今はちょっと、ついてないだけ

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910839

感想・レビュー・書評

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  • 内容はもちろんだが、タイトルがいい。絶頂期から転落して人生が思いどおりにならなくても、そこから這い上がってやるという意志を感じる。登場するのはそれぞれに停滞している中年の男女。彼らがお互いに意気投合し、新たな挑戦を始めるさまを描く。まあ、ちょっとうまくいきすぎかなとは思うけれど、フィクションなんだからいいよね。

  •  うーん、主人公のカメラマンの才能がありすぎ、芋づる式に凄い仲間と出会いすぎ。
     まあ、才能があってもうまくいくとは限らない。ちょっとした変化で、人生って変わるんだよって事なんだろう。
     そのちょっとがないんだけどね。

  • 連作短編集。
    若い頃、テレビでネイチャリングフォトグラファーとして世間の注目を受けていた立花浩樹。バブル崩壊と押し付けられた借金の返済に追われ、返し終わった時には、四十代でパチンコに通う冴えない日々。
    母親から頼まれて写真をとり、忘れていたカメラを構える喜びを知り、上京してシェアハウスに住み込む。そこで、同じ人生に敗れた人達と出逢い、何が変わっていく。
    ワイルドカード、人生にも敗者復活戦のようなものがあれば良い。

  • 人生において挫折はつきものだと思う。
    でもそれを経験してこそ、人は強くなったり優しくなったりするんだって事が主人公をはじめとする登場人物全員が指し示してくれる物語かな、と。
    最後は何かあたたかい気持ちで読了しました。
    たまたま気になって読んだのですが、今の季節柄にぴったりでそんな偶然も楽しめました。

  • かつて、世界の秘境を旅するテレビ番組で一躍脚光を浴びた、「ネイチャリング・フォトグラファー」の立花浩樹。
    バブル崩壊で全てを失ってから15年、事務所の社長に負わされた借金を返すためだけに生きてきた。
    必死に完済し、気付けば四十代。
    夢も恋人もなく、母親の家からパチンコに通う日々。
    ある日、母親の友人・静枝に写真を撮ってほしいと頼まれた立花は、ずっと忘れていたカメラを構える喜びを思い出す。
    もう一度やり直そうと上京して住み始めたシェアハウスには、同じように人生に敗れた者たちが集まり…。
    (アマゾンより引用)

  • かつて写真家として活躍した立花浩樹。事務所の倒産、社長の連帯保証人として負債を抱え込みドン底の人生を送ったいた。まだ、大学を出たばかりで世間を知らず、絶頂期の後のバブルが弾けついていなかった。10数年後ひょんなことから、宮川や瀬戸、会田などと知り合う。彼らも人生に挫折し生き方を模索していた。そして、立花のカメラマンとして瀬戸の美容師として宮川はアシスタント的な役目を担い新たな生き方を見いだしていく。それもちょっとしてきっかけ、ついてない時期からつきへの転機。人生ってそんなもんかなとつくづく思いに更けた。

  • 出会う人出会う人が何かをもたらし、縁となり、仲間となり、生きる糧になる。
    「ちょっと、ついてない」じゃなく、この本の中ではとても「ついている」。(笑)

    才能ある中年たち(若者も)がもう一度輝こうと奮闘する。

    伊吹有喜氏の本は初めて読んだ。読みやすくて面白いストーリーだったけどもう少し惹かれるものが欲しかった。

    最後に書き残しておきたい一文を。
    【あの頃の自分は何を望んでいたのだろう。そして今は、何を欲しているのか。
    二十代の頃と変わらぬ答えが浮かんできた。その他愛なさに、少しだけ涙がにじんだ。
    どこへ行くのだろう。行き先はわからないけど、今、ここにいる。
    そして願えばきっと、どこにでも行ける。】

  • タイトルの「今はちょっと、ついてないだけ」
    本当にそうだといいな、そう思いながらこれからも頑張れるかなと思わされました。コツコツと真摯に生きている人が少しでも報われる世界であって欲しいです。そして母親の存在がなんとありがたい…とか、人はしっかり向き合ってみないと分からないとか思いながら、たくさん力を貰えました。

  • 「今はちょっと、ついてないだけ」
    絶妙なタイトル。

    このコロナ禍でしんどい世の中にも
    そっと寄り添ってくれるような
    大人の物語。

    大人になるって切なくて、楽しいね。

  • 四十数年の人生を顧みて何やってんだ自分、って思うこの頃なのだが、果たして今、ちょっとついてないだけなのかどうなのか。うん、ええ話だけど。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。中央大学法学部卒。出版社勤務を経て、2008年「風待ちのひと」(「夏の終わりのトラヴィアータ」改題)でポプラ社小説大賞・特別賞を受賞してデビュー。第二作『四十九日のレシピ』が大きな話題となり、テレビドラマ・映画化。『ミッドナイト・バス』が第27回山本周五郎賞、第151回直木三十五賞候補になる。このほかの作品に『なでし子物語』『Bar追分』『今はちょっと、ついてないだけ』『カンパニー』など。あたたかな眼差しと、映像がありありと浮かぶような描写力で多くのファンを持つ。

「2020年 『文庫 彼方の友へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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