猫の傀儡(くぐつ)

著者 :
  • 光文社
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レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911652

感想・レビュー・書評

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  • 困っている猫がいると放ってはおけない!
    猫をピンチから救う傀儡師、オス猫のミスジは人(阿次郎)を操り日夜猫達を助けている。
    チャキチャキの江戸っ子のミスジの言葉遣いは読んでいてスカッとする。
    人は考えすぎるのが玉にキズ、物事をもっとスッキリ始末すりゃいいのに…とごもっともなミスジのセリフには思わず納得。
    呆れるくらい呑気な相棒の阿次郎に鋭くツッコミを入れるミスジ。
    そんなミスジ主導のもと、名コンビが猫とその猫に関わる人に起こった災いを次々と鮮やかに解決していく。

    微かな臭いや音、気配で人が隠す嘘をズバリ見抜くミスジ…うちに来る通い猫の二匹も実はこんな事を思っていたりして…想像すると面白い。
    江戸の猫町で繰り広げられる人(猫)情に厚い軽快な物語。
    もちろん続編希望!

  • 二歳のオス猫・ミスジ、人間なら24歳くらい。
    前任者の順松(よりまつ)兄貴が行方知れずになったため、頭領からこの町のあたらしい「傀儡師(くぐつし)」に任命された。

    傀儡師とはつまり、傀儡(くぐつ)たる人間をうま~く操って、猫のために働かせる技を持った猫だ。
    傀儡師(猫)と傀儡(人)は、1対1でバディを組む。
    人間のほうは、うまく使われていることに気づかないのが前提。

    とても面白い設定。
    猫のために働かせているというが、同じ町に暮らす以上、猫の問題と人の問題は複雑に絡み合っている。
    とはいえ、人の掟(法)と猫の掟は異なるから、同じ事件を別の思惑で解決を願ったり、別のやり方で成敗したりもする。

    ミスジがいくつかの事件をこなしながら傀儡師としての仕事に慣れ、傀儡の阿次郎との信頼関係を築いてきたあたりで大きな事件のうねり。
    阿次郎の飼い猫・ユキ、ミスジの宿敵・烏の三日月、ミスジに大きな影響を与えた兄貴分の順松のキャラクターもいい。
    時雨さんが気になるなあ…何か知ってるの?
    続編、当然ありますよね?


    『猫の傀儡(くぐつ)』
    ミスジ、初仕事。
    三町目の“キジ”の訴え「花盗人の疑いを晴らしてくれ!このままでは三味線にされてしまう!」
    ついでに縁結び2件。

    『白黒仔猫』
    “母さん(飼い主)”と白猫、子沢山母猫と黒猫、こじれた母親と娘。
    ミスジ、烏から仔猫を救う。

    『十市と赤』
    知恵の遅れた十市と、老猫・赤の絆。
    阿次郎の正義感と憤り。

    『三日月の仇』
    動物に残酷な仕打ちをする人間の子供。
    ミスジ、天敵である烏を助ける。

    『ふたり順松』
    猫の順松と、辰巳芸者の順松、両方の行方不明にかかわりはあるのか。
    物語、大きく動く。

    『三年宵待ち』
    商家の次男と三男の兄弟愛。

    『猫町大捕物』
    戻ったものと、戻らないもの。
    時雨の言葉に、ミスジは少し救われ、兄貴・順松の思いを受け継ぐ。

  • 「猫の傀儡(くぐつ)」・・・傀儡とは操り人形のこと。「猫が人形を操るって、どういうこと?それとも、猫が操られる方なのかな?(表紙絵では、人のように着物もきているし)」と思って読んでみると、これは思った以上に猫が猫として、大活躍しているお話でした。
    詳しく書いては、読んでいない方の楽しみを減らしてしまうと思うので書きませんが、私はとても気に入りました。江戸っ子な猫たち、いいです。
    他の方が書かれているように、一冊で気持ちよくまとまっていますが、私は続きが読みたいです。

  •  アンソロジー『江戸猫ばなし』に収録された『猫の傀儡』とその続編を収録した連作短編集。
     傀儡師の猫ミスジと、ミスジの傀儡にされた人間・阿次郎のお話。
     ミスジの前に傀儡師をしていて、行方不明中の順松のことが話の根底にあります。

     どのお話も阿次郎の勘が冴えているのか、ミスジの傀儡師としての才能がいいからなのか、見事に解決はしますが、切ない終わり方をするお話が多かったかな。




    ネタバレかもですが…









     最後、阿次郎と春奴がくっ付くのかと思ったよー。

  • 猫町に暮らす野良猫のミスジは、憧れていた順松の後を継いで傀儡師となった。さっそく、履物屋の飼い猫・キジから、花盗人の疑いを晴らしてほしいと訴えられる。銅物屋の隠居が丹精していた朝顔の鉢がいくつも割られるという事件が起こり、たまたま通りがかったためにその犯人扱いをされているという。人が絡んでいるとなれば、人を絡めないと始末のしようがない。ミスジは傀儡である狂言作者の阿次郎を連れ出すことにした―。当代屈指の実力派が猫愛もたっぷりに描く、傑作時代“猫”ミステリー!!

  • えっ……控えめに言って最高……!

    ミスジと阿次郎のキャラクターがとにかく好き。
    三日月とおたまも良きー!!
    順松の話がすごくいい。
    どこをとってもすごく好き!!

    八歳の少年だけがちょっと気がかり。

  • てっきり猫が術みたいなので人間にのり移って事を成す話かと思ったら、猫が猫の知恵で人間を誘導する、傀儡師の訓練を受けてる優秀猫の話。おもしろい!人間が猫に使われるなんて。それも人間絡みの猫の事件のために。西條さんの時代物ファンタジー、とっぴなんだけど、ちゃんと違和感なく話になってるからすごいな~。ぜひ続編をこいます!その前に今春屋をお願いします!

  • 猫の為に人を操って働かせる。
    それが猫の傀儡師である。
    憧れていた順松の後を継ぎ、傀儡師となった
    野良猫のミスジ。様々な事件を傀儡である
    阿次郎(人)と共に解決していくうちに見えてきた
    先代傀儡師失踪の真相とは…
    「猫の傀儡」「白黒仔猫」「十市と赤」
    「三日月の仇」「ふたり順松」
    「三年宵待ち」「猫町大捕物」収録。

    【傀儡四箇条】
    壱、まず暇であること。
    弐、察しと勘が良いこと。
    参、若い猫並みの数寄心を持ち合わせていること。
    肆、何よりも猫が好きなこと。

    というわけで傀儡に(勝手に)任命された
    売れない狂言作者の阿次郎。
    先代傀儡師の順松に憧れるミスジの真っすぐさ、
    江戸っ子猫の情の篤さがかっこいい…!
    ミスジに上手い事使われる阿次郎も、
    阿次郎の愛猫、ユキなども良い味出してます。
    確かに猫って自分の思うように
    人間に色々催促してきますよね…
    あれは操られていたのか…
    連作短編集でどれも人情、謎解きもの。
    最後はうまくまとまっていて良かったです。
    個人的には「十市と赤」が切なかったですね…

  • 久々の西條作品です、いやぁやっぱ安心して読めるというか…猫が人を操るという設定自体が面白いですよ。こうやって読み終えてみるとなんかすごいリアルな感じがするというか…猫を飼ったことが無いので想像でしかないですが、実際にそうなんじゃないかと思わせるところがすごい。ミスジといい阿次郎といい、みなキャラクターが立ってて良い。とくに三日月とおたまはホントに人間の夫婦みたいで良い(^^) 一つだけ、旗本の坊ちゃんの話にあった兄上のことが気がかりですが…そのあたり続編出てくれないかなぁ。

  • 「猫の傀儡」って何かと思ったら、「猫が操る人間の探偵役」という斬新な題材。面白かった!猫目線の「事件」というのも面白いけど、「傀儡」側の人間がだらだらと毎日を暮らしている、という条件にあてはまるぷらぷらした人間なのが面白かった。おすすめです。

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著者プロフィール

1964年、北海道中川郡池田町に生まれる。北海道帯広三条高等学校を経て、東京英語専門学校を卒業。 2005年、『金春屋ゴメス』が第17回日本ファンタジーノベル大賞 大賞を受賞しデビュー。2012年、『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞を受賞。2015年、『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞を受賞。

「2018年 『秋葉原先留交番ゆうれい付き』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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