向田理髪店

著者 :
  • 光文社
3.57
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本棚登録 : 1232
レビュー : 230
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334910891

感想・レビュー・書評

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  • 北海道の寂れた街での出来事。
    方言の心地良さ。住民たちの親密さ。

    理髪店を継ぎたいと帰って来た息子。
    嫁の来てがないから、中国人女性と結婚した男性。
    映画のロケ隊が来て沸く街。
    地元の子が東京で事件をおこし、指名手配になってしまう。

    などなど、誰でも顔見知りの小さな町で起こる出来事なんだけど、言いたい事を言い合い、喧嘩もし合いながらも、ここでずっと顔を合わせて生きていかなければいけないから、
    協力し合い、みんなで一緒に成長していく姿がとても心地良かった。

    NHKあたりでドラマ化してほしいかも。

  • ★4と迷った…★3.5

    過疎の町を舞台にした、理髪店店主の視点からみた6編の連作短編集

    ・向田理髪店
    ・祭りのあと
    ・中国からの花嫁
    ・小さなスナック
    ・赤い雪
    ・逃亡者

    かつて炭鉱で栄えた苫沢町は、放漫な箱もの行政で財政破綻した。
    向田理髪店は、戦後間もなくから続く昔ながらの床屋さん。
    店主の康彦は53歳で父親から引き継ぎ四半世紀にわたって夫婦で理髪店を営んで来た。
    そんな康彦の目からみた、過疎の町で生活する人々の悲喜こもごも。
    札幌で就職した息子がわずか一年で会社を辞め、理髪店を継ぐと言い始め将来が心配…。
    近所の老夫婦の夫が倒れ、その妻や離れて暮らす長男で幼馴染を心配…。
    中国から花嫁を迎えた男性がお披露目をしたがらない…。
    数年振りにスナックが新規開店し、妖艶なママにオヤジ連中がソワソワ…。
    映画のロケ誘致に成功し浮足立った町民たちだったが…。
    町出身の若者が東京で事件を起こした…。

    田舎の悪い所は個人主義が通用しない点で、無邪気な善意が人の負担になったり、
    都会なら誰にも干渉されずに生きていけるが、しかし田舎にはその選択肢はない。
    しかし、町の誰もが顔見知り・同級生だったり知り合いだったりする。
    困った時には、手を差し伸べてくれたり心配してくれる。
    鬱陶しさと面倒見の良さ、お節介・不満・好奇心・優しさ・温かさ
    田舎の悪い面も良い面も奥田さんらしく、クスッと笑えるような
    ほっこりユーモアたっぷりに描かれていました。

    家シリーズより少し弱かったですが、心がほっこりした読後感でした(*˙︶˙*)☆

    • katatumuruさん
      しのさん、いつも私のレビューを見てくださり、イイネ!もありがとうございます(^^)
      私のレビューと違い、とても丁寧に詳しく書かれたレビュー...
      しのさん、いつも私のレビューを見てくださり、イイネ!もありがとうございます(^^)
      私のレビューと違い、とても丁寧に詳しく書かれたレビューだと感心しました。他のレビューに関してもいつもそんな風に思います。
      しのさんのレビューの「悲喜こもごも」という言葉、私も偶然に使いましたが、正にそんなお話でしたね。
      私も、評価は4にしましたが、本当の所は☆3.5くらいかな~と思います(^^)
      2016/10/26
    • しのさん
      katatsumuru★さん
      こちらこそ、いつも私のレビューを見てくださり、イイネもありがとうございます♪
      そしてコメントとっても嬉しか...
      katatsumuru★さん
      こちらこそ、いつも私のレビューを見てくださり、イイネもありがとうございます♪
      そしてコメントとっても嬉しかったです。
      簡潔に纏めるのがとっても苦手&すぐに内容を忘れてしまうので粗筋を少し書いてます。
      そうですね~田舎の良い所悪い所が表裏一体で描かれていて悲喜こもごもでしたね。
      奥田さんの家シリーズを先に読んでいたので、それよりはパンチが弱かった様に感じてしまいましたが、この作品もとっても素晴らしい作品でしたね♪
      2016/10/26
  • 「田舎は狭い」と言われる理由がよく分かった。
    町中の人がお互いを監視し合っているようで、都会育ちの私には息苦しい。
    でも連帯感は強いから困った時は助け合ったり、
    お祭りなんかは盛り上がるんだろうな。

    冬場は雪に閉ざされる北海道の田舎の小さな町を舞台に、
    日常の小さな事件に騒ぐ人々の様子が面白かった。
    スナックの話は、日本中の田舎で起こっていそう。
    いくつになっても女性の尻を追いかけるおじさんは、滑稽で可愛い。

  • 田舎のことをよーく知っている著者ならではの佳作。ああそう、田舎ってそうだよねえと、うなずきながら読んだ。町おこしとか村おこしって言葉を聞くたびにモヤモヤとしていた気持ちが、お話になって形をとっている。

    「家」シリーズと同様に、問題は何も解決しないし、先のことは不透明で、希望に満ちているとはとても言えない。それでもまあ、いいこともないわけじゃないでしょ、という気分にさせてくれる。

    ラストはちょっと前向きな感じで、こういう考え方もありかなあとは思う。みんながお互いのことを知ってるから気がラク、と私自身は思わないけれど。

  • 夕張を連想させる、炭鉱町。
    冬は雪に埋もれる。

    そこで理髪店をいとなむ向田の視線で描かれる連作短編集。
    地方都市の寂しさや問題点を書いてるんだけれども、生き生きとしてどこかユーモラスなのが奥田さんですね。

    中国からきた元気いっぱいの花嫁さんが素敵

  • 過疎化の進む北海道の町で、理髪店を営む店主の周辺の出来事を、短編形式でつなげた1冊。

    あえて架空の地名にはしているが、かつては炭鉱で栄えたものの、財政破綻して…とくれば、舞台は夕張。
    息子があとを継ぐことを宣言するが、先行きの見えない町に縛り付けることには否定的な主人公は、悲観的で石橋を叩いて渡るタイプ。トラブルが起これば何かと頼りにされるものの、どちらかと言えば控えめで、決して濃いキャラではない。そのため、じつは深刻な問題を数多く抱えている物語だが、穏やかなトーンに包み込まれている。そこが魅力でもあり、ややインパクトに欠ける部分でもあるのだが。
    町のおじさんたちが集う話なので、作者お得意のオヤジギャグ的な笑いを期待したのだが、そこはほとんどなくて残念。

    余談だが、たまたま少し前に荻原浩の『海の見える理髪店』を読んだばかり。理髪店がタイトルに付くのは珍しいのに、同時期に、しかも似たタイプの作者の本が出たこに驚いた。

  • ※※※もし時間があれば読んでみると良い本でしょう^_^

    たしか同奥田英朗の『家族』という名前の作品だったか、舞台設定は全く異なっているのだろうけれど、わたしにはその作品の続編のような気がづうっとしていました。

    まあ家族と地域を日常的に起きる出来事中心にまとめ上げた物語達です。それだけのことなのに結構面白いです。流石の奥田英朗です。

    正直、なんでもない日常をなんとなく書いてなんでこんな面白さがでるのだろうなぁ、と考えてしまう。

  • まあまあ楽しかったんですけど、普通の人情話に終始してしまっていて、奥田さんにしてはらしくないなあと思いました。
    ガールとかマドンナとか、傑作短編を連発してたころがなつかしい・・。

  • 次々起こるから騒ぎ。過疎の町は、一歩入れば案外にぎやか。

    北海道の寂れてしまった炭鉱町。
    息子の将来のこと。年老いた親のこと──。
    通りにひと気はないけれど、中ではみんな、侃々諤々。
    心配性の理髪店主人の住む北の町で起こる出来事は、他人事ではありません。
    可笑しくて身にしみて心がほぐれる物語。

  • かつて炭鉱で栄えた、北海道中部の苫沢町。
    石炭が使われなくなって炭鉱が閉鎖されて以来、寂れる一方だ。
    若者を中心に人口の流出が止まらず、おまけに前町長が町おこしに失敗して、使われなくなった箱物が抜け殻のように残る。財政も破綻した。

    そんな町に昭和25年から続く床屋、「向田理髪店」
    店主の向田康彦・53歳は、札幌で就職した後、戻って店を継いだ。
    だが、自分の代で終わらせるつもりだ。
    お客は常連のみ。
    一日中家にいる康彦のところに、同年代の、ガソリンスタンド経営の瀬川が情報を落としていく。
    向田理髪店は、「おじちゃんの井戸端会議」と化す。
    小さなコミュニティーのいいところと悪いところ。
    公平な目を持つ康彦は、時に相談されたり、おせっかいをしたりしながら、町で起こる出来事にかかわっていく。

    『向田理髪店』
    札幌で就職したばかりの長男、和昌が店を継ぐと言い出し、会社を辞めて戻ってきた。
    一年アルバイトをして学費をため、理容学校に通うとさっさと決めて実行に移す。
    康彦は、未来のない田舎に息子が燻ることに不安を感じ、会社でうまくやれなかったのではないかと心配する。
    総務省から過疎を救うために助役として桜井が出向してきた。
    「町おこし委員会」
    康彦は、瀕死の町の行く末に終末医療を思う。
    手術か、緩和ケアか?

    『祭りのあと』
    夏祭りの3日間。
    それに合わせて帰省する人たちも多く、つかの間、苫沢町はにぎわう。
    そんな時、83歳の馬場老人が倒れた。
    祭りと葬式が重なったら困る!3日持ってくれ!

    『中国からの花嫁』
    いつまでも結婚しないと、田舎では肩身が狭い。
    農家の息子・野村大輔40歳は、周囲から結婚をせかされ、見合いツアーで中国から花嫁を連れ帰る。
    しかし、花嫁を紹介しろとあちこちからしつこく言われ
    町中の目が自分に向いていることに恐れをなす。
    「田舎の悪いところは個人主義が通用しないこと」と、康彦は大輔に同情する。

    『小さなスナック』
    新しいスナックができた。
    新規開店は珍しい。
    ママは、苫沢出身の三橋早苗42歳。
    外に出て、親の世話のために戻ってきた。
    プロの水商売の接客、派手ではないが男好きのする早苗に、町のおじさんたちは、大人になって麻疹にかかったように、早苗に入れあげる。
    ある日、事件が起こった。

    『赤い雪』
    冬の苫沢に映画のロケがやってくる!
    めったにない娯楽に浮かれた町民たちの狂詩曲。
    康彦は、炭鉱が栄えていた時代、町に来たサーカスを思い出す。
    「田舎に必要なのは娯楽だ!」
    地域振興課の藤原さん、本当にお疲れ様でした!!

    『逃亡』
    苫沢町では秀才で鳴らしていた青年・広岡秀平が事件を起こし、逃亡する。
    あっという間に町中にうわさが広まった。
    「田舎は都会とちがい、匿名ではいられない」
    秀平にとって故郷は、“二度と帰れない場所”になってしまうのか?

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『家日和』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』『ヴァラエティ』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。

「2017年 『新装版 ウランバーナの森』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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