雲の果

  • 光文社
3.68
  • (4)
  • (10)
  • (10)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 62
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912208

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 『弥勒』シリーズは、刊行するや、すぐにも読みたくなるシリーズのひとつ。
    今作は、清之介が看取った遠野屋の番頭喜之助の遺品が絡んだ事件。ミステリアスな展開に、忽ち引き込まれる。
    このシリーズの魅力は何といっても、清之介、信次郎、伊三次、この三人の組み合わせの妙である。
    かつては暗殺者だったが、今は小間物屋の主として商売に己を懸ける遠野屋清之介。
    怜悧すぎる頭を持つゆえ、心に虚空を抱え、清之介の闇を引きずり出そうとする同心木暮信次郎。
    この二人のやり取りをハラハラしながら見守る老練な岡っ引き伊佐治。
    さらにこの作品の魅力を言えば、「人という生き物の深さに触れることができ」「おもしろくてたまらない」(伊佐治の言葉)ということだろう。
    伊佐治が、清之介信次郎の危うい二人と共にいることに、かみさんのおふじが独白する。彼らが「衣の下に刃を持つ」男たちであり、「この危うさに焦りながらも、戸惑いながらも引き込まれている」と。
    この言葉は、このシリーズに対する読者の心情そのものと言ってもいいかもしれない。

    終盤、遠野屋の奥座敷で清之介が、二人の関係の終わり方について「どうしても叶えたい望みがあります」と、伊佐治が咳き込むほどの告白するP251。
    さて、このシリーズはどのような終局を迎えるのだろう。もちろん、その楽しみは先にして、まだまだ続いてもらいたいのが一番に望み。

  • 容紹介
    遠野屋の番頭、喜之助が病に倒れ、主の清之介が看取った。彼の遺品から不思議な織の帯が見つかる。一方、ある仕舞屋が燃え、焼け跡から女の死体と焼けた帯が見つかる。信次郎と伊佐治は、謎めいた帯の奇妙な繋がりを探る。待望の「弥勒シリーズ」第八弾

  • 弥勒シリーズ第八弾。

    信次郎・清之介・伊佐治。この三人の絶妙な遣り取りは相変わらずです。
    今回も焼け残った帯の残骸等々から、三人三様のやり方で真相に近づいていくのですが、台詞の応酬や思考描写が、やや“必要以上”な印象がありまして。そのせいか、クライマックスのはずの終盤があっさりと終わってしまった感じがしました。ま、その応酬が魅力ではあるのですけど。

  • 弥勒シリーズ第8弾。

    清之介・信次郎・伊三次の関係は、相変わらずの安定感。
    内容もまさか1本の帯が絡んでくるとは。。

    信次郎の生い立ちは今後の展開に絡んでくるのか、次作がまた楽しみなシリーズである。

  • 今回も安定のミステリーだった。
    相変わらず、信次郎の思考回路は凄い。
    嗅覚も鋭すぎる。

    信次郎の贔屓してる飯盛り宿の女将、お仙の客だった山海屋が絡んでくるとはな。
    まあ、信次郎が出てきたあたり何か絡んでくるかもくらいには思ってたけども。
    羽馬藩については深追いせず、か。
    ただ、首を突っ込んだから今後また絡んでくる可能性はあるのかな?

    お仙と言えば、信次郎と進展するかなと少し期待してたけど、まさかおしばさんにぶった切られるとは(苦笑)
    確かに信次郎と一緒になっても幸せにはなれなそうだけど。
    信次郎の横に立つには遠野屋くらいタフで一癖も二癖もないとダメそうだ(笑)

    伊佐治が信次郎の過去を探ってみる様なこと言ってたからこれから目が離せない!
    信次郎の過去知りたすぎる。
    伊佐治も信次郎がちょっと大きくなってから関わり始めたから、どうやって育ったのか知らないんだよな。
    母親が早い内になくなってしまったということは、誰が信次郎を教育したのか……。
    何か特殊な教育を受けてたりするのか、はたまた特段変わったこともなく普通に教育されてああなったのか。

  • 弥勒の月シリーズ。

    遠野屋と同心新次郎、岡っ引きの伊佐治。
    この3人のキャラがよい。

    中盤でもう犯人はわかるんだけど、その理由が意外だった。
    この世で一番怖いのは、人だって。その通り。

    あさのさんの時代小説は、好きだ。

  • 帯から分かる謎。こんな藩もあったのかも?

  • 弥勒シリーズも結構続くものだ。
    遠野屋の清之介、同心信次郎二人の腐れ縁が切れない。
    伊佐治親分は二人の間で緊張の糸を張ったり緩めたり。
    亡くなった遠野屋の子飼いの番頭喜之助が残した不思議な織の帯と、殺されて焼かれた女のそばに残された帯の切れ端とが絡み合って謎が展開する・・・のだが、とにかく清之介と信次郎の心理心情の説明がくどいくどい。
    伊佐治の述懐ももういい、と言いたくなるくらい繰り返される。
    このシリーズが初めての人には良いが、「常連」読者には丁寧すぎる。
    だから三分の二を過ぎてようやく謎解きの端緒が見つかった、と思う間にバタバタと話がたたまれてしまう。とてもバランスの悪い構成だ。

    喜之助の来し方をもっと膨らませることもできたはずだし、羽馬藩と阿波屋との関わりも書き込み不足。

    長く読みたいからこその苦言だが。

  • 江戸を舞台にした時代物ミステリー、弥勒シーズの第八弾にあたる。

    嵐の晩、仕舞屋で火事が起こり、ひとりの女が焼死体で発見された。単純な押し込みか痴情のもつれかと思われた事件は、いくら洗っても女の身元は知れず、手元には女が解いていた鶯色の帯の端切れが残るのみのまま錯綜する。
    この事件の背後には何があるのか・・・。

    切れ者で人の心を持たない同心・小暮と暗殺者の過去を持つ小間物問屋の主人・遠野屋、そして岡っ引きとして働く老練の伊佐治と相変わらずの男たちの関係がなんとも面白い。このシリーズはどこへ行きつくのだろう。

  • 初出 2017〜18年「小説宝石」の「天雲、奔る」

    傑作時代物ミステリー「弥勒シリーズ」第8作
    面白すぎて読み終わるのが惜しくなる。

    焼けた家で殺されていた女の身元が分からず、焼け残った帯が遠野屋清之介のもとに持ち込まれたが、病死した遠野屋の大番頭喜之助の遺品の中になぜか同じ織りの女物の帯があった。
    帯屋の先代主人の教示で、その珍しい帯は今は生産されなくなった山羽繭から織られたもので、ある藩だけの産とわかり、同心木暮信次郎は他の不審な死と併せて探索を進めて命を狙われる。
    犯人も犯行の理由も意外過ぎて面白い。

    いつもながらの清之介を獲物と見ていたぶる信次郎と斬り返す清之助の張り詰めた神経戦と、それを呆れながら楽しんで見つめる伊佐治親分の3人のやりとりが面白すぎる。

全13件中 1 - 10件を表示

プロフィール

あさの あつこ
1954年生まれの小説家、児童文学作家。岡山県英田郡美作町(現:美作市)湯郷出身。幼少の頃から本に親しみ、中学の頃から創作日記をつけはじめ、中学2、3年生の頃から作家を志す。青山学院大学文学部入学後、児童文学サークルに入り活動。卒業後小学校の臨時教諭を2年間務め、結婚。日本同人協会「季節風」同人となり、そこに連載した『ほたる館物語』で作家デビュー。
代表作に、1996年から執筆を続ける『バッテリー』。97年野間児童文芸賞受賞、99年『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、2005年『バッテリー』全6巻で小学館児童出版文化賞をそれぞれ受賞。シリーズ1000万部超の大ベストセラーとなり、映画化・アニメ化された。

雲の果のその他の作品

雲の果(はたて) Kindle版 雲の果(はたて) あさのあつこ

あさのあつこの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
あさの あつこ
あさの あつこ
恩田 陸
あさの あつこ
三浦 しをん
宮部 みゆき
あさの あつこ
あさのあつこ
宮部みゆき
宮下 奈都
東野 圭吾
あさのあつこ
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする