雲の果

  • 光文社
3.66
  • (8)
  • (19)
  • (21)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 98
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912208

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 『弥勒』シリーズは、刊行するや、すぐにも読みたくなるシリーズのひとつ。
    今作は、清之介が看取った遠野屋の番頭喜之助の遺品が絡んだ事件。ミステリアスな展開に、忽ち引き込まれる。
    このシリーズの魅力は何といっても、清之介、信次郎、伊三次、この三人の組み合わせの妙である。
    かつては暗殺者だったが、今は小間物屋の主として商売に己を懸ける遠野屋清之介。
    怜悧すぎる頭を持つゆえ、心に虚空を抱え、清之介の闇を引きずり出そうとする同心木暮信次郎。
    この二人のやり取りをハラハラしながら見守る老練な岡っ引き伊佐治。
    さらにこの作品の魅力を言えば、「人という生き物の深さに触れることができ」「おもしろくてたまらない」(伊佐治の言葉)ということだろう。
    伊佐治が、清之介信次郎の危うい二人と共にいることに、かみさんのおふじが独白する。彼らが「衣の下に刃を持つ」男たちであり、「この危うさに焦りながらも、戸惑いながらも引き込まれている」と。
    この言葉は、このシリーズに対する読者の心情そのものと言ってもいいかもしれない。

    終盤、遠野屋の奥座敷で清之介が、二人の関係の終わり方について「どうしても叶えたい望みがあります」と、伊佐治が咳き込むほどの告白するP251。
    さて、このシリーズはどのような終局を迎えるのだろう。もちろん、その楽しみは先にして、まだまだ続いてもらいたいのが一番に望み。

  • 遠野屋清之介,信次郎,伊佐治親分の抜群のバランスがますます円熟味を出している.帯から繋がった暗殺者の闇,解きほぐす信次郎の相変わらずの冴え.そろそろ,信次郎の過去編が読みたい.

  • BL臭漂う本格時代ミステリー。いい意味で!
    今回は事件と遠野屋が直接関わっていないので、緊迫感は薄め。解決編も後半バタバタで、シリーズ既刊よりも完成度は低い気がします。だけど、それでも一気に読ませるのはさすがの腕。
    見せ場はやっぱりラストの血吸いかな。

  • 大好きなシリーズ。今回もぐいぐいと引き込まれた。種明かしは案外 そっけないものだったが。

  • 弥勒シリーズは大好きな部類だが、他の弥勒シリーズと比べたら、中盤のだらだら具合を感じる。

  • 陰湿で剣呑で非情。蛇や狼に近い。
    信次郎の表現が的を射ている。

  •  弥勒シリーズ最新作。
     江戸で小間物屋を営んでいる遠野屋清之介、先代から仕えていた大番頭を病で亡くす。同じころ、ある仕舞屋が火事となり、そこから刺殺された女の遺体が見つかった。もう一人の主人公・小暮信次郎はこれを単純な殺しではないと察し、興をそそられている。
     暗殺者としての生き方を捨て、商人として生き直そうと商いに精進している清之介、事あるごろに彼を渦中に引きずり込み、『生き直すなんて出来ない』と言い続ける小暮。これまで作品中に重要人物として出てこなかった大番頭・喜之助の遺品から事件解決の糸口となったり、彼の生国が事件にかかわっている事がわかる。清之介と同業、暗殺者で商人が出てきたり、人の本当の姿っていったい・・・と感じた。

  • 相変わらず剣呑な雰囲気を漂わせる人たち…。伊佐治親分、よく胃がやられませんよね。なんか事件よりも彼らのやり取りのほうが気にかかる。
    また最初から読んてみようかなと思う。

  • 雑木林に囲まれた仕舞屋が焼け、焼け跡に女の死体が一つ
    「続くな」
    信次郎のつぶやきが帯の焦げ端を介して清之介につながり
    闇の中から真実を引きずり出していく

    ねばりつくような文体
    ひりひりする心理描写
    予期せぬ展開と謎解き

    過去を捨て小間物問屋の主人として生きる遠野屋清之介
    謎を解くことだけに生きがいを感じる同心小暮信次郎
    そして、信次郎の岡っ引きとして生きることが喜びの伊佐治

    3人の男を軸に江戸の巷をスリリングに描くあさのあつこの人気時代小説“弥勒シリーズ”の8冊目、2018年5月刊

  • 同心の信次郎、岡っ引の伊佐治、小間物屋の主人遠野屋清之助、この3人の関係が面白くはあるのですが、そろそ小間物屋の主人の遠野屋を事件に絡ませることに無理が出てきたように思います。
    一介の…遠野屋が一介の人間ではないからこそ信次郎が絡んでくるのでしょうが、市井の者はそうそう事件とは関わらないもの。そこをどうにか絡ませようとして事件の面白みが減じてしまったような気がします。

全24件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

あさの あつこ
1954年生まれの小説家、児童文学作家。岡山県英田郡美作町(現:美作市)湯郷出身。幼少の頃から本に親しみ、中学の頃から創作日記をつけはじめ、中学2、3年生の頃から作家を志す。青山学院大学文学部入学後、児童文学サークルに入り活動。卒業後小学校の臨時教諭を2年間務め、結婚。日本同人協会「季節風」同人となり、そこに連載した『ほたる館物語』で作家デビュー。
代表作に、1996年から執筆を続ける『バッテリー』。97年野間児童文芸賞受賞、99年『バッテリー2』で日本児童文学者協会賞、2005年『バッテリー』全6巻で小学館児童出版文化賞をそれぞれ受賞。シリーズ1000万部超の大ベストセラーとなり、映画化・アニメ化された。

雲の果のその他の作品

雲の果(はたて) Kindle版 雲の果(はたて) あさのあつこ

あさのあつこの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

ツイートする