者もないと思ってます。
    何の苦労もなく自分の思う様に、ずっと生きていける人もいるかと思いますが、
    殆どの人が、自分が望んだ方向に進めなかったり、躓いたりってあると思います。
    この本は、そんな今はちょっと、ついてない状況にいる人々を優しく描いています。
    派手な展開はないし、不器用な登場人物達だけど、
    寄り添える仲間がいるというのは、大切だなぁ。大きいなぁって思いました。
    たとえ、思う様にいかない局面に立ったとしても、
    今はちょと、ついてないだけ。そう思えるだろうって思えました。
    少しずつでも足掻いても、ほんの少しずつでも前に進んで行こう!

    温かさと前を向いて生きる大切さ。喜びを改めて感じさせてくれました。
    ほっこり胸が温かくなり、涙が零れました。

  • 挫折、回り道、孤独、焦燥…。ちょっとついてない人たちが描かれたほんわかストーリー。
    互いに悪印象だった立花さんと宮川さんが、ゆっくりと打ち解け合うのがなんだか楽しい。それにしても母は偉大だなぁ。
    伊吹さんの作品にしては食事のシーンが少なめ。サバ缶と白菜の炒め物とか、厚切りハムと豆のスープとか、ワイルドな料理がおいしそう。
    「メリークリスマス&ハッピーニューイヤー」と書かれたチョコレートの小道具が味わい深くて、年末に読むのにピッタリな物語でした。

  • 失敗した・・・。
    以前この人の本を読んで合わないな・・・と思ったのに、作者名を忘れていたために、また読んでしまった(>_<)
    最初の方はそういうのを忘れるくらい順調に読めてたけど、途中から「どうも話に入りこめない」「面白くない」となっていき、どんどん尻すぼみ状態。
    そして、後半はもう読むのが苦痛で斜め読みになってしまった。
    途中、「何だかな~」と思い、前も読んだ作者の本だと分かった時、「やっぱりね・・・」と思った。

    内容はひと言で言うと、自分の仕事に疑問を感じ、カメラをやめた元カメラマンの男性と彼に関わる人々、主人公の再生する様子を描いた物語。

    斜め読みだからえらそうな事は書けないけど、読んでいて私が思ったのはこの男性、何でカメラをやめるまで思い悩んでるのかな~、何でいつの間にか立ち直ったのかな~という事。
    それくらい内容が伝わってこない。
    ただ、表面上の事をきれいに書いているだけで私の中に入ってこず、表面を素通りしていったという感じだった。
    結末も、どうせこの内容ならこうなるだろう・・・という通りで、やっぱな・・・と思いつつ「はぁ~・・・」って感じ。

    この話は連作短編という形式で、各話毎に違う登場人物の目線で描かれているけど、その分、主人公の存在が薄いと感じた。
    もっと彼中心に書いたら良かったのに・・・。
    彼もただの登場人物の一人でしかないような書き方だった。

    多分、私とこの作者とは感覚が違いすぎる。
    ちゃんと作者名を覚えておこうと思う。

  •  うーん、主人公のカメラマンの才能がありすぎ、芋づる式に凄い仲間と出会いすぎ。
     まあ、才能があってもうまくいくとは限らない。ちょっとした変化で、人生って変わるんだよって事なんだろう。
     そのちょっとがないんだけどね。

  • 『四十九日のレシピ』の著者だね。好きです。章立ててて、それぞれがゆるくつながっている。
    それぞれに四十歳を超えて、路が見えなくなって、もがいている。四十過ぎ、という年齢は、”今まで通りじゃうまくいかない”状況になるのは厳しく、ダメージも大きいと思う。いろいろ悩んで考えて、少しずつ踏み出していく姿が、清々しかったです。

  • 1個の点が次の点に繋がり線になり、 回り回って輪になるような。。。 若い人の話じゃなくて、平均年齢が少し上の大人な人たちの話なので、 何か・・・凄く熱い!とかじゃなく、グゥーっと静かに来るみたいな・・・感じ。 こんな話みたいに都合良く、人に出会い繋がって行くって素敵だけど、あるのかなぁ。 タイトルの「ちょっと、ついてないだけ」の「ちょっと」が、この話の温度に合ってる。 私なんて「ずーっと、ついてない」けど(笑)

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著者プロフィール

伊吹有喜(いぶき・ゆき)
1969年三重県生まれ。三重県立四日市高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。四日市市観光大使。1991年に出版社に入社。雑誌主催のイベント関連業務、着物雑誌編集部、ファッション誌編集部を経て、フリーライターになる。2008年に永島順子(ながしま・じゅんこ)名義で応募した『風待ちのひと』(応募時のタイトルは「夏の終わりのトラヴィアータ」)で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。2009年に筆名とタイトルを改め同作で小説家デビュー。2014年『ミッドナイト・バス』で第27回山本周五郎賞候補、第151回直木賞候補。2017年『彼方の友へ』(実業之日本社)本作で第158回直木賞候補。

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