殺意の隘路 最新ベスト・ミステリー

制作 : 日本推理作家協会 
  • 光文社
3.19
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本棚登録 : 65
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (433ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911393

感想・レビュー・書評

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  • いやー面白かった。読みたい作家さんが増えました。特に青崎有吾さんと円居晩さん、北村薫さんが好みでした。麻耶雄嵩さんの「旧友」と恩田陸さんの「柊と太陽」は既読。

    ・もう一色選べる丼/青崎有吾
    太○の達人……かと思いきや、学食の丼にまつわる事件。
    高校の学食の丼を放置したままいなくなったのは誰か。そしてその理由は……。
    主人公の女子高生・柚乃と、探偵役の男子生徒・裏染が謎を解きます。
    「彼女の手料理を否定したくなかったから、学食で同じメニュー頼んで箸を汚したかった」という高校生ならではの動機で面白い。
    探偵役の裏染くんのキャラも良く、シリーズで読みたくなりました。

    ・もういいかい/赤川次郎
    幼い頃、かくれんぼをしていた子供たち。そのうち一人の男の子が失踪してしまう。
    何年か後、大人になって再会した彼らの話。
    ホラーな展開になると思いきや、胸をなでおろせるような結末。

    ・線路の国のアリス/有栖川有栖
    不思議の国のアリスに鉄オタ成分を濃く注入して再構成した話。
    アリスのキャラがことごとく鉄道に関するものになっているというか。
    「松戸に本籍のある八田さん」の意味が分からず、Twitterで聞いてしまいました。マッドハッターね。

    ・ルックス・ライク/伊坂幸太郎
    ひょんなことから、クラスの美少女・美緒の手助けをすることになた男子高校生の久留米くん。
    並行して笹塚朱美・邦彦の話が進んでいく。
    実は久留米くんの父親が邦彦で、久留米くんの英語の先生・深堀が朱美です。
    時を経て、同じ台詞でつながる物語。
    邦彦と朱美は結局のところ結ばれていませんが、今が幸せなので何よりですね。

    ・九尾の狐/石持浅海
    時々髪がうねうねっと動くOLと、それに気づいてしまった彼女の部下の会社員。彼女の正体は何なのか。
    髪が動く=感情が動く。主人公の会社員の前に来るといつも髪が動いていた理由は……。

    ・黒い瞳の内/乾ルカ
    黒目の中に、男性がいる。
    摩訶不思議な特性を持つ女性に惹かれる主人公。
    瞳の中の男性には勝てないと思うけど、彼は彼女と結ばれる。
    しかし、瞳の中にいた男性の正体は、老いたおのれ自身だった。
    瞳の中にあるものの正体は、彼女が「亡くなる直前」に見た光景。

    ・柊と太陽/恩田陸
    「X’mas Stories: 一年でいちばん奇跡が起きる日」で既読。
    今の文明が消えてしまっている未来。クリスマスやサンタについても古い記録しか残っておらず、それをもとに未来人たちが「サンタとは」「何故ヒイラギを飾るのか」などという話をする。
    今残っている文明は、将来こういう風に思われるのかな。ガングロギャル=何かの儀式、ルーズソックス=昔はあしなが族がいたんだ、みたいな……。

    ・幻の追伸/北村薫
    男性の作家と、女性の作家。故人となった彼らが残した手紙の中に、男女関係を匂わせるものがあった。
    男性作家は既婚者だったはずだが、果たして……。
    ちょっとした暗号モノ。いやー、気がつかなかったわ。
    「中野のお父さん」の中の一作ということで、早速「中野のお父さん」を買ってきました。

    ・人事/今野敏
    新任の本部長・弓削。管轄の大森署長で変わり者と言われる竜崎。間に挟まる管理官・野間崎は、彼らに喧嘩してほしくなくていろいろ立ち回る。そのうち事件が発生し、警察の常識を覆して自ら指揮をとる竜崎。
    弓削は彼のことを気に入ったらしい。野間崎は、彼らに喧嘩してほしくなかったが、接近しすぎるのも困るという。

    ・夏の終りの時間割/長岡弘樹
    小学生の少年と、彼の友達で、歌詞スズメバチに刺されたことが原因で知的にハンデのある青年。
    青年はある放火事件の容疑を掛けられているらしい。
    放火犯は誰か。そしてなぜか。
    スズメバチに二度刺されると危険。友達がスズメバチに刺されないように、その巣を焼こうとした少年。少し切ない話。短いけど伏線はちゃんと張ってある。

    ・理由ありの旧校舎-学園密室?-/初野晴
    特殊で簡単には破れない鍵のついた旧校舎。
    しかし子の鍵が全て解放されてドアや窓が全開になっているという事件が発生した。
    果たしてその方法は、理由は……?
    校舎の中であの「シュールストレミング」を開けたため、風通しを良くして臭気を飛ばしたかったからというオチ。全員協力での犯行(?)。
    学園ものだとこういう「そこかよ」みたいなノリになるのがいいね。

    ・ルーキー登場/東野圭吾
    料理教室の講師を務める美人な妻を残し、夫が殺された。ランニング中、誰から刺されたものと思われる。
    新人刑事たちが捜査をし、やがて妻の料理教室の生徒の男性・横森が妻に横恋慕していたことが明らかになる。
    横森は「妻を自分のものにするためにやった」と犯行を自供。これでめでたしめでたしかと思われたが……。
    夫と不仲だった妻がストーカーを逆に利用して犯行を指せたという、ある種王道のストーリー。安心して読めました。

    ・定跡外の誘拐/円居挽
    良かった。SITで肉体派・鷹村と、頭脳派エリート刑事・五十嵐のコンビが最高。
    都内で塾帰りの小学生が誘拐される事件が発生。最近巷を賑わせている犯行グループ「ペイパーバック」から身代金を要求する電話が入る。
    ペイパーバック対策班05の五十嵐は、鷹村を相棒に指名。二人でペイパーバックを追い詰めていく。
    誘拐にしては奇妙な点に気付く五十嵐。そりが合わないと思いながらも行動をともにする鷹村。
    やがて二人は誘拐事件なんてそもそも起きていないという真相に辿り着く。
    これ、単行本化まだですかね。面白かった!!

    ・旧友/麻耶雄嵩
    「あぶ叔父」で既読。
    ある夫婦が殺され、容疑者で因縁のあった家の男も死亡していた。
    容疑者が死んでいるので解決化と思いきや、夫婦の死亡現場は主人公の叔父ともう一人の青年の監視に寄り密室状態で、犯行の方法が分からない。
    叔父さんがやっちゃってた。

    ・副島さんは言っている 十月/若竹七海
    これも良かった。
    書店に務める葉村の元へ昔の知り合いから電話がかかってくる。
    そしてその電話の主が人質立てこもり事件を起こしているというニュースがテレビで流れてくる。
    立てこもり事件の前にリノベ―ションを手掛ける女性が殺されていた。容疑者は一人しかいない。
    しかし電話の向こうでは「その容疑者が無罪であることを証明してくれ」という。
    電話のやりとりだけで、葉村はその真相を追求していく。
    とにかく、容疑者以外の犯行を少しでも匂わせればということで、大胆な予想をするけど、それが後になって当たっていることが判明したりして……。

  • [北村薫さん関連の記事あり]
    「幻の追伸」 北村薫

  • 「殺意の隘路 最新ベスト・ミステリー」
    ミステリーの"今"を堪能する。豪華15作家による最強アンソロジー。


    日本推理作家協会刊行、ミステリーアンソロジーです。程よい文量で色んな作家のミステリーを1度に纏めて読める、非常にお得です。16年刊行である為、現時点ではちょこちょこ著者単行本/文庫本で発売されているものもあるかと思いますが、読んでこと無いな?って思える作品があれば、手に取って見て下さい。私も、読んだことはないものはもちろん、既読のものもありましたが、結局、面白かったです。


    ◆収録作品/作家
    ☆もう1色選べる丼/青崎有吾
    ☆もういいかい/赤川次郎
    ☆線路の国のアリス/有栖川有栖
    ☆ルックスライク/伊坂幸太郎
    ☆九尾の狐/石持浅海
    ☆黒い瞳の内/乾ルカ
    ☆柊と太陽/恩田陸
    ☆幻の追伸/北村薫
    ☆人事/今野敏
    ☆夏の終わりの時間割/長岡弘樹
    ☆理由ありの旧校舎/初野晴
    ☆ルーキー登場/東野圭吾
    ☆定跡外の誘拐/円居挽
    ☆旧友/麻耶雄嵩
    ☆副島さんは知っている/若竹七海


    本書収録ミステリは、
    ・意図的な隠し事が明らかにされ、本当は何があったのか、謎が解明されるもの
    ・合理的な知性と偶然が絡み合って展開されるもの
    ・謎の女性とその謎または女性が気になる人物との関係がポイントになるもの
    ・ファンタジー要素が強く不可解さが濃いもの


    様々なタイプのミステリがあり、犯人を見つける探偵モノ、という王道以外も楽しめる仕上がりになっています。私は、結局、探偵モノが一番好きなのですが、犯罪=暴く以外のミステリも、結構好きなんだなと改めて思いました。ほっこり系の結末が多いからなんでしょうw


    個人的に良かったのは「ルックスライク」「九尾の狐」「黒い瞳の内」。ルックスライクは、読み出したら読了済と気づいたけど、あの助け方は、やっぱ良い。きっと息子の恋もうまくいくはずで。


    後者は、どちらもプロットは恋愛。「黒い瞳の内」は、純愛でこんな恋してみたいもんだと。好みは、九尾を掛けた職場恋愛に発展間違いなし!の方ですね。間違いなく美人ですよ、リコさん。というか、ポールテールって初めて聞いたかも。


    30代になり、もはや純愛だのドキドキ恋愛だのが、砂漠で見るオアシスになった今、こういう小説しか救いはないのだろうか。。あぁ、悲しい。


    因みに、他も是非ご一読を。

  • 2013年1月号〜2015年12月号の各誌に掲載された作品から15編を掲載。良くできたお話が多い。北村薫さんの「幻の追伸」、今野敏さんの「人事」が特に良かった。

  • 15人のミステリ作家による最新ミステリーのアンソロジー作品。初めての作家さんもいましたが、どの作品も良かった。ミステリが好きなら読んでおくべき一冊。
    伊坂さんのルックスライクはオチが良かった。
    乾さんの黒い瞳の内も同じ傾向だが、感動的なラスト。
    東野さんのルーキー登場は既読でしたが、何度読んでも良いです。
    ぜひお気に入りの作家さんを見つけて。

  • 「殺意の」という割に殺人のない作品も多かったけど、色んなタイプの作品を楽しめた。

  • 15人の作家によるアンソロジー。
    短編を読むとやっぱり長編読みたい気分になる。

  • 【収録作品】「もう一色選べる丼」青崎有吾/「もういいかい」赤川次郎/「線路の国のアリス」有栖川有栖/「ルックスライク」伊坂幸太郎/「九尾の狐」石持浅海/「黒い瞳の内」乾ルカ/「柊と太陽」恩田陸/「幻の追伸」北村薫/「人事」今野敏/「夏の終わりの時間割」長岡弘樹/「理由ありの旧校舎-学園密室?-」初野晴/「ルーキー登場」東野圭吾/「定跡外の誘拐」円居挽/「旧友」麻耶雄嵩/「副島さんは言っている 十月」若竹七海 
     アンソロジーは楽しい。だいたい既読だったが、円居挽が収穫。

  • ミステリーの"今"を堪能する! 豪華15作家による最強アンソロジー。

    この3年を代表する傑作ミステリーの競演! 2カ月連続刊行。(収録作家)青崎有吾、赤川次郎、有栖川有栖、伊坂幸太郎、石持浅海、乾ルカ、恩田陸、北村薫、今野敏、長岡弘樹、初野晴、東野圭吾、円居挽、麻耶雄嵩、若竹七海。

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プロフィール

一般社団法人日本推理作家協会。推理文芸の普及・発展を目的とし、日本推理作家協会賞、江戸川乱歩賞の授賞、「推理小説年鑑」などの編纂、機関誌の発行などを主な事業とする。

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