花を呑む

  • 光文社
3.68
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本棚登録 : 305
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911416

感想・レビュー・書評

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  • 弥勒シリーズ 7

    老舗の大店の旦那が、妾に怨み殺された。
    その怪奇な事件を探索する、同心、木暮信次郎。

    その事件解決より、木暮信次郎と遠野屋清之介の関係が面白い。

    遠野屋清之介は
    父親から、暗殺者として育てられ、それ以外認めてもらえなかった。
    人とは殺す相手ではなく、共に生きていく者だと、江戸に出て初めて知った。
    刀を捨て、商人の道を歩き始めてやっと知り得た。
    共に生きていく。
    そのために生きる。
    生かす。
    生かされる。
    その道を全うしたいと願い、全うすると決意している。

    そんな遠野屋を見て、無駄な足掻きだと言い捨て、嗤笑する信次郎。

    岡っ引きの伊佐治は、緩衝材として、二人の仲に居て、遠野屋を守って行きたいと思う。

    商人の道を全うできるか?遠野屋。

  • 損料屋のお常、そういやあの一件を忘れてた。札付きのならず者とはいえ男一人を始末して、見事な芝居で温情裁きをもぎ取り逃げ去った女がいたわ。その悪党ぶりを信次郎が見初め、薬石の言を餞別に授けて見逃したんだった。あの伏線を失念していたとは悔しい。しかし、早々とお世衣の正体を看破しながら再び咎めぬとは、よほど「おもしろい女」と信次郎は気に入ったのか。間違えなく来訪をも予測していたに違いなく、ならば清之介を傍に控えさせて物騒な男ごと始末できたろうに。ところで、東海屋の件でおときと作蔵の演じた真相はいささか稚拙なり。

  • 2022.03.14

  • 木暮信次郎と遠野清之助。因縁の2人。二人の息詰まるやりとりと、それをとりなす伊佐冶親分が好きです。本を読んでいるのに本当に花の香りが感じられる匂い立つような本でした。

  • 弥勒シリーズもだんだん嫌らしさが見えてきた。
    登場人物の物言いがくどいし不自然だ。
    おまけに信二郎は大量殺人の主犯を自己判断で放逐するなんて言語道断。
    非常に読後感が悪い。

  • 弥勒シリーズ大7弾。安定の登場人物たちのやりとりをベースに趣向を凝らした内容。表題の真意も明らかに。
    女の怖さをまじまじと見せつけられた作品になっていたように思う。ほっこりする場面と対比するかのような悪の心をぶったぎる後半の畳み掛けがやはりクセになる。親分の存在もほんと大切だなぁと痛感。誰ひとりかけてもこのシリーズは成立しない。ずっとずっと追いかけて行きたい。

  • 弥勒シリーズ第7弾。
    今回は問屋の主人が変死体で見つかった現場に幽霊がいた、という話で始まる。
    このシリーズは安定して楽しめる。
    シリーズ初めは、全く訳の分からなかった信次郎も闇を抱えつつも一応人間らしさも見え隠れするようになってきたし、遠野屋も闇に引き戻されそうな不安はあるが踏ん張って歩いている。
    今作は、女の怖さが印象的。シリーズを通して女の心情描写が多く感じます。

  • 弥勒シリーズ 7 花を呑む

    伊佐治を中心に話が進んでいくけど、やっぱり信次郎がメインであってほしい。でも伊佐治が間接的に信次郎は語るから面白いのかなぁ。
    それにしても信次郎、定町廻同心という憧れ職業なのに周りの人間に虐げられすぎ。そしてそれを本人が楽しんでる。
    遠野屋ここでも事件に絡んでくる。こんなひとに引きが強いひといる?


    弥勒シリーズ
    1 弥勒の月 ◯
    2 夜叉桜 ◯
    3 木綿柿 ◯
    4 東雲の途 ◯
    5 冬天の昴 ◯
    6 地に巣食う ◯
    7 花を呑む ◯
    8 雲の果
    9 鬼を待つ ◯


    今話題の薬物事件。
    そのせいなのか、すぐピンときたよ!
    読むなら今!

  • 弥勒シリーズ七冊目。
    今回は初っ端から幽霊騒ぎ。大店の主が囲っていた愛人に憑り殺されたと。その愛人は同じ頃、屋敷で血まみれになって死んでいるのが見つかります。
    同心の木暮はその時なんと鬼の霍乱か風邪をひいて寝込んでいたため初動が遅れ、親分の伊佐治は嫁の気落ちのことが気にかかる様子。おまけに少し前にお解き放ちになった女の顛末を木暮同心から聞いてたまげる始末。
    そして遠野屋は袂を別った兄のことで動揺を隠しきれません。
    これらの出来事が全部後半になって一気に片付くのが見どころです。今回は出てきた出来事に一切無駄がなくピタリと終わるところが素晴らしいです。
    何にしても当然のことながら木暮同心の見事な推察と伊佐治親分とのやり取り、遠野屋との駆け引きは健在です。

  • 清之介さんと木暮様、相変わらずのこの2人の関係は、かっこ良いし、なんだかんだで好き。前回封印していた刀を抜いてしまって、ああどうなるのかなと思ってたけど、木暮様が口悪く言いながらも、ちゃんと引き留めてる感じがする。面白がってるだけかもしれないけど。
    今回の主題は女の顔かな……。怖い女の本性が垣間見えたり、逆に強い女の姿が見えたり。お常はラスボス的な感じになるのかな。

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著者プロフィール

岡山県生まれ。1997年、『バッテリー』(教育画劇)で第35回野間児童文芸賞、2005年、『バッテリー』全6巻で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。著書に『テレパシー少女「蘭」事件ノート』シリーズ、『THE MANZAI』シリーズ、『白兎』シリーズなど多数。児童小説から時代劇まで意欲的な執筆活動で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『NO.6〔ナンバーシックス〕(8)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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