ウェンディのあやまち

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 56
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912185

感想・レビュー・書評

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  • ずっと読みたいと思っていた作者の本。
    ・・・と言ってもこの人の本はまだ1冊しか読んでないけど・・・。
    何せ寡作な作者で中々新作が出ないから忘れかけていた。
    今回新刊本で見つけて即読んだ。
    読み終えての感想は、期待を裏切らない本だったの一言。

    この本の登場人物は主に3人の女性。
    キャバクラで働いている時に知り合った男性と同棲を始めた、両親との確執を抱える千里。
    殺処分されかかった動物を救助し、周囲には優しいと言われる杏奈。
    彼女は結婚を控えていてその男性と同棲中。
    まるで自分に罰を与えるように生きている、ラブホテルの清掃員として働く女性。
    この3人の女性の話がそれぞれ描かれる前、物語の冒頭で幼い姉弟が両親の育児放棄により、弟は餓死、姉も重体というニュースが書かれている。

    だから読んでいて、その酷い事をしたのはどの女性だろう?と自然に思いながら読み進める。
    だから物語に引き込まれるし、その真相が分かる様もまるで解けていくという感覚で、実に自然だった。

    読み終えて思ったのは何で罪悪感を感じる人は被害者の方なんだろう?ってこと。
    もっと周囲に労わられてもいいはずの存在なのに、「もっと自分が何かできなかったか?」と責めて・・・。
    それにひきかえ、加害者とは、加害者という意識もなく、むしろ自分こそが被害者だという顔をする。
    それは漂白されたようなさっぱりしたものや無邪気な子供のようだったりする。

    この物語では今まで聞いた事なかった毒の存在について書かれている。
    私は人を傷つけて、その事に自覚がない人間はその毒のようなものだと思う。

    最後の最後までどうなっちゃうんだろう?とハラハラしたけど、結末は本当に良かった。
    そうなんだな・・・と思う。
    罪悪感がないという人間もどこかに人間の心のかけらがあるなら自分のした事の自覚があって、時折何かの拍子にチクリと心を痛める事があるのかもしれない。
    主人公の女性のした行為に拍手を送りたかった。
    毒のような人間に、その人間のした事を言っても何も通じないだろう。
    それよりも、あるかないかの心の欠片を自覚させる方がよほどある意味復讐になるんだと思う。
    彼女に復讐してやろうという意識がなかったにしても・・・。

  • 子供っぽい健斗と恋に落ちたキャバ嬢千里。
    捨て猫を同棲相手の部屋に連れ帰る杏奈。
    ラブホテルの清掃員鈴木。
    3人の女と、冒頭にある幼児ネグレクト殺人の記事がどう関係するのかを想像しながら読み進めました。

    ネグレクトの事件の悲惨さに苦しくなりながらも、ストーリーのミスリードが巧みだったので、先が気になる作品でした。

    大人になれない男女が子供を作ったための悲劇。
    今でも、度々ニュースになりますね。
    子供に罪はない。
    悲劇の被害者の立場からの視点もあり、興味深かったです。
    自分達の誤ちに気がつけない親を、私は許すことができませんでした。

  • 面白かったんだけど、児童虐待はやっぱり読んでて辛い。千尋がなんで後悔したのかってのもよくわからなかったのがもやもやした。

  • 女は誰でも母性が強く、反面言いたいことを飲み込みがちなウェンディと、なんでも言いたいことをいい奔放なティンカーベルをそれぞれ身の内に秘めている。新人キャバ嬢の千里はある秘密を抱えながらも不慣れな水仕事に励んでいた。ある時、悪い客に絡まれ、そこから助けてくれた健斗と恋に落ちる。捨て猫を見捨てられない杏奈は恋人の篤彦と結婚前提でマンションを買い、暮らし始めたが、急激に篤彦がモラハラ男へと変貌し悩んでいた。ラブホの清掃係として無心に働いている鈴木は、新人で入ってきた乾の距離感のなさに戸惑っていた。それぞれに秘密を抱えた女たち。そしてその裏に潜む幼児の虐待死事件。誰がウェンディで誰がティンカーベルなのか、そして誰がピーターパンなのか。

    しんどい……。どこからも不穏な空気が漂いつつ、誰がどう事件に絡んでいるのか、だいたい予想はついてもその辺のミスリードが楽しく真実の姿が見えた時は面白かった。しかし、それ以上に衰弱していくシーンが辛く、そして本人たちの言があまりにも腹立たしく。でも実際こういう親たちなのかもしれないなという現実が余りに酷く。だから正直きっちり制裁してほしかった。父に救いなど要らない。

  • キャバクラ嬢、結婚間近の女、ラブホテルの清掃員、一見無関係な三人の女を繋ぐ幼児置き去り餓死事件とは?
    巧妙に仕組まれた伏線と謎、衝撃のノンストップ・ミステリー。
    『一気読み必至の傑作長編ミステリー』確かに、先が気になってぐいぐい読ませます。
    だがしかし、いかんせん、辛いです。悲しいです。胸が痛いです…。

  • 幼児置き去り餓死事件を巡る人間模様のからくり。誰がどの役割なのか著者の巧みな筆に翻弄されながら終始心はざわつく。
    置き去りにした親の言い訳にまた愕然。そうか、そういう思考回路だからなのか…。怒り、悲しみ、やるせなさ…様々な感情が渦を巻いて桜の花吹雪の中に消えていった。後に残るのは虐待の根深い連鎖の重み。傷ついた子たち誰もが乾のように生きられるとは限らない。それでも、親とは別の絆を結ぶことができるのだという彼の言葉が少しでも生きる支えや救いになってほしい。
    「闇のない子育てはない」、その言葉を男女問わず心に銘じて子どもと向き合っていかなければならないと思う。

  • コワイ。
    イタイ。

  • 恋愛体質のキャバクラ嬢は客として出会った男に、のめり込んでいく。一方、結婚を迫られていた女の元に、女優としてドラマに出るチャンスが。さらに、ラブホテルの清掃員の元に謎めいた男が現れ……。三人の女を繋ぐ、幼児置き去り餓死事件の真実とは?

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