やまと錦

著者 :
  • 光文社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911430

感想・レビュー・書評

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  • 伊藤博文は時代の勢いでトップに立った人という
    イメージだったけど、有能な人だったのかもと思わしめた。明治維新を深く学びたい。

  • 憲法草案を書いた井上毅(多久馬)を中心として描かれる激動の時代を生きた男たちの歴史物語。あの辺の時代の人たちの先輩後輩関係とか友好関係とかよくわかってませんでしたがその辺りの人間模様がわかってとても面白かった。天皇陛下の退位とか女性宮家などいろんな皇室関係の議論が盛んな中で、なんで皇室典範が今みたいな形になったのだろうということも辿れてとても興味深かったです。

  • 書き下ろし

     外つ国の 千草の糸を かせぎあげて
     やまと錦を織り成さばやな
    帝国憲法の産みの苦しみを、井上毅の人となりに迫って描いた作品。
    京大法学部出身で司馬遼太郎に仕えた作者の真骨頂と言うべきか。

     自由民権運動から生まれた私擬憲法草案があちこちで発掘され、日本史の教科書でも取り上げられているが、帝国憲法をどう作るかという苦労について書かれたものは少なかった。
     保守性ばかりが強調される帝国憲法を「明治の理想を形にする」という成果の観点で捉え、「この国で生まれ育った誰もが心の奥底に持っているのが国体であり憲法なのだ。」という言葉には感動的な説得力さえある。

     憲法改正や、皇室典範の改正までが議論される今、歴史学徒として帝国憲法を学んで来なかったことを恥じる思いだ。六法全書に載っている法律の中で最も読まなかったこの多久馬の力作を読んでみようと思う。

  • ブクログさんの献本で頂きました。(ありがとうございました。)
    「やまと錦」という表題に相応しい、錦鯉が描かれた美しい装丁が素敵です。
    本書は、大日本帝国憲法の草案に携わった、井上多久馬(井上毅)の生涯を描いた一冊。
    維新後、列強との不平等条約を結ばざるを得ない状況から脱却すべく、世界に示せるような“法”を作成せねばならない・・。様々な問題と立ち向かいながら、多久馬が考えに考え抜いて憲法を作っていく様が、当時の権力者たちとの交流と絡めて、興味深く綴られています。
    時々出てくる、多久馬の愚民思想には引きそうになるのですが、まあ今とは時世も違うので、そういう考えも仕方がなかったのかもしれないですね。
    因みに、冒頭に登場した、会津の姉弟が、いつ再登場するのかと思いながら読んでいたのですが、結局最後まで登場せず・・。あの二人の成長した姿も見たかったな、と・・。

  • 憲法起草ーーそれは列強と対等に渡り合うための道だった!

    熊本藩下の秀才、井上多久馬(後の井上毅)は、欧州の法律を学び帰国した後、世界と対等に渡り合うために、日本にも独自の憲法が必要だと痛感する。憲法起草に生涯をかけ、実直かつ家族愛に溢れた井上毅の生涯を、丁寧に書き下ろした長編時代小説の傑作誕生!

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著者プロフィール

一九六七年京都市生まれ。会社勤務等を経て、司馬遼太郎氏の夫人である福田みどり氏の個人秘書を十九年間務める。二〇一〇年『マルガリータ』で第十七回松本清張賞を受賞し、作家デビュー。

「2022年 『せきれいの詩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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