つぼみ

著者 : 宮下奈都
  • 光文社 (2017年8月17日発売)
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  • レビュー :48
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334911799

つぼみの感想・レビュー・書評

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  • 6編の短編集。
    その内、3編は「スコーレ№4」のスピンオフ集

    ・手を挙げて
    ・あのひとの娘
    ・まだまだ、
    ・晴れた日に生まれたこども
    ・なつかしいひと
    ・ヒロミの旦那のやさおとこ

    スコーレ№4は、自由奔放な妹・七葉に比べて自分は平凡だと思ってる麻子。
    そんな彼女が少女から女性へと変わって行く。
    そして彼女が遅まきながらやっと気づいた自分の一番大切な物…。
    ひとりの女性が悩み苦しみながらも成長する姿を淡く切なく美しく描いた作品でした。

    麻子の父や母や伯母の若かりし頃。
    麻子が自由奔放で羨ましいって思っていた妹・七葉や末っ子のおまめさんの紗英。
    それぞれの心の葛藤や悩みや迷いが描かれていた。
    それぞれがひたむきに花と向き合っている繋がりも良かった(*´ `*)
    スコーレ№4が大好きの私は、もう読んでてとっても幸せでワクワクしてた。
    と・ところが…それは3編で終わり…突然短編集に…(´⌒`。)
    テンションが下がった~(笑)
    でも、それぞれとっても心理描写も繊細で素敵なお話でした。
    なかでも「なつかしいひと」にはウルッときました。

    誰しもが、色んな思いを胸に抱きながらも前を向いて生きている。
    少しモヤモヤを抱えた心が温かくなり癒されました。
    明日からも頑張ろうって元気を貰えました。
    宮下さんの作品はいつも優しさが溢れてて心が洗われていく気がします(*Ü*)*.¸¸♪
    「いちばんを突き詰めていくと、これしかない、というところに行きあたる」
    「後悔しないようにって考えるから選べなくなる。ほんとうに迷って切羽詰まったら、
    少しでも心地いいほうへ進め」
    とても印象に残った言葉です。

    装丁がとっても可愛くって素敵でした。

  • 器用に生きている人が無性にうらやましくなることがある。いろんなことをうまくかわしてすいすいと進んでいく人が。そういう生き方が、一番コスパのいい人生なんだろうな、と思う。
    自分のことを好きになれなかったり、そばにいる誰かの、本当は親切で言ってくれてる言葉にいちいちイラついたり、ずっと昔の言動を思い出しては何度も咀嚼して後悔しなおしたりする。そんなとき、もやもやで詰まった心をすっと透明にしてくれる、それが私にとっての宮下小説なのです。
    なにもかも全てがうまくいかなくたっていいじゃない?不器用だったとして何が悪い?あの日選んだ道が、自分にとって心地よいモノであれば、それでいいんだよ、と笑顔でささやいてくれる。
    人生を半分以上過ぎて来た人にとっては、自分の人生をまるっと肯定してくれる心のビタミンとして、これから長い人生をいくつもの選択を超えて生きていく人には、お守りとして、きっと宝物になる、そんな一冊でした。

  • 『スコーレNo.4』のスピンオフが3作品含まれる6作品の短編集。
    でも『スコーレNo.4』と切り離して単独で読んでも充分楽しめる短編だと思う。

    特に好きなのは「あのひとの娘」「まだまだ、」。
    高校時代の元彼の娘・紗英を指導することになった華道教室講師の美奈子。
    色々なことがよく分からないまま大人になってしまった、と焦る美奈子は紗英をついつい元彼と比べ高校時代を振り返る…同世代の美奈子の内面の戸惑いに共感した。
    そして2作品に登場する『スコーレNo.4』の主人公姉妹の妹、末っ子のお豆さん・紗英。幼い頃から姉達に可愛がられ守られて、のほほんと育ってきた紗英は、自分のことを「まだまだ」と言い自分らしさに迷い焦る。
    けれど大丈夫。少しずつお豆さんなりに「つぼみ」も膨らんで確実に花が咲く準備ができているから。

    花が咲く前の「つぼみ」の状態の彼女達。
    年齢なんて全然関係ない。
    今は花びらが大きく開く少し前で、もがいてジタバタしているけれど、きっと素敵な花が咲くと期待できる心が晴れやかになる物語だった。

  • 短編集。半分は「スコーレNo.4」の登場人物が出てくるもの。優しく独特な世界。素敵なんだけれどね。「羊と鋼〜」は読んでて、もろにその素敵さを受けとめ良かったけれど、好みの問題か、今回はそれほどでも…それこそ、花開く前のつぼみって感じを受けた。心をときほぐすものはあったんだけれどね。

  • 弟の彦は、高校を中退し、勤めた会社もすぐに辞めて、アルバイトをいくつか変わった後、大検を受け、やっぱり働くと宣言して、いつもふらふらひらひらずるずるしている。彼は新しい将来を思いつくと、そのたびに姉に根拠のない自信を話す。不器用な弟と振り回される姉。そんな二人には、離婚した父と母はまったく違う人物に見えていた。(「晴れた日に生まれたこども」) 『スコーレ№4』のスピンオフ。主人公麻子の妹・紗英、叔母・和歌子、父の元恋人・美奈子、花を活ける女性たちそれぞれが「自分は何者でもない、何者になれるのかもわからない」と悩み葛藤する物語3編。(「まだまだ、」「手を挙げて」「あのひとの娘」) ほか、「なつかしいひと」「ヒロミの旦那のやさおとこ」を含む宮下奈都11年の軌跡。人生の心地よさを追求してきた著者の、たおやかで凛として心揺さぶる6編の作品集。

  • 六篇からなる短編集。
    最初から三篇までは相互に登場人物が出入りする様式だが、後の三篇は独立した物語だったような。
    取り立ててこう、という感想はない。

  • 手を挙げて
    あのひとの娘
    まだまだ、
    晴れた日に生まれたこども
    なつかしいひと
    ヒロミの旦那のやさおとこ

    短編集。
    私は、なつかしいひと が良かった。

  • 17.12.4読了

  • 短編6作。
    心の強ばりが、すっとほどけるような読後感。
    やさしい。

  • 宮下奈都ワールドといえばいいのか、慈雨のように降り注ぐ心に沁み入る文章で、結論を押しつけるのではなく、登場人物に静かに寄り添う姿勢は今作も変わらない。ドラマチックなことは起こらないけれど、もしかしたら自分の人生で起き得たかもしれない日常の小さな出来事が綴られていく。

    宮下奈都さんの作品を追いかけ続けているけれど、これほど書くことがぶれない作家さんは珍しいように思う。どの作品も読み終えると静かに心温まる読了感が味わえるが、似たような印象を抱くことも。ただ、新刊を手に取るたびに、またいつもの宮下ワールドに帰ってくることができたと喜びを感じるとともに、少しささくれていた心が癒されるよう。宮下さんの作品は、あたたかで心安らぐ、自分の帰るべき場所を照らしてくれる灯台のような存在です。落ち込んだり疲れたりしたときにはその灯台を目指し、たどり着いたら一息ついて、また旅立つ。そんなイメージです。

    「つぼみ」は、装幀が非常に美しく、いくら眺めていても飽きない。装画の少女のまわりを囲むように配置されている小さな金色のシャボン玉のようなものだったり、最初と最後のページの触れるとかすかなふくらみを感じる小さな葉っぱたち。さりげないけれど、細部までとても手が込んでいて、愛情が感じられる一冊。手に取って眺めたり触れたりするだけでも幸せな気分になりました。

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