大癋(べし)見警部の事件簿 リターンズ 大癋見vs.芸術探偵

著者 :
  • 光文社
3.61
  • (2)
  • (7)
  • (9)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 33
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911225

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 脱力系話に、シリアス系芸術探偵を違和感なく客演させた妙味。
    ただこの大癋見シリーズのノリを、正統的深水ファンが求めているかどうか・・・(笑)
    https://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/14859072.html

  • 全く仕事をしないどころか邪魔にしかならない大癋見警部が率いるチームが今回担当する事件は芸術関係ばかり…というわけで、海埜刑事が甥の芸術探偵・瞬一郎を引っぱりこんで捜査にあたる。バカミスキャラと蘊蓄探偵の対決。
    中編の「ピーター・ブリューゲル父子真贋殺人事件」はブリューゲルに関する蘊蓄が愛に満ちあふれていて読みごたえがあったが、それだけにラストの脱力系のオチが笑える。
    「とある音楽評論家の註釈の多い死」は音楽評論を見る目が変わりそうな註釈が抱腹絶倒。
    それほど見せ場はないのに、大癋見警部の破壊力はやはりすごい。

  • 前回のミステリのお約束をおちょくる内容に芸術要素がプラスされた今作。
    芸術面に興味が無かったのが悔やまれる。そういうのが好きならとても楽しめると思う。

  • 本格ミステリーの聖域を踏み荒らした男が帰ってくる。今度は、本格ミステリーからさらに芸術の世界まで生け贄に。常に話題作を生み出す著者が、ミステリーへの強すぎる愛と、芸術への深すぎる造詣をこれでもか、と注入して生まれた痛快にしてご意見無用、巧緻にして油断大敵な怪しき力作!

  • ジャンルの常識とお約束を茶化し倒すアンチミステリの第2弾。今作では作者のフィールドたる芸術分野にまで手を広げ、例によって好き放題散らかします。くだらなさを引き立てるため叙述トリックを濫用した第1部はパターン化著しくも「盗まれた逸品の数々」の価値観の逆転は脱力気味ながらテクニカル。続く第2部も意外な犯人ものの一類型としてはアリかもしれず、滅茶苦茶やっているようで妙に律儀なところは処女作から変わらずです。

  • まあ、前回のぶっ飛んだバカミスを期待して呼んだら期待はずれだったかなあとは思うけど、まあミステリーとか読みものとしたら普通に好き。
    最後の作品はなかなかよかったし、第一部の最後の作品はなかなか味わい深くバカミス対本格ミステリーっていうのもなかなか笑える感じになる。

  • 前作がミステリをおちょくりまくってて非常に面白かったので今作も楽しみにしていたのですが、今回は『vs.芸術探偵』とのことでどうやら他のシリーズとのクロスオーバー作品だった様子。というわけで全然前回とは毛色が違って、しかも深水作品は飛び飛びに何作か読んだだけなので『芸術探偵』シリーズを読んだことがなく、ちょっと期待外れだったかなあ…。バカミスとしてもイマイチ完成度が高くなかったような。

    ただ蘊蓄ミステリは結構好きなので、『芸術探偵』もの含めこの人の作品他にも読もうかなあ。とか『倒叙の四季』を読んだときも思ったんだけどね。

  • 2016/09/30読了

  •  深水黎一郎さんの新刊は、「あの」続編である。正直なところ、一部の好事家にしか受けなかっただろう。それでも続編を出すとは、光文社は度量が広い。僕は好きだし、深水ファンなので手に取った。

     今回の目玉は、サブタイトルにあるように、芸術探偵・瞬一郎がこちらの世界に殴り込んでくること。というより、海埜が引っ張り込んだというべきか。薀蓄シリーズファンなら見逃せない。全体のおちゃらけた流れの中でも、薀蓄ネタには力が入っており、高度な笑いへと昇華させているのだ。

     第一部。「盗まれた逸品の数々」。殺された屋敷の主。盗品の中に、かの王義之の書が? まず王義之を知らなかったわけだが、薀蓄でそんな引っかけを用意するとは。ひどいオチだな。個人的に大受けした「指名手配は交ぜ書きで」。読みやすくしたはずが、むしろ読みにくい例は多い。

     「大癋見警部殺害未遂事件」。大癋見警部は、むしろ真相に怒るべきではないか?「ピーター・ブリューゲル父子真贋殺人事件」。美術史を揺るがす大発見か? こちらの世界と、芸術探偵の世界の、見事な融合。無理矢理なオチと、抵抗する瞬一郎が面白い。まさか、あれが伏線とは、恐れ入った。

     粒揃いの第一部に続き、第二部。「とある音楽評論家の、注釈の多い死」。そう、全編のページ下部に、注釈が入っているのが特徴である。この注釈というのが、音楽評論業界の有様を斬りまくっていて、大変興味深い。音楽評論に限らず、書評やスポーツなど、いろいろな分野に言えることではないか。

     業界に精通しているのはもちろんだが、愛情があってこそ吐ける毒だろう。ですよね深水さん? 肝心の事件だが、最後にこのシリーズならではの仕掛けが用意されていた。珍しく、大癋見警部が大活躍。ところで、ノイズみたいな図は何を意味しているのか? ステレオグラムかと思ったら違った…。

     初心者が振り切られそうな作風は前作同様だが、完成度はずっと高い。ゲストの芸術探偵・瞬一郎が、ピリリと引き締めた効果は大きいだろうが、アカデミックな笑いのレベルが高い。やっぱり一般受けはしないだろうけど、わかる人にだけわかればいいんです。薀蓄シリーズ同様に、続編を求む。

全14件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1963年、山形県生まれ。慶應義塾大学卒業。
2007年に『ウルチモ・トルッコ』で第36回メフィスト賞を受賞してデビュー。
2011年に短篇「人間の尊厳と八〇〇メートル」で、第64回日本推理作家協会賞を受賞。
2015年刊『ミステリー・アリーナ』が同年の「本格ミステリ・ベスト10」で第1位に輝く。
他の作品に『倒叙の四季 破られたトリック』『少年時代』『午前三時のサヨナラ・ゲーム』
『ストラディヴァリウスを上手に盗む方法』『虚像のアラベスク』などがある。

「2018年 『ミステリー・アリーナ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

深水黎一郎の作品

ツイートする