コクーン

著者 :
  • 光文社
3.08
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本棚登録 : 112
レビュー : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911249

感想・レビュー・書評

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  • バタフライエフェクト。多分、幸せでも不幸せでも「あの時・・・」と思う事は誰にでもあると思う。いわゆる「たられば」なんて無意味なんだけど、この作品の場合は幻が現実にリンクされてるので、こっちの方がマシだった、とかそんな風に思ってしまいそう。でも、そうじゃなくて。過去は必然だし、やり直せないし。弱さに付け込む宗教は神も何もあったもんじゃないと思うけど、そこに至る不安やコンプレックス、生い立ちや貧困が根本にある事は間違いなく。読み休める事が許されない、とても複雑な読後。カバーを取ってまた複雑な気分。うまいなぁ。

  • 距離も時間も想いも越えて、金色の蝶がそれぞれの景色をつなぐ。

    いろんな人生のひとときを切り取ったピースをパズルのように組み立てていく構成です。
    陰鬱で荒廃した灰色の世界が主ですが、パラパラと散らばる友情や愛情、甘いお菓子の香りが、じんわり温かい色の染みを作ってくれるイメージでした。

    ピースのひとつに私たちの存在するこの世界もチラッと顔を見せることで、読者の自我すらも黄金蝶の夢の一部なのかもしれないという不安に囚われる。作品の世界に浸る効果的な要素だと感じます。
    変わった装丁で、ラストはカバー裏に印刷されているのですが、おいっ!ってなりましたね。これがそこに繋がって、それが、そうなるかね!って。穏やかに終わろうと思ったのにー。好きですけど。映画館でエンドロールの後に1シーン放り込まれてる感じですね。

    「絶叫」は、 すべては必然であり、己で選びとれることなんかひとつもない。分岐のない一本の線の上を転がっていくだけ。 今と過去は一直線、今と未来も一直線。そういう物語だったけど、この物語には分岐、ifが存在しています。
    あくまでifの主観はその瞬間の自己なので結局は必然の中に生きているという結論になるのだろうけど、黄金蝶の存在がある以上、この作品は無数のifの散らばりを俯瞰で見ることを許してくれているのだと思います。

    まだ2冊目ですが、この作者は伏線のヒントの出し方が絶妙だと思う。100人が読んで100人が気づいてしまう描き方は、物語の重厚感を損なうし、難解すぎると読んでいて入り込めないない。個人個人の読解力の問題だとは思うけど、自分にはちょうどいい湯加減。

  • 【ネタバレ】内容紹介には「新たな不条理文学の誕生」とあるのですけど、どのあたりが不条理なのか良く理解できませんでした。時間軸が前後するそれぞれの人間ドラマはまぁ面白いのですけど、パラレルワールド的なオチは蛇足ではないかと

  • コクーンとは繭という意味で、この本ではシンラという宗教団体の本部組織の名称という事になっている。
    この物語はそのシンラに関係した人々の物語。
    シンラの信徒に子供を殺された女性。
    シンラの教祖が幼馴染の男性。
    シンラの元信徒とその家族ー。
    彼らの共通している事は黄金の蝶に導かれるということ。
    黄金の蝶が導いた先にあるものとはー。

    途中まではっきりとストーリーを把握していたけど、だんだん雲行きが怪しくなってきた。
    それは登場人物たちが自分とは違う人物の夢を見る。
    という設定が途中から加わったから。
    それからはこれは誰の話なのか?
    これは誰だっけ?
    となってしまった。
    そんな訳で読み終わって分かったような分からないような感じになったものの、それはそれで良かったと個人的に思う。
    まるで私自身も夢を見ている中で読み終えたという感じになったし、作者が言いたい事は何となく伝わってきたから、それで十分かな・・・と思う。
    とにかく、不思議な読後感の本だった。

    登場人物を導く蝶というのは彼らを時空や人物を超えて体験させる。
    その体験を通じて彼らは、もしあの時ああしていれば・・・、私なら・・・、と「if」を体験する。
    そして、登場人物たちは見えない糸でつながっている。
    これを読んで、ただ喫茶店で会っただけ、駅で見かけただけという人間が自分の人生に実は関わっているかもしれない。
    そして、あの時、ああだったら、こうしていたら・・・というのも、結局は何か目に見えないものに操られている人間の妄想なのか・・・とも思える。

    この本では近親相姦やレイプといった衝撃的な事が多々書かれているが、それらは読者の関心をひこうと奇をてらって書いたものでないというのははっきり分かる。
    この本にそれらの描写は必要だし、だからこそ伝わってくるものがあった。
    むしろ、淡々と、こなすように、静かにそれらを描写していると思う。

    内容が内容だけに明るい話ではない。
    だから、私がこの本を読み終えた直後に感じたのは見当はずれな感想だと思うけど・・・
    私は結果が幸せならいいということか・・・と思った。
    もし、そこに至るまでに様々な事があったにせよ、最終的に自分が納得して幸せだと感じられるなら・・・。
    黄金の蝶という設定が鮮やかで魅力的で不思議な印象を強くしている本だった。

  • 何人かの人生がある接点で交錯するストーリー展開は嫌いではないが、味わい深さがない。つまり人間が書き切れていないので感情移入しにくい。オウムを絡める必要があるのか最後までわからなかった。

  • やっぱりややグロい面が…物語的に引き込まれる面はあるんだけど、全体に漂う雰囲気があまり好みではなかった。ただ、その好みは別として惹きつけられる何かが確実にある。

  • カルト教団「シンラ」の起こした無差別乱射事件の関係者の人生を、時間を交錯させて書いているが誰が誰だか途中て分からなくなりそうで全部回収できたか不安

  • 1人の生でいろんな人の人生や生死が変わる。運命ってそういうものなのだろうけど。宗教入り込むのも怖い。

  • バタフライイフェクト
    これがキーワードなのかな?
    どなたかが書いていたように、話を広げすぎて収集つかない感じもある。シンラ(オウム?)の話を書いてあったり、震災が出てきたり、戦後の話が出たり、時代がわからなくなった。
    他の作品のほうが衝撃度は高いと思う。

  • 随分と難しい題材に取り組んだ作品。
    いろんな視点で書かれているので、主が誰なのか理解するのに
    時間がかかりましたが、理解すれば一気読み。

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著者プロフィール

1976年東京都生まれ。2009年、児童向け小説『ライバル』で角川学芸児童文学賞優秀賞受賞。2011年より「週刊少年サンデー」連載漫画『犬部!ボクらのしっぽ戦記』にてシナリオ協力。2012年『ロスト・ケア』で第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、ミステリー作家としてデビュー。『絶叫』が第36回、『コクーン』が第38回吉川英治文学新人賞候補となる。

「2018年 『ブラック・ドッグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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