木足(もくそく)の猿

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911508

感想・レビュー・書評

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  • 時代小説とミステリの融合といった感じ。面白かった。が、先が読めてしまった。

    時代は明治初期。武士がいなくなり、商人が偉くなってきた時代。片足を失った元侍の物語だ。その男の名は奥井。奥井は親友を殺され、その仇を17年間も探していた。
    時を同じくして英国人の生首を切り落とし、民衆の前に晒される事件が相次いで起こった。その事件の犯人の一味に奥井の仇がいるとの話がもたらされ、奥井は玄蔵という男と警察とは別に調査に乗り出す。その事件の背景には驚くべき事実が・・・。

    作者のせいではなく、こういった物語は、こうした結末になるよな。と、だいたいの読者は読めるし、希望でもある。そういった意味では満足できる内容だった。
    ただ、今の時代に生きている私たちには考えられないような生き方があり、それを強いられる人生を思うとその時代を恨まずにはいられない。熱く、哀しい物語だ。

  • 日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。時代は江戸の終わりから明治の初めで、親友の仇討ちと、外国人連続殺人の犯人探しという2つの目的を持った片足の男が主人公。
    日本が極貧だった時代の話なので、貧しく悲惨なエピソードばかりでひたすら重苦しい。これは繰り返し読める小説では無いな。
    文章に破綻が無かったのと、ミステリーとして完結していたのは良かった。著者は過去、この新人賞の最終候補に6回残ったそうだが、それだけの力量は確かに感じた。次回作が現代物なら読んでみたい。

  • 明治の初め頃の話で,元武士の奥井隆之が命の恩人の水口修二郎を殺した矢島鉄之進を追いかけるのだが,ストーリーは複雑.英国人の生首がさらされる事件が続発.奥井は山室玄蔵に会い,共同で動き始める.当時清国が英国のもたらした阿片で窮地に立たされていた.英国人犠牲者の妾だった津崎陽との出会いで話が展開する.最終的に阿片の密売に絡む呉景明がカギを握っているが,奥井とのやり取りの場面が秀逸だ.

  • 明治時代に入って数年後、英国人の生首が橋など公衆の場に晒される事件が3件続く。殺されたのは外交官や医師など地位が高い英国人。犯人探しをする新政府の警察。それとは別にある出来事からこの事件を探偵として犯人探しをするようになった奥井。奥井は元は侍で左足の膝から下が無く木で作った義足を使い、杖を使用。杖の中に亡き友の刀を忍ばせている。亡き友、水口を殺した犯人の矢島に復讐する為に、17年も矢島を探し放浪の旅を続けていたのだが…全体的に良くまとまりハードボイルド要素が詰まった内容。友の仇は取れたのか?は最後に明かされる。タイトルの木足の猿は白人から見た奥井の風貌になる。

  • 第20回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
    明治初期、英国人が次々と殺害されて生首が晒される事件が起きた。友の復讐のために脱藩してさすらう奥井はこの事件に仇が関わっていると知り、犯人を追うことに…
    ミステリでもあるが、新人賞とは思えない重厚さで、江戸幕府から明治に移り変わる激動の時代に翻弄される様々な人の生き様が胸に迫ってくる小説だった。ハードボイルド。

  • 明治の初め、連続して外国人が殺される。片足の元武士が友の仇討ちとともに謎に迫る。どうも読みにくかったけれど、後半より波に乗れた。伏線をきっちり回収し、最後は意外でした。それぞれの元身分からくる苦労がよく書けていた。あと、元武士の口調が気に入りました。ハードボイルドね。

  • 日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。明治に移り変わったばかりの時代を舞台に繰り広げられるミステリ。
    相次ぐ異人殺人事件。それを調査することになったのは、元武士で義足の男・奥井。案外時代の流れには柔軟に対応しているのだけれど、武士の矜持をいまだに捨てず、友の仇を十七年も追い続けるというのはある意味愚かなのかも。とはいえ、そのキャラクターがなんともカッコよいのですよ。かなりハードボイルドな印象です。
    ミステリとしての面白さはもちろん。時代の移り変わりに従って変わってしまった人々の生活も読みどころです。四民平等の時代が到来して、生き方が楽になった人もあればそうでない人もあって。それでも新しい時代に適応すればいいものを、過去に囚われたままの人もあったり。この事件が起こることになった背景も悲しいなあ。

  • 時は明治に変わり、都は東京に変わったが、元侍がまだいる時代。
    探偵ものと侍の哀惜と友情と、時代の変化で何もかもがひっくり返って底辺から浮上した者その逆の者、様々な想いやドラマが描かれる。
    ミステリーとしても楽しめたし主人公の不器用で一途な生き方も魅力的に映った。
    やや文章が堅いが今後が楽しみな作家さんになりそう。

  • 第20回日本ミステリー文学大賞新人賞の作品とのことであるが、新人賞の割には文章が丁寧で読み易く、侍の時代から文明開化へと大きく社会が変遷していく時代背景をきちんと描いたうえでのミステリになっており、新人らしからぬ巧さを感じた作品であった。どんでん返し的な結末は正直なところ予想範囲内ではあったけれど、水口という人間の表裏ある二面性をその時代ならではのポジションに置くことで上手く描いているなと思う。気になった点を強いて言えば、何度も挟み込まれる回想エピソードが読むテンポを崩させていることかな。結果的に伏線になっていて納得する内容なのだけれど、丁寧に描き過ぎるが故にいちいち読むスピードを抑え込まれている気がした。

  • 第20回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作「白骨の首」を改題、改稿。

    p.68 「〜人というのは惰性で生きている。考え方もそうだ。今までが同じだと、これからもこのままずっと変わらないと考えてしまう。〜」

    シーユー(See you)

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