今はちょっと、ついてないだけ

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 306
レビュー : 68
  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910839

感想・レビュー・書評

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  • 社会での生活に、不器用な人間。
    人から頼まれれば嫌と言えない人は、この世の中には、沢山いる。
    自分が、してあげなくては、、、と、思ってしたことも、他人からは感謝の言葉の一つもない事になれてしまって、自分はどのように生きて行けばいいのか?
    そんな思いを、描いている本である。

    川の流れに乗るように、ネイチャリング・フォトグラファーと、呼ばれるまで有名になったカメラマンだった立花浩樹。
    連帯保証人で借金を背負いながら、やっと支払い終えたら、アラフォー世代へ、、、自分の将来への戸惑い。
    そして、立花を取り巻く人々も、どうしようもない焦燥感を抱きながら、あがいている。

    立花浩樹は、母の入院で、同室の人の写真を撮ったことから、母親は、カメラマンなのに、レンズにカビをはやしてパチンコ通いの息子へ、見舞いに来るな!と、言ってしまう。
    しかし、母は、浩樹の持参してくれた見舞いのチョコへ、母の思いと謝罪の言葉が、入っていたところは、母親の気持ちが濃縮されている。
    浩樹は、東京へ戻り、再起復活へしていく。
    連作であり、浩樹を取り巻く人たちも、人生の敗者復活戦にかけて、歩み出していく。

    最後に、母親へチョコに書い足した言葉、「ついてない時期は、抜けたようです」で、この題名の結論へと、そして、母からの気持ちのチョコが、今度は息子浩樹からの感謝の気持ちへと。

    何か、人生 挫折ばかりでない事、未来は、40歳からでも、大丈夫と、、、前進していく者への応援になる本だと思う。

  • 自分の行き先に迷う、ちょっとついてない人たちが主人公の連作短篇集。
    負け続きの自分は、ここ数年ネガティブな思いばかりに囚われていたけれど、この作品を読んだらまだ大丈夫な気がしてきました。何歳になっても、諦めなければ歯車は回り始め、良い方向に動き出せるのかもしれない。久しぶりにそんなふうに思うことができました。
    上手くいきすぎなんて捉え方はせずに、人生こうでなくっちゃと思いたい。
    たぶん、私も今ちょっとついてないだけなんだ。へこたれずに生きよう。

  • 同世代の男女が、いろいろな思いを抱え、自身が進む道を探す。
    連作短篇集。
    秘境を旅する番組で脚光を浴びた
    元カメラマン・立花。
    背負わされた借金を、必死に働き続け完済。
    カメラを手にしなくなり何年経っただろうか。気が付けば40代になっていた。
    立花が言う。
    「どこへ行くのだろう。そして願えばきっと、どこにでも行ける」。
    羨ましいぞ、立花!

    その余力が自分にはあるかな。
    連作短篇集7話の中で好きなのは
    婚カツが上手くいかず、海外へ出掛けた佐山智美。
    そこで出会った男性との甘美な話「甘い果実」が衝撃的でおもしろかった。

  • 人生に敗れ疲れた男女の再生物語。
    タイトルがいまひとつ…と思ったけど
    最後まで読むとこのタイトルが活きてくる。

    そう、今はちょっと、ついてないだけ。

    【図書館・初読・7月14日読了】

  •  今はちょっと、ついていないだけ、そのうちいい運がやってるよ。
     そう信じられる、そう信じたい、そんな人たちの心を温かくする。
     

  • 自然写真家として人気を博したのち、全てを失った男。
    だがある日、カメラを構える喜びを思い出す。
    やり直そうと上京して住み始めたシェアハウスには、
    同じように人生に敗れた者たちが集まり…。

  • 連作短編集。主人公は皆上手くいかない人々で、でも誰かの言葉や出会いで、そんな「今」から抜け出そうとする。面白くはあるけど、彼らの現在があまりにも身につまされて、ちょっとしんどい。中年なら皆何処か当てはまる部分があるんじゃないかな。

  • 「今はちょっと、ついていないだけ。そのうちいい運がやってくるよ」
    母から言われた言葉。
    背中を押されたような、救われたような言葉。

    羽化の夢、涙が出ました。

  • 「今はちょっと、ついてないだけ」
    出だしは、主人公と思しき人のグダグダぶりに
    いつまで「ついていない」はなしが続くのかと思ってしまったけれど
    案外そうそうに再生。

    他の登場人物それぞれに視点が変わりながら、
    皆、「今はちょっと、ついてないだけ」から再生していく。


    40代からでもやり直せる、と前向きな気にさせてくれる。
    だがしかし、この人達は、才能はあったのよ。
    才能があっても、うまくいかないこともあるのに
    何も才能を磨いてこなかった人が勘違いしてはいけない…

  • よかったです。40代男女の再起のお話。再び歩き始めた彼らに、ワクワクしたものを感じて、私もがんばれるかも、彼らに続きたいなって気持ちになりました。「いろいろ遠回りしてきたけれど、今だから見える風景がここにある」 沁みる言葉です。

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著者プロフィール

伊吹有喜(いぶき・ゆき)
1969年三重県生まれ。三重県立四日市高等学校、中央大学法学部法律学科卒業。四日市市観光大使。1991年に出版社に入社。雑誌主催のイベント関連業務、着物雑誌編集部、ファッション誌編集部を経て、フリーライターになる。2008年に永島順子(ながしま・じゅんこ)名義で応募した『風待ちのひと』(応募時のタイトルは「夏の終わりのトラヴィアータ」)で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。2009年に筆名とタイトルを改め同作で小説家デビュー。2014年『ミッドナイト・バス』で第27回山本周五郎賞候補、第151回直木賞候補。2017年『彼方の友へ』(実業之日本社)本作で第158回直木賞候補。

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